藤井聡太竜王・名人と永瀬拓矢九段の4度目のタイトル戦、第74期ALSOK杯王将戦七番勝負が開幕しました。現在第3局が進行中ですが、『将棋世界2025年3月号』では1月12・13日に行われた第1局の模様を、14ページにわたって詳細にレポートしています。
今シリーズがどういう展開になるのか、永瀬九段は過去に「竜王戦七番勝負は、4勝1敗で藤井さんの防衛です。誰が挑戦してもその数字になるのかと」という発言をしていましたが、それを覆すことはできるのか、注目です。本稿では、この特集より一部を抜粋してお送りします。
※2025年2月3日に発売された、『将棋世界2025年3月号』(発行=日本将棋連盟、販売=マイナビ出版)より、一部を抜粋してお送りします。
「誰が挑戦しても」という言葉
(以下抜粋)
昨年11月号の本誌で永瀬拓矢九段が「竜王戦七番勝負は、4勝1敗で藤井さんの防衛です。誰が挑戦してもその数字になるのかと」と語ったことは、ファンや関係者の間で多少なりとも話題になった。インタビューの時点で王将リーグは始まってもいなかったのだが、永瀬はリーグを5勝1敗の好成績で駆け上がり、唯一黒星をつけられた西田拓也五段にもプレーオフで借りを返し、藤井聡太王将との七番勝負へ臨むこととなった。王将戦と竜王戦は、持ち時間8時間の七番勝負ということが共通している。「誰が挑戦しても」という言葉は、永瀬自身にもかかっているのかどうか。
ちなみに竜王戦で挑戦し、2勝4敗で番勝負を終えた佐々木勇気八段からは、前記の永瀬発言に関して「特に気にしません。普通の数字でしょうから」という言葉を聞いている。藤井を追う二番手グループにとって、タイトル戦で挑んでも1勝できればというのは、コンセンサスになっているのだろうか。少なくとも佐々木は永瀬予想を覆した。その直後に始まる今期の王将戦七番勝負が、どのような展開になるのか。注目のシリーズである。
開幕の舞台は掛川城。王将戦ではおなじみだが、前期は会場とならなかった(藤井が4勝0敗で防衛したため、予定の第6局が行われなかった)ので、掛川対局は2年ぶり15回目となる。
掛川城は戦国大名としての今川氏が、終焉を迎えた場所としても知られている。徳川家康が今川氏最後の拠点である掛川城を囲み、今川氏真を降伏させたのが1568年だ。そしてその数十年後の掛川城を舞台としたのが、2006年放映の大河ドラマ「功名が辻」である。
主人公の山内一豊・千代夫人が、飛躍のきっかけをつかんだ場所が掛川城だった。関ケ原へ進軍中の徳川家康に対し、山内一豊が自身の居城となっていた掛川城を、提供したエピソードが有名である。現在の掛川城には、JR掛川駅から大通りを真っ直ぐ進むと着く。その道中には、王将戦開催を祝う幟がたなびいていた。対局2日目が成人の日ということもあり、新成人と見られる方々の歩く姿も見かけた。掛川市市長の久保田崇氏が行った振り駒は、と金が3枚で永瀬の先手に決まる。
(ALSOK杯第74期王将戦七番勝負 藤井聡太王将VS永瀬拓矢九段【第1局】「藤井は難解な局面を突きつける」 記/相崎修司)
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