
道にいる者たち…サファリラリー見聞録
世界ラリー選手権サファリラリーが開催されるアフリカ大陸のケニヤ。
その玄関口は首都ナイロビで、近年開発が進み綺麗なハイウェイが空港まで到達しているが、じつはナイロビナショナルパークに隣接している。だからそこは柵一つ隔てて人間と野生動物が共存しているエリアなのだ。
首都でさえそうなのだから、ラリーが開催されるサバンナ地域は色々な生き物と普通に遭遇する。
2025年のステージはややナイロビから少し北上したナイバシャ湖からエレメンタイタ湖の周辺で争われる。場所によっては粒子が細かい土が分厚く乗った路面で、4WDが300馬力で掻きむしっても砂の抵抗でなかなかスピードが上がらないようなタフな路面だ。また、一度その土が舞うと空中での滞留時間が長く視界不良でドライバーは苦労するのだ。
そしてこの辺りも大規模農場や自然保護区エリアなのでたくさんの動物が住んでいる。当然タイミングが悪いと走行中のラリーカーと遭遇する。
オイラがサファリラリーの途中で出会った動物で一番多いのが、ガゼールやシマウマなどの草食動物。シマウマは群れでいることが多いので一度目の前を横切り始めると最後の一頭が入り去るまでスローダウン。最悪なのだ。
次がキリン。大きいから見つけやすいのだが、以前は夜のステージもあったので厄介だった。というのは直線を150〜160km/hでスポットライト4灯の照らし出す視界で走っていると、キリンは足しか見えない。距離があるとこの細い足が狭いゲートにしか見えなくて、近づいて初めで体が見え、首と頭が見えて来てパニックブレーキである。当たったらただでは済まない。
あとはバブーン(ヒヒ)も地面でエサを探していることも多いが、奴らは逃げ足が速いので問題ない。ダチョウはパニックなるとクルマと競争するように並走し続けることがあっておもしろい。
ラリーステージで見たことはないがライオンもいて、サービス隊がサービスポイント近くで遭遇して怖くてクルマから出られなかったこともあった。
ほかには、大量の家畜が移動していたり、珍しいところではハイエナやジャッカル、オオトカゲ、リクガメなどにも遭遇した。
というわけでサファリラリーは速く走るだけでなく、いろいろなものをよける技術も要求されるのである。
毎年、好成績を上げているトヨタの勝田貴元が今年こそ日本人初のWRC優勝を遂げるか注目だ!
〈文と写真=三好秀昌〉