
レトロモビルで注目されたもうひとつのイベントは、「La Formule 1, une spécialité française depuis 60 ans」(フランスのF1、60年間の専門技術)というもので、1969年のマトラ MS80から始まるフランスの技術が関わったフォーミュラーカーを展示した。また、プジョーのF1用エンジンの展示も行われた。
【画像】F1レジェンドカーやレースで活躍した名車から、お手頃価格のクラシックカーまで見どころ満載!(写真35点)
12年ぶりにMatraがフランスF1界に復帰し、Ken Tyrrellのチームと協力。Matra MS10(フォードV8エンジン)とMS11(Matra V12エンジン)が登場。ジャン=ピエール・ベルトワーズがフランスGPでデビュー。1969年にはMatraがコンストラクターズ&ドライバーズタイトルを獲得。ティレルはフランソワ・セヴェールを起用し、フランスF1界の新世代を牽引した。さらに、リジェがF1チームを設立し、フランスメーカーが本格参戦。1977年にはルノーがターボエンジンでF1に参戦し、1979年にはジャン=ピエール・ジャブイーユがディジョンでルノーF1初勝利を飾る。1981年には7人のフランス人F1ドライバーがグリッドに並び、このころからフランスF1の黄金時代が幕を開けた。
その後、アラン・プロストがフェラーリやマクラーレンで活躍し、1985年、1986年、1989年にチャンピオンを獲得。ルノーはウィリアムズと提携し、V10エンジンでF1を支配するようになった。2000年にはルノーがベネトンを買収し、F1チームとして復帰。アロンソやヴェッテルがチャンピオンを獲得した。2021年にはRenaultチームがAlpineに改名。ガスリーとオコンが近年のフランス人F1ドライバーとして活躍している。そんなフランスF1の歴史的な展示が行われたのだ。
レトロモビルの変化
レトロモビル開催の少し前、車好きの年配の人たちと話をしていたときに「レトロモビルには行かないの?」と聞くと、「もう行かないよ。この車は何十億だとか、なじみのない車ばかりで、俺らの行くところじゃなくなった」と言っていた。
レトロモビルの会場は、前回紹介したシトロエンDSや各メーカーのブースがあるホール1と、各クラブや3万ユーロでエンスージアストコーナーがあるホール3の2つのエリアに分かれる。開場とともに入場者がなだれ込むのは圧倒的にホール3で、ものの数分で身動きが取れなくなるほどの混雑ぶりだった。ホール3に訪れる人たちは年配の方が多く、懐かしい車を見に来たという雰囲気だ。その一方で、オークションでは高額なクラシックカーが取引されており、レトロモビルは「懐かしい車と出会う場」と「夢の車を手に入れる場」に二極化していると感じた。
3万ユーロでエンスージアストコーナー
好評の「3万ユーロでエンスージアストコーナー」。現在の円安の影響で3万ユーロは500万円を超えてしまうが、感覚としては300万円程度で購入できるヴィンテージカーといった感じだ。ここでは3万ユーロ前後で購入できる車が販売されている。
そこで見かけるのは、ヤングタイマーと呼ばれる1980年代以降の車で、下手をすると中古車のカテゴリーに入るものもある。また、懐かしい車でも小型のものが多い。ミニは相変わらずの人気で、イセッタなどのマイクロカーも注目されていた。中には少し3万ユーロを超えるが、シトロエンDSなども販売されていた。
ホール1:コレクター向けのレア車両
ホール1では、レアな車やレーシングマシンがコレクター向けに販売されていた。フランス国内はもちろん、スイスやイギリスなどヨーロッパ各地のディーラーがブースを構え、昨年のレトロモビルから収集された名車を展示。その中には実際にレースで戦ったマシンも含まれていた。
例えば、ル・マンやグランプリで活躍したブガッティを3台展示したブースや、当時のワークスマシンなども販売されていた。また、ル・マンクラシックなどのメインスポンサーを務めるリシャール・ミルは、「フェラーリのF1での活躍の40年」というテーマで展示を行った。この展示を通じて、フェラーリのF1における輝かしい歴史を振り返り、技術革新や時代の変遷を伝えた。
1970年から2008年の約40年間の変遷は、フェラーリの浮き沈みを示しながらも、最終的にはF1の絶対的王者としての地位を確立したことを物語っている。
レトロモビルは車だけではない
レトロモビルには車だけでなく、バイクの展示もある。その中でも、公式展示の一つとしてエリック・ド・セーニュのバイクコレクションが展示された。彼のコレクションとは一体どのようなものなのか?
次回をお楽しみに。
写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI