
車検とは「自動車検査登録制度」の略称で、道路運送車両法によって定められた保安基準に、車が適合しているかどうかを定期的に検査する仕組みです。
車の安全性確保と公害防止などを目的としているため、車を所有する限り、2回目以降の車検(継続検査)を一定期間ごとに受けなければなりません。
新車の購入時には、車検証とナンバープレートを登録するため、新規検査を受けます。では、車に乗り続けるための車検は、いつ、どのタイミングで受ければいいのでしょうか。
この記事では、初回車検のタイミングや費用目安のほか、業者の選び方と2回目以降の車検費用を抑える方法について解説します。
新車の初回車検を受けるタイミング
初めての継続検査(以下、初回車検)のタイミングは、新車を購入して3年が経ったときです。その後は、2年ごとに車検を受ける必要があります。
ただし、貨物自動車や特殊車両などの一部車種は、初回車検が2年後となっているため注意しましょう。また、有効期間を無駄にせずに車検を受けられるのは、有効期間満了日の2ヶ月前(2025年3月までは1ヶ月前)からです。それより前に車検を受けると次回の車検満了日が早くなってしまいます。
正式な車検の日付を確認する方法
新車を購入した際、3年後の初回車検の正式な日付を知るには、運輸支局から交付された検査標章(車検シール)か自動車検査証(車検証)を確認しましょう。
車検シールは、車のフロントガラスの前方かつ運転者席から見やすい位置に貼られています。表側には満了する年月のみが、裏面には年月日が記載されています。
また、車検証は多くの場合、グローブボックスに収納されており、「有効期間の満了する日」欄に、満了の年月日が書かれています。
車検の検査内容
新車を購入してから初めて迎える車検では、どのようなチェックを受けるのでしょうか。ここでは、車検で行われる検査内容について解説します。
保安確認検査
車検では、国が定める道路運送車両法の保安基準に適合していることをチェックするための、保安確認検査が行われます。適合しない車は車検に合格できず、公道を走行できません。
保安確認検査の主な項目は、下記のとおりです。
<保安確認検査の主な項目>
ブレーキの効き具合
タイヤ溝の深さ
ヘッドライトの光軸や明るさ
メーター類の誤差
マフラーの損傷・異常の有無
新車の初回車検の場合には、これらの項目で不合格になるケースは少ないですが、タイヤの溝やブレーキの摩耗具合などは、しっかり確認する必要があります。
法定24ヶ月点検
法定24ヶ月点検は、国が道路運送車両法で定めた56項目の点検を含む、運転者の義務となっている点検です。多くの場合、車検と同じタイミングで実施されます。具体的には、下記のような項目をチェックします。
<法定24ヶ月点検の主な検査項目>
エンジンオイル漏れの有無
冷却水漏れの有無
バッテリーターミナルの接続状況
ブレーキディスク・パッドの摩耗
ハンドルの操作具合
タイヤの状態(空気圧・摩耗)
なお、自家用乗用車の場合、法定24ヶ月点検を受けなくても罰則はありません。しかし、これらの点検は、車の安全性を定期的に確認し、安心して運転できるようにするための重要な点検といえます。
予防整備
予防整備とは、車の安全性と信頼性をキープするために実施される整備です。具体的には、経年劣化が予想される部分の整備や、まだ使用可能ではあるものの消耗している部品の交換を行います。
予防整備は車検通過のために必須ではなく、法的な義務もありませんが、将来的に起こりうる故障や事故などのトラブルを回避するのに役立ちます。
車検でかかる費用の内訳
初めて車検を受ける際、どのような費用がかかるのか、気になる人もいるでしょう。車検の費用は「法定費用」と「車検基本料金」に大別できます。ここでは、車検でかかる費用の内訳について解説します。
法定費用
車検における法定費用とは、法で支払うことが定められた費用です。法定費用は車検を受ける際、どの車検業者を利用しても金額は変わりません。法定費用には、次のような費用があります。
自動車重量税
自動車重量税は車の重量によって決まる税金で、初回車検の際には、次の車検までの分(2年分)をまえもって納付します。
自賠責保険料
自賠責保険は、交通事故の被害者救済を目的とした保険で、すべての車に加入が義務付けられているため「強制保険」と呼ばれています。自賠責保険料に関しても、車検期間分を一括払いします。
検査手数料(印紙代・証紙代)
車検の際には、検査を受けるための検査手数料も必要です。具体的には、国の印紙である「自動車検査登録印紙」と、独立行政法人自動車技術総合機構の証紙「自動車審査証紙」の2つを、運輸支局または自動車検査登録事務所で購入する必要があります。
車検基本料金
車検基本料金とは、車検を行う業者に対して支払う料金のことです。金額は、車検業者によって変動します。具体的に車検基本料金は、次のようなものに分けられます。
点検費用
点検費用は、保安確認検査や法定24ヶ月点検などにかかる費用のことです。カーディーラーで車検を受ける場合、自動車メーカー推奨の点検・整備を含むため、料金が高めになります。
部品交換費用
保安確認検査や24ヶ月点検で劣化・消耗した部品を交換する必要が生じた場合、部品交換費用が必要になります。部品代だけでなく、それを交換するために必要な工賃が含まれるのが一般的です。
代行手数料
基本的に車検を業者に依頼すると、代行手数料が発生します。主に車検の手続きのための書類作成や、運輸支局などへ車を運ぶための手間がかかるための費用を指しています。
新車の車検費用の目安
車検費用は、車種や依頼する業者によって異なるものの、新車の初回車検は、比較的安価で済む傾向があります。ここでは、新車の車検費用の目安について、普通自動車と軽自動車に分けて解説します。
