「日本は良くも悪くも…」サッカーにおける“日本と海外の教え方の違い”とは?元日本代表・小林大悟が言及
藤木直人、高見侑里がパーソナリティをつとめ、アスリートやスポーツに情熱を注ぐ人たちの挑戦、勝利にかける熱いビートに肉迫するTOKYO FMのラジオ番組「SPORTS BEAT supported by TOYOTA」(毎週土曜 10:00~10:50)。1月25日(土)の放送は、ゲストに元サッカー日本代表の小林大悟(こばやし・だいご)さんが登場。ここでは以前、小林さんがテクニカルディレクターを務めていた「パリ・サン=ジェルマン アカデミーJAPAN」について伺いました。

小林大悟さん

小林さんは、清水商業高校からJリーグ・東京ヴェルディ1969(現:東京ヴェルディ)に入団。大宮アルディージャ(現:RB大宮アルディージャ)へ移籍後、当時のサッカー日本代表イビチャ・オシム監督に呼ばれ、日本代表デビュー。

その後、ノルウェー、ギリシャ、清水エスパルス、カナダ、アメリカなどでも活躍し、2022年に現役を引退。現在は、子どもたちのサッカー指導・育成に取り組むなど、さまざまな活動をしています。

◆小林大悟が唸った「パリ・サン=ジェルマン」の育成メソッド

高見:小林さんは現在、主に子どもたちの指導をされているんですよね?

小林:そうですね。僕も小学3年生からサッカーを始めて、本当にサッカーが大好きで夢中になっている時期の子どもたちの指導に携わりたい、という思いは現役時代からずっとありました。

そんななか、2年前にフランスのサッカークラブ「パリ・サン=ジェルマン」の日本アカデミー(パリ・サン=ジェルマン アカデミーJAPAN)が開校して、そこのテクニカルディレクターという役職をいただいたんです。なので、運が良いことに引退してわりとすぐに自分がやりたいことができました。

藤木:パリ・サン=ジェルマンと言ったら、名門中の名門じゃないですか!

小林:そうですね。下部組織から若い選手がちゃんとトップチームに上がってくるので、ずっと良いサッカーをする良いクラブです。

藤木:そのメソッドというのは、技術的なことなのか、体力的なことなのか、それとも、戦術みたいなものですか?

小林:「戦術」ですね。僕らの昭和の時代は、例えば、みんなが集まってコーンを並べてドリブルやリフティングを30〜40分ほど延々とやらされる、という時代があったんですが、そういうことは「家でやってきてください」という感じで、個人的な技術は一切やらないですね。

藤木:“戦術的な教え”というのはどういうものですか?

小林:戦術の最初の段階というのが、例えば、数的優位の局面。“2対1になった瞬間も戦術である”という捉え方をしていまして、「2人で1人の相手をかわすために、どういう距離感でどのタイミングでパスもらえばいいか?」みたいなところから始まります。

ただし、コーチ陣から「ああしろ、こうしろ」とは決して言いません。いつも“どうやったらうまくいくと思うか”を(子どもたちに)考えさせます。

藤木:「こういう考え方でやりなさい」と押しつけるのではなく、そういう状況を提示して、考える力を育てると。

小林:それがまずコーチングである、ということですよね。日本は、良くも悪くも先生がいて正解を教えてくれる“ティーチング”。その一方で、海外のメソッドは、寄り添いながらいろんな可能性を提示してあげる“コーチング”なんです。それだけで(子どもの成長は)大きく違ってくると思います。

藤木:結局、フィールドに立ったら自分たちでやらなきゃいけないし、練習のときから、そういうふうに育てているということなんですね。

小林:小学1、2年生を相手に(コーチングをおこなうと)、最初は子どもたちも「あれ……大悟コーチは何を言っているの?」みたいな感じなんですが、それを繰り返し続けることで、“こういうことなんだ!”と(自分で理解して)身に付けていきます。その成長過程が見られるのは僕もすごく幸せですし、大事なことだなと思います。

そして、必ずしもプロサッカー選手になることがすべてではないじゃないですか、なれない人がほとんどですから。なので、社会に出たときに、物事の判断がサッカーを通して養われていたり、“会社のために自分に何ができるのか? 何をするべきか?”ということを、自分で考えられる大人になってほしいという願いもあります。

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<番組概要>

番組名:SPORTS BEAT supported by TOYOTA

放送日時:毎週土曜 10:00~10:50

パーソナリティ:藤木直人、高見侑里

番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/beat/