香取慎吾主演のドラマ『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』(フジテレビ系、毎週木曜22:00~ ※FODで見逃し配信)の第7話が、きょう20日に放送される。

今作は、ある不祥事で退社に追い込まれてしまった元報道番組のプロデューサー・一平(香取)が、再起を図るため政治家を目指し、その戦略として亡くなった妹の夫と子どもたちと同居し、ニセモノの家族=“ホームドラマ”を演じることを決意する…という物語。

戦略としての“家族”だったがその絆は深まりつつあり、“政治”についても邪念のない本気が現れ始めた一平。すでに物語のピースは全て埋まりつつあるように見えるのだが、一平の父・平蔵(柄本明)の登場によって、“家族”も“政治”もさらに深みを増していく――。

  • 香取慎吾=『日本一の最低男』第7話より (C)フジテレビ

    香取慎吾=『日本一の最低男』第7話より (C)フジテレビ

実は幼少期から備わっていた政治家の資質

前回はまさしく今作の転換点だったと言えよう。なぜなら一平の行動が、政治家になるための手段という邪(よこしま)な思いからではなく、自らの強く純粋な思いが発露したものだったからだ。

これまで、正助(志尊淳)の家族と仲を深めたり、同性同士のカップル支援や子ども食堂を立ち上げたり、保育園の働き方改革を行ったりしてきた一平の行動は、全てが政治家になるための手段だったはずだ。しかし前回、一平がひまり(増田梨沙)の実父・康太(奥野瑛太)を救った行動は、決して手段ではなかった。“政治家になるため”という邪な思いが一瞬もチラつくことはなく、まさしく自分の思いがあふれた発露だったのだ。

それは突然のものではない。第6話まで丁寧に描写してきた一平自身も気付いていない本当の姿…実は幼少期から備わっていた政治家としての資質を丁寧なグラデーションで見せ、その色が最も濃くなったあの瞬間、康太を救うことができたという自然で必然的な行動の末の結果だったからこそ、視聴者は大いに感動し、ドラマチックな体感ができたのだ。

そしていよいよ “家族”も“政治”も、混じりっけのないピュアなものとして、これからの物語が動き出していくのか?と思われたのだが、やはりこれまでと同様、いやこれまで以上に想像もしていなかった深く温かい展開が待ち受けている。

  • (左から)志尊淳、香取慎吾、柄本明 (C)フジテレビ

「情熱の薔薇」の歌詞に注目

第7話のキーマンは突然、一平の目の前に現れた父の平蔵。息子の一平とは長らく疎遠で、娘・陽菜(向里祐香)の見舞いや葬式にも来ず、義子の正助(志尊淳)とは一度も会ったことがないという、かなりのいわく付きの人物だ。そんなある意味で“急なキャラクター”を登場させることで、終盤に差しかかる物語の尺を埋める余談になるのではないかと心配もしていたのだが、全くの杞憂だった。

平蔵が突然に帰ってきた理由の一つである「ふれあい冬祭り」というキーワードをきっかけに、それぞれ登場人物たちの誤解が解けていく美しいストーリーラインとともに、“家族”はもちろんのこと“政治”にもこれまでとは違う形の進化/深化をみせる。

特に今回の“政治”の描写は、「今作はこれを描きたかったのか!」と思わせるほどの巧さとおかしさが詰まっており、「実は今回こそが転換点だったのではないか…」とも思えてくる。いずれにしても、大きな感動をもたらした前回以上のドラマチックな展開がやってくること必至だ。

そして前回登場した『ごん狐(ごんぎつね)』のように、今回はTHE BLUE HEARTSの「情熱の薔薇」がさりげなく登場しエピソードに花を添える。その歌詞の意味を振り返ることで今回の物語をさらに深く楽しめるに違いない。

  • (C)フジテレビ