LIFULL seniorが運営する「LIFULL 介護」は、2025年4月1日に改正育児・介護休業法が施行されることを受け、「介護と仕事の両立に関する意識調査」の結果を3月21日に発表した。同調査は、2025年3月7日~2025年3月8日の期間、65歳以上の親を持つ40歳以上のビジネスパーソン男女547人を対象に行われた。
職場の介護支援体制について尋ねたところ、「整っている」「ある程度は整っている」と回答した人は合わせて31.4%にとどまり、一方で「整っていない」と答えた人が45.0%と多数を占めた。
介護支援体制が「整っている」「ある程度は整っている」と答えた人に具体的な支援内容を聞いたところ、「介護休業・介護休暇制度」が75.0%と最も多く、ついで多かった「介護と仕事の両立に関する相談窓口」は26.7%にとどまった。
職場で介護に関する情報や利用できる制度については「情報提供がされていない」と答えた人が51.9%と半数を超えており、企業側の情報提供が不足している実態が明らかとなった。
介護と仕事の両立を支援するには、介護休業などの制度を整備するとともに、さらにどんな条件で利用できるのか、また介護と仕事を両立するにはどのような介護体制の構築が必要か、など情報の提供が必要となる。
今回の法改正で、企業には従業員に対して介護と仕事の両立支援のための研修や相談窓口の設置が求められており、狙いである「介護離職を防ぐ雇用環境の整備」は、調査結果からも喫緊の課題といえそうだ。
介護と仕事の両立については、「あまり両立できない」「まったく両立できない」と答えた人が合わせて58.6%にのぼり、半数以上が両立に不安を感じていることがわかった。
「あまり両立できない」、「まったく両立できない」と回答した人の不安の要因として最も多かったのは「精神的・肉体的負担が大きい」(50.5%)で、「長期的な休みが取りづらい」(43.6%)、「突発的な休みが取りづらい」(40.5%)といった職場環境の問題も指摘された。
また、仕事に影響が出る場合の介護に関する相談のしやすさについて尋ねたところ、「相談しやすい」「まあまあ相談しやすい」と答えた人の合計は41.3%だったものの、「少し相談しづらい」「相談しづらい」と答えた人も41.5%と同程度の結果となり、まだまだ介護のことを相談しやすい職場ばかりではないということがうかがえた。
相談しづらい理由としては、「プライベートなことを職場で開示したくない」(42.3%)、「上司や人事・総務に理解がなさそう」(36.1%)、「前例がない」(32.6%)が挙げられた。
今回の法改正では、企業に対し「自社の労働者の介護休業取得や介護両立支援制度の利用事例の収集・提供」や、「介護休業・介護両立支援制度の利用促進に関する方針の周知」が求められている。企業が従業員の介護休業の取得事例を周知し、利用促進を図ることで、従業員も前例を知り、職場に相談しやすくなるとともに、制度の活用が当然であるという認識を持ちやすくなると同社はコメントしている。
さらに、介護と仕事の両立を考えた際に親を介護施設に入居させたいかを尋ねたところ、「思う」「まあまあ思う」と答えた人は合わせて53.0%と半数を超えた。
一方、「それほど思わない」「思わない」と答えた人も合計で21.2%おり、その理由の中で最も多かったのは「金銭的に難しい」(44.0%)だった。施設介護は在宅介護サービスよりも費用がかかるものだが、公的施設である特別養護老人ホームの場合は比較的安く利用できるため、そうした情報提供を行き届かせることも重要となる。
また「できれば同居、近居で面倒を見た方がいい」も同じく44.0%だった。同社によると、親が介護を必要とした際、自ら住み替えて同居や近居を選ぶ人は一般的に多く、その背景には、「親の介護は子が担うもの」という考えが依然として根強く残っている可能性があるという。