ドクタートラストのストレスチェック研究所は4月3日、体重変化とストレスの関係についての調査結果を発表した。調査は2023年4月1日~2024年3月31日、ストレスチェックサービスを利用した受検者のうち、「1年間の体重変化」の回答が得られた128,896人のデータをもとに行われた。

ストレスチェックについて

ストレスチェック制度は、従業員のメンタル不調の予防やその気付きを促すこと、また、ストレスが高い人の状況把握やケアを通して職場環境改善に取り組むことを目的として制定され、2015年12月以降、従業員数50名以上の事業場で年1回の実施が義務づけられている。同社が提供するストレスチェックサービスでは、ストレスチェックと同時に、生活習慣に関する6つの設問が追加できる。今回は、追加設問のうち「1年間の体重変化」の回答結果からストレスレベルとの関係を分析した。

  • 体重変化の回答内訳

1年間の体重変化の回答内訳をみると、最も多かったのは「変わらない(2㎏未満)」で55.2%、以下「やや増えた(2㎏以上3㎏未満)」17.8%、「減った」14.6%、「増えた(3㎏以上5㎏未満)」8.2%、「かなり増えた(5㎏以上)」4.2%だった。

体重が増えた人のストレス状態

高ストレス者率とは、実際に受検をした人の中で、高ストレスと判定された人がどれくらいいるかを示した割合となる。高ストレス者とは、「ストレスの自覚症状が高い人」「ストレスの自覚症状が一定程度あり、かつ仕事の負担と周囲のサポート状況が著しく悪いと判定された人」を指す。

同社のストレスチェックサービスでは、受検者のストレスレベルをA~Eの5パターンで示している。A判定はストレスが最も低く、E判定はストレスが最も高いことを示す。今回はA、B判定を「低ストレス者」、E判定を「高ストレス者」とする。

  • 体重変化別・ストレス状況

高ストレス者率が最も高かったのは、1年間で体重が「かなり増えた(5㎏以上)」グループで、26.8%だった。次いで「減った」20.2%、「増えた(3㎏以上5㎏未満)」19.9%、「やや増えた(2㎏以上3㎏未満)」15.5%、「変わらない(2㎏未満)」12.2%と続く。つまり、1年間で体重が「5kg以上増えた」グループの4人に1人以上が高ストレス者であることがわかった。

一方、低ストレス者率が最も高かったのは「変わらない(2㎏未満)」グループで26.4%だった。低ストレス者率が最も低いのは「かなり増えた(5㎏以上)」グループで、17.3%だった。1年間で体重が「変わっていない」グループの4人に1人以上が低ストレス者であり、高ストレス者率とは逆転した結果となった。

心身の疲労や睡眠不足と体重増減の関係は

高ストレス者率が最も高い「かなり増えた(5㎏以上)」グループと、高ストレス者率が最も低い「変わらない(2㎏未満)」グループにおいて、回答割合の差が大きかった設問は、「だるい」、「不安だ」、「気分が晴れない」、「よく眠れない」、「イライラしている」の5つだった。

  • 体重変化別・回答割合の差が大きい設問

平均睡眠時間が5時間未満の割合は、体重が「かなり増えた(5㎏以上)」グループで21.8%と最も高く、「変わらない(2㎏未満)」グループの11.6%と比較して、およそ1.8倍の差が見られた。

また、平均睡眠時間が「6時間以上7時間未満」および「7時間以上9時間未満」の割合が最も大きかったのは「変わらない(2㎏未満)」グループだった。

  • 体重変化別・平均睡眠時間

1年間の体重変化とストレスレベルを調査した結果、最も高ストレス者率が高かったグループは「かなり増えた(5㎏以上)」で、最も低かったのは「変わらない(2㎏未満)」だった。一方、低ストレス者率では逆転した結果が見られた。

また、高ストレス者率が最も高い「かなり増えた(5㎏以上)」と最も低い「変わらない(2㎏未満)」で、回答割合に大きな差があったストレスチェック設問は、「不安だ」、「気分が晴れない」、「イライラしている」などのメンタルヘルスに関する項目や、「だるい」、「よく眠れない」などの身体的な問題に関する項目だった。

さらに、平均睡眠時間が「5時間未満」の割合が最も高かったのは、体重が「かなり増えた(5㎏以上)」グループだった。一方、「変わらない(2㎏未満)」グループでは、平均睡眠時間が「6時間以上7時間未満」、「7時間以上9時間未満」の割合が他のグループと比較して高い結果となった。

これらの結果から、体重の増減は心身の不調や睡眠時間と密接に関連していることが示唆される。