普通自動車の車検費用
普通自動車の初回車検費用は、7万~14万円が目安です。車検費用には主に、下記の費用が含まれます。
費用項目 | 金額 |
---|---|
自動車重量税 | 2万4,600円 |
自賠責保険料(25ヶ月分) | 1万8,160円 |
検査手数料 | 2,000円前後 |
車検基本料金 | 3万~10万円 |
※部品交換費用は含まず。
初回車検の場合、劣化や消耗が少ないため、部品交換も少なく済む傾向があるものの、走行距離が長かったり使用頻度が高かったりする場合は、部品交換費用が上乗せされるので注意してください。
軽自動車の車検費用
軽自動車の車検費用は、5万~9万円が目安となります。軽自動車は普通自動車よりも、法定費用が安いのが特徴です。
費用項目 | 金額 |
---|---|
自動車重量税 | 6,600円 |
自賠責保険料(25ヶ月分) | 1万8,040円 |
検査手数料 | 1,700円前後 |
車検基本料金 | 2万~6万円 |
※部品交換費用は含まず。
新車の2回目以降の車検費用が上がる理由
新車の初回車検は安く済みますが、2回目以降の車検では費用が上がる傾向があります。ここでは、2回目以降の車検費用が上がる理由について解説します。
税金の優遇措置対象から外れるため
新車を購入した際、環境性能が優れた車であれば「エコカー減税」の税制優遇を受けられるため、新規登録時や初回車検時の自動車重量税が免税または軽減されます。
しかし、2回目の車検(5年目)以降は、この優遇措置が適用されなくなります。自動車重量税が通常の金額になるので、車検にかかる費用は高額になるのです。
メーカー保証の対象期間外になる
新車には通常、メーカー保証(一般保証:3年または6万km以内、特別保証:5年または10万km以内)がついており、保証期間内であれば特定部分の修理や部品交換が無料で受けられます。
しかし、2回目以降の車検では、このメーカー保証の対象期間外となるため、部品の交換費用や修理代が自己負担になります。そのため、車検にかかる費用が上がったように感じられるのです。
部品の消耗度合いが増す
車は長く使用したり、長距離を走行したりするほど部品が劣化・消耗し、車検時に交換が必要なパーツが増える傾向があります。
2回目の車検のタイミングとなる5年目や、3回目の車検のタイミングとなる7年目になれば、多くの部品に交換の必要性が生じるため、結果として車検費用が上がることになります。
新車の2回目以降の車検費用を抑える方法
2回目以降の車検は車の劣化が進むので、車検費用も高くなりがちです。しかし、いくつかの方法によって、車検費用を抑えることができます。ここでは、2回目以降の車検費用を抑える方法を見ていきましょう。
車を定期的にメンテナンスする
車検のタイミングでまとめて整備すると、一度に多くの修理費用がかかるため、車検費用も高額になりがちです。また、負荷を溜め込んだままの車は、大きな故障や事故を起こしかねません。
しかし、日頃から定期的にメンテナンスをして修理や交換をこまめに行えば、結果として車検費用の高額化を抑えることができます。また、重大なトラブルを回避しやすくなるでしょう。
車に関して定期的にチェックすべきポイントは、主に下記のとおりです。
<車の定期的なチェックポイント>
エンジンオイル
バッテリー
タイヤ
ブレーキパッド
これらのメンテナンスをする際には、点検整備記録簿にしっかりと記録しておくことが重要です。
複数の業者の見積もりを、比較・検討して選ぶ
車検費用は、依頼する業者によって大きく変わります。ですから、複数の車検業者から最低でも2~3社の見積もりを取り、比較・検討の上で最適な業者を選ぶようにしましょう。
車検を依頼できる業者の費用目安と特徴は、下記のとおりです。
車検業者 | 費用目安 | 特徴 |
---|---|---|
カーディーラー | 8万~13万円 | 純正部品を使用するので安心は高いが費用は高め |
車検専門店 | 5万~9万円 | 最低限の整備のためカーディーラーより安い |
ガソリンスタンド | 4万~8万円 | 安価だが、整備の品質や対応の幅は店舗によって異なる |
負担の少ない運転を心掛ける
車にとって負担の少ない運転を心掛けることで、車の劣化・消耗速度が緩やかになり、車検時の部品交換を減らすことができます。結果として、車検費用の支払総額を抑えることにつながるでしょう。
具体的には、急アクセル・急ハンドル・急ブレーキを避けたり、不要な荷物を積まないようにしたりして、タイヤやブレーキパッドの消耗を抑えることが挙げられます。
新車の2回目の車検の際には、自動車保険の見直しも検討しよう
新車を購入して初回の車検は、3年後です。しかし、それから2年ごとにやってくる車検は、税金の優遇措置を受けられなくなったり、部品の劣化・消耗が進んだりして、車検費用が相対的に上がっていくので注意が必要です。
車の維持費をできる限り抑えるためにも、車に負担をかけない運転をしたり、自動車保険の契約内容を見直したりして対応することをおすすめします。
なお、自動車保険の保険料や補償内容は、保険会社によって異なります。自身に合った自動車保険を探すには、複数の保険会社に見積もりを依頼して、比較・検討してください。
難点としては、各保険会社のウェブサイトで見積もり依頼はできるものの、手間や時間がかかること。そこで、自動車保険の一括見積もりサービスを利用して、手軽に見積もりを依頼しましょう。
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