花粉症シーズンがやってきた。西日本ではすでに花粉の飛散が本格化しており、多いところでは去年の8倍、過去10年で最多の飛散量を予想する専門家もいるほど。どうやら今年の花粉症はいつにも増して辛そうだ。
そこで今回はアレルギー専用点鼻薬「AGアレルカット」などを展開する第一三共ヘルスケアのオフィスを訪問。花粉症対策の方法と注意点について、研究者の宮本歩己さんに話をうかがった。
■花粉症の症状を抑えるポイントは「初期療法」だった!
――まず、宮本さんの所属部署や携わっている業務についてお聞かせください。
研究統括部 研究センターに所属しています。研究統括部には、医薬品や化粧品、オーラルケア製品の製品開発に伴う研究を担当するグループ、医薬品の有用性や安全性を評価するグループ、もっと基礎的な研究をするグループなどがあります。私たちは「半固形製剤」と呼んでいるのですが、その医薬品の製品開発の研究を担当しています。
――「半固形剤」というと?
クリーム剤・軟膏剤・液剤・貼付剤といった剤型の医薬品です。皮膚や口腔内に塗る医薬品や点鼻薬伝ガン剤なども半固形グループで扱っています。製品でいうとロキソニン外用薬シリーズなどです。
――今年も花粉症の季節がやってきましたが、改めて代表的な症状や症状を抑えるポイントについて教えてください。
代表的な症状は鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみなどです。症状が重い人だと体がダルくなったり、発熱したりする人もいます。最近は初期療法が大事だとされていて、そろそろ花粉が飛びそうというタイミング、まだ症状が出る前のタイミングから備えることで、症状を抑えられるといわれています。
それらの治療は、花粉の飛散が終わるくらいまで続けるというのも大事なポイントですね。ただし、症状が重い人は病院で初期療法を行っていただきたいです。OTC(薬局などで医師の処方箋なしに購入できる医薬品)で対処する人は花粉による症状が出たらすぐに使えるよう意識しておくのがよいですね。
――できれば2月くらいから症状を抑えるよう努めたほうがいい、と。
そうですね。病院でもらう内服やステロイドなどは、割と早めから長い期間使うのがポイントです。鼻のムズムズ、目のかゆみを少し感じるな……と思ったタイミングで使用し始めるのがよいでしょう。点鼻薬や点眼薬は長期連用ができないので、症状がつらくなったタイミングでその都度使っていただくのがよいと思います。
――市販薬にもいろんな薬があると思いますが、正しい薬の選び方などがあれば教えてください。
今の市販薬だと、「抗アレルギー成分」や「抗ヒスタミン成分」、「ステロイド」などが入っているものが多いと思いますが、これらを症状に合わせて使っていただくことが一番効果的だと思います。
ステロイドは継続的(※)に使用することで、つらい鼻水や鼻づまりといった症状が緩和されるとされています。
鼻づまりや目のかゆみといった症状をすぐに抑えたいという方は、抗アレルギー成分や抗ヒスタミン成分、血管収縮剤が入っている点鼻薬・点眼薬を使っていただければと思います。点鼻薬に含まれる血管収縮剤は鼻の粘膜の腫れを抑制し、すぐに鼻づまりが解消できます。鼻づまりがつらい、すぐに解消したい、という方におすすめです。症状がつらい方は鼻炎用内服薬も服用しつつ、点鼻も合わせて使うとよいかと思います。
※市販薬の場合、1年のうち3カ月など使用上限が設定されているため、使用上の注意をよく読んでお使いください。
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左から「エージーアレルカットS」「エージーアレルカットC」「エージーアレルカットM」 いずれも[第2類医薬品]花粉などによる鼻水、鼻づまりの緩和に/「エージーアレルカットEXc<季節性アレルギー専用>」 [指定第2類医薬品]花粉による季節性アレルギーの鼻水、鼻づまりの緩和に。「エージーアレルカットEXc<季節性アレルギー専用>」は、薬剤師、登録販売者に相談のうえ、「使用上の注意」をよく読んでお使いください/「エージーアレルカットフレッシュアイ」 [第3類医薬品]花粉やハウスダストなど、目の汚れの洗浄や眼病予防に
――病院で処方される薬と市販薬で、何か違いなどはあるんですか?
たとえば、市販されているステロイド薬は病院で処方されるステロイド成分のうち、市販薬として発売されていない成分もありますが、スイッチOTCとして医療用と同じ成分が配合されている点鼻薬もあるので、「自分に必要なのはこれ」と理解している人は市販薬で対処されるケースが増えている印象です。
■濫用注意! 大事なのは「症状に合った市販薬」を見極めること
――点鼻薬や点眼薬などを使用するうえでの注意点などはありますか?
用法用量を守ることですね。説明書には「1日の使用回数は3~5回、一度使ったら3時間ほど空けてください」などと使用上の注意点が記されていますが、その範囲内に収めるようにしてください。
――なるほど。
連用期間にも注意が必要です。ステロイド薬は1年間に3カ月を限度に使用してください。3カ月を超えた使用が必要な場合は別の病気が潜んでいる可能性がありますので、病院に相談してください。
抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤、血管収縮剤は長期連用しないことが大切です。最近だと、点鼻薬を長期間使い続けることで鼻炎が発生する化学物質過敏症のようなケースもあります。ステロイド以外の長期連用は副作用リスクが出てくるので、注意していただきたいです。
――ちなみに、他の薬と併用する際に注意すべきポイントなどはありますか?
鼻炎用内服薬と点鼻薬・点眼薬は組み合わせて使っても問題ないのですが、別の種類の点鼻薬同士……たとえば、ステロイド剤入りの点鼻薬と血管収縮剤入りの点鼻薬などの併用はできません。副作用リスクにも気をつけながら、症状に合わせて使っていただくとよいかと思います。
花粉による症状の市販薬といっても、その種類はさまざま。自分の症状に合った市販薬をセレクトし、その用法用量を守りながら適切に、早いうちから対処することが重要なようだ。