今回は、ネガティブ・ケイパビリティについてわかりやすく解説します。
ネガティブ・ケイパビリティとは、能力・思考方法の一つ。ネガティブ・ケイパビリティを鍛えて身につけることができれば、今まで以上に生きやすくなるかもしれませんよ。
ネガティブ・ケイパビリティとは? わかりやすく解説
「ネガティブ・ケイパビリティ」は多くの人にとって聞き慣れない言葉かもしれませんが、実は現代社会を生きる私たちにとってとても重要な考え方なのだとか。
ネガティブ・ケイパビリティの定義
「ネガティブ・ケイパビリティ」とは、19世紀のイギリスの詩人ジョン・キーツが提唱した考え方・能力のこと。わかりやすくいうと、答えのない問いや先の見えない状況に直面したときに、結論を急ぐのではなく、そのどうしようもない状況を受け入れて耐え抜くという考え方・能力を指します。
まるで霧のかかった道を、地図なしで進むような、不確実な状況を受け入れる度量が必要とされます。
なぜネガティブ・ケイパビリティが求められるのか
ネガティブ・ケイパビリティの考え方は、なぜ私たちに必要なのでしょうか。それは、現代社会には答えのない問題がたくさんあるからです。
従来のように「答えを出す」という考え方だけでは、この複雑な社会に対応できません。むしろ、答えがない状況を楽しんだり、不確実性をチャンスととらえたりすることが、現代を生きるうえでとても大切なのです。
特に現代はインターネットやSNSなどによって、情報過多な時代。情報が多すぎて自分が求めている問いの答えがなかなか見つからないこともあるでしょう。そのようなときこそ、どっちつかずのあいまいな状況を許容する力が必要になってくるというわけです。
ポジティブ・ケイパビリティとのちがい
「ポジティブ・ケイパビリティ」とは、一般的に、素早く行動して問題解決を行う力を指します。一方、「ネガティブ・ケイパビリティ」は、まだ答えのない状況で、あえてその状態に耐え、思考を深める能力です。
ネガティブ・ケイパビリティを身につけると
ネガティブ・ケイパビリティとは、答えのない状況や不確実な状態を恐れず、そのなかで思考を深める能力です。問題を早く解決することばかり重要視されますが、あえて答えを急がず、あいまいな状況に身を置くことで、新たな視点やアイデアが生まれることもあります。
ネガティブ・ケイパビリティを身につけるメリット
ネガティブ・ケイパビリティを身につけることで、より創造的で、柔軟な思考ができるようになります。たとえば、問題解決において、従来の枠にとらわれず、多角的な視点からアプローチできるように。
また、答えがわからず宙ぶらりんな状況でもストレスを抱えたり感情的になったりせず、冷静に物事を対処できるようになるでしょう。
ネガティブ・ケイパビリティをもつ人の具体的な能力
ネガティブ・ケイパビリティをもつ人は、単に答えのない状況に耐えられるだけでなく、その状況を糧に新たな価値を生み出す能力に長けています。想像力を駆使して抽象的な概念を具体的にイメージし、柔軟な思考で多角的な視点から物事をとらえることができるでしょう。
また、答えがすぐに見つからない状況でも焦らず、じっくりと時間をかけて思考を深める忍耐力も備えているため、目の前のことだけでなく、もう少し先の未来まで見据えて物事を考えられるのも、ネガティブ・ケイパビリティを身につけた人の魅力です。
ネガティブ・ケイパビリティの鍛え方
意識的に身につけることができるネガティブ・ケイパビリティを育むチャンスは、日常生活のなかに隠されています。ここでは、具体的な方法をいくつか紹介します。
スマホと距離を置く
現代社会では、スマホが私たちの生活に深く根づいています。しかし、つねに情報にアクセスできる環境は、思考を停止させてしまう可能性も。あえてスマホから離れ、自分自身と向き合う時間をつくることで、内なる声に耳を傾けることができるでしょう。
日記をつける
日々の出来事や感じたことを文字にすることで、自分の思考パターンや感情の動きを客観的に観察できます。日記をつける習慣は、自己理解を深め、内面の変化に気づくきっかけとなります。
芸術作品に触れる
絵画、音楽、文学など、さまざまな芸術作品に触れることは、私たちの感性を刺激し、新しい視点を与えてくれます。作品がもつあいまいな部分や解釈の多様性に触れることで、ネガティブ・ケイパビリティを養うことができます。
客観的に自分自身と対話する
「自分はなぜそう考えるのか?」「本当にそうしたいのか?」といった問いを自分自身に投げかけることで、自己認識を深めることができます。客観的な視点をもつことで、固定概念から抜け出し、柔軟な思考ができるようになります。
あいまいな状況を楽しむ
答えのない状況や、不確実な未来に不安を感じる人もいるかもしれません。しかし、あえてそのような状況を楽しむことで、新たな可能性を発見できるかもしれません。
「答えがないということは可能性が無限大だ」とポジティブに捉えてみましょう。
周りの人と対話をする
異なる価値観をもつ人との対話は、自分の考え方を広げるうえで非常に有効です。意見が食い違う場面でも、相手の意見に耳を傾け、共存できる部分を探してみましょう。
答えを出さずに考える時間をもつ
問題に直面したとき、すぐに答えを出そうとせず、一度立ち止まって、その状況について深く考えてみましょう。答えを出すことよりも、思考のプロセスを楽しむことが大切です。
さまざまな価値観・感性に触れる
旅行、ボランティア活動、異文化交流など、さまざまな経験を通じて、自分とは異なる価値観や感性に触れることは、視野を広げるうえで重要です。
ネガティブ・ケイパビリティの活用術
ネガティブ・ケイパビリティは、単なる考え方ではなく、毎日の生活に生かせる実践的なスキルです。この章では、ネガティブ・ケイパビリティを仕事や人間関係でどのように活用できるのかを具体的に解説していきます。
仕事における活用術
仕事においてネガティブ・ケイパビリティは、革新的なアイデアを生み出すための強力なツールとなります。たとえば、新しいプロジェクトに取り組む際、最初から完璧な答えを求めず、あえてあいまいな状況を許容することで、斬新な視点から問題解決にアプローチできます。
また、チームメンバーとの意見が食いちがう状況でも、それぞれの意見を尊重し、異なる視点から問題をとらえることで、よりよい解決策を見つけることができます。
人間関係における活用術
人間関係においてネガティブ・ケイパビリティは、相手への理解を深め、より円滑なコミュニケーションを築くための助けとなります。たとえば、相手と意見が合わない場合でも、どちらが正しいのかという判断をすぐにしようとせず、相手の立場や考え方を理解しようと努めることができるでしょう。
ネガティブ・ケイパビリティを意識して、豊かで創造的な人生へ
答えのない状況を受け入れ、思考を深める「ネガティブ・ケイパビリティ」を身につけることで、私たちは創造性を高め、新たな価値を生み出すことができます。
仕事で壁にぶつかったとき、人間関係で悩んだときには、ネガティブ・ケイパビリティを意識することで、より豊かで充実した人生を送れるでしょう。