2026年卒業予定の大学生の就職活動が本格的にスタートしました。企業の採用意欲は引き続き旺盛で、学生優位の売り手市場が続いています。
とはいえ、2025年卒と比較すると採用予定数は「前年並み」が増加しており、勢いはやや鈍化しているもようです。
今回は、「マイナビ2026年卒企業新卒採用予定調査」を基に、企業の新卒採用に対する意識と採用活動の動向を確認しました。
2026年卒の採用予定は文理とも「前年並み」が増加
2026年卒の新卒の採用予定数については、文理ともに「前年並み」が増加。2025年卒と比較すると「増やす」が1.9ポイント減少しているのに対して、「前年並み」が2.0ポイント増加しています。
数値は低いものの、「増やす」は過去3年減少が続いており、「前年並み」は過去3年増加しています。
その要因として考えられるのが、「採用したくても、計画通りの人数が確保できない」という現実があるようです。
採用充足率は年々低下しており、採用予定数を増やしても結果的に計画倒れになってしまう可能性が高く、採用予定数を据え置きとする企業が増えていると考えられます。
「採用予定数決定の大きな要因」としては、「従業員の年齢構成」(50.7%)に続いて、「前年の採用実績」(47.7%)が上位に入りました。「前年の採用実績」の数値は2025卒より1.9ポイント増加しており、希望的な採用計画に対する危機感が広がっているのではないでしょうか。
給与の低さを懸念し78.1%は新卒採用が厳しくなると判断
2026年卒の採用環境についての見通しを確認すると、26.8%が「非常に厳しくなる」と回答しており、「厳しくなる」(51.3%)と合わせると、78.1%が2026年卒の採用を楽観視できないと考えていることがわかります。
採用が厳しくなると考える要因としては、「新卒学生全体の数が減っていること」(67.7%)が第1位で、「新卒採用をする企業が増えていること」(48.4%)、「業界・業種の人気が低いこと」(51.8%)が続きます。
2025年卒と比較すると、どの項目の数値も大きな変化はありませんが、「給与が低いこと(業界平均などと比較して)」については、前年比4.1ポイント増となっています。
物価上昇への対応、採用競争力アップなどを目的とした初任給引き上げに関する報道が増えていますが、競合他社と比較して給与や待遇面で遅れを取っていることに懸念を抱いている企業が少なくないのかもしれません。
54.1%が給与を引き上げる予定と回答
就活生にとってグッドニュースと言えるのが、採用力を強化するために初任給の引き上げを予定している企業が増加していることでしょう。
2026年卒の採用に向けて、初任給を「すでに引き上げており、さらに引き上げを行う予定」の企業は44.2%で、前年より6.9ポイント増加。
「これまでは行っていなかったが、26年卒入社の社員も対象となる前提で引き上げを行う予定」の企業(6.4%)と合わせると、全体の54.1%が初任給を引き上げる予定があると回答しています。
初任給引き上げの傾向は、非上場企業で顕著で、「現時点ですでに引き上げており、さらに引き上げを行う予定」と回答した企業の割合は前年より11.2ポイント増となりました。 初任給を引き上げる動きは、大手企業以外にも確実に広がっていると言えそうです。
初任給の引き上げ額としては、「5,000円~1万円未満」(40.3%)が最多で、「1万円~2万円未満」の引き上げを予定している企業も3割近く存在します。
食料品やエネルギーをはじめとして物価の上昇が続くなか、給与に対する学生の意識もシビアになっています。初任給の引き上げに魅力を感じる就活生も少なくないのではないでしょうか。
今回は、「マイナビ2026年卒企業新卒採用予定調査」を基に、企業の新卒採用に対する意識と採用活動の動向を確認しました。
慢性的な人手不足、採用難が続くなか、採用力の強化、社員の定着を目的に待遇改善に取り組む企業の姿が浮き彫りになりました。
初任給の引き上げは企業選びの好材料には違いありませんが、いよいよ本格的に就活をスタートする学生の皆さんには、決して待遇面ばかりに目を向けるのではなく、成長性や職場環境、人材育成方針なども考慮に入れて企業選びをしてほしいと思います。