
スズキは2025年2月20日、2025〜2030年度の新中期経営計画「By Your Side」を発表した。現行の中期経営計画(2021〜2025年度)を1年前倒しで終了し、新たな中期経営計画をスタートさせる。現行の中期経営計画での売上高は目標値の4.8兆円に対して、2024年3月期の実績値は5.4兆円、営業利益率は目標値5.5%に対し、実績値は8.7%であった。国内の四輪事業では2021年3月期比で1.5倍の販売台数を計画していたが、実績値(2024年3月期)では1.1倍となるなど、販売台数は未達も、為替や売り上げ構成の改善、品質の改善などによって売上・利益目標を前倒しで達成した。なお、インドの四輪事業では50%以上のシェア向上を目標としていたが、41.6%に終わるなど、事業環境が変化し、戦略の再考が必要となっている。
新中期経営計画では、2030年度の売り上げ収益8兆円、営業利益8000億円(営業利益率10.0%)、自己資本利益率13.0%(2024年3月期実績11.7%)を目標としている。四輪事業の販売台数は2024年3月期の316万台(営業利益3982億円)から420万台(営業利益7000億円)に拡大。設備投資、研究開発費ともに2025年から2030年までの6年間累計で2兆円を計画している。
日本市場の具体的な戦略・取り組みについては、日本市場を成長市場と位置づけ、収益性を高め、インドに次ぐ安定的な収益の柱とする方針。商品では日本の顧客に合った商品を投入し、ラインアップを拡充。ハイブリッド車にはスーパーエネチャージを導入し、ラインアップ強化を図る。また、2025年度中にバッテリー式電気自動車(BEV)を2モデル(eビターラ、軽商用バンBEV)投入し、2030年度までにBEVを6モデル投入する。日本の生産拠点はスズキグループのマザー生産拠点として、生産技術、ノウハウでスズキグループの手本であり続けるという。
ちなみに、インドの取り組みについては、今後も成長が続くスズキの最重要市場であり、自動車のリーディングカンパニーとして再びシェア50%を目指す。SUV、MPVセグメントで商品力、ラインアップを強化し、マルチ・スズキの商品企画/開発能力を向上。インドのユーザーの嗜好にあった商品をタイムリーに投入する。また、インドの需要を賄い、輸出拠点として拡大するために年400万台の生産体制を目指すという。
積極的にビジネスを進めるスズキの動向から今後も目が離せない。
〈文=ドライバーWeb編集部〉