約100年落ちのフォード・モデルTで買い物へ|『Octane』UKスタッフの愛車日記

『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。マークの1927年フォード・モデルTの調子はとても良いようだ。ショッピングにもこの車で行ってみたとか・・・

【画像】約100年前の車が、買い物ドライブなどにデイリーユースできるなんて!(写真3点)

2024年の夏は、このフォード・モデルTをかなり使い込んだが、間違いなくその恩恵を受けている。気になっていた低回転域でのふらつきは完全に解消され、タンクに入れる無鉛スーパーガソリンもある程度目処がついた。モデルTには、もちろんハイオクガソリンは不要だが、エタノールの含有量が少ないので、停めている間に燃料がすぐに劣化することは防ぐことができるはずだ。

100年落ちまであと3年という車にしては、驚くほどメンテナンスの必要がない。車に対して申し訳ないと感じるほどだ。全般的なオイルとグリスの頻繁な交換とは別に、年に2回ほどオイルを交換し、ラジエターのヘッダータンクの水量に注意している。走るたびに少し減るが、ほとんどがラジエターからわずかに漏れているのが原因だ。漏れ防止のブラックスプレーで、少しは低減できているようだ。それにシステム自体は加圧されていないので、心配はしていない。

最近、この車の調子がとても良いので、テスコでの買い物へモデルTで行ってみることにした。大した遠出ではないように聞こえるかもしれないが、私の家とテスコのあるラドローの間には巨大な丘陵地帯があり、そこを25分ほどかけて走るのだ(冗談抜きで、そこは”馬殺しの道”と呼ばれている)。うれしいことに、モデルTは長い長い上り坂をずっとトップギアで、しかもオーバーヒートすることなく走り続けた。

よくあることだが、テスコで買い物をしてから駐車場に戻ると、数人の男性たちが敬意を払いながらこのヴィンテージカーを囲んでいた。そして、会話が始まった。20代半ばと思しき男性は、フリーランスのパネル職人で、車好きではあるものの、今までヴィンテージカーを所有することなど考えたこともない様子だった。ボロボロでパテだらけのモデルTが放つ輝きを見た途端、彼は心を入れ替えたようだ。そこで私は彼に、地元の農道をドライブしてみないか?と申し出た。私は、チャンスがあるならいつでもこの古い車の伝道師となるのだ。

伝道や説教といえば、その帰り道で、何度か通り過ぎたことはあったものの立ち寄ったことがなかった、小さな教会に立ち寄った。私はまったく信心深くはないが、私のパートナーはとても敬虔な家庭で育った。そのため私は、イギリスの多くの教会の、古くとも美しい建築の良さが理解できるようになった。正面ドアの上には、幻想的なノルマン様式のティンパナム(鼓室、11~12世紀の石に彫刻を施したパネル)があり、まさに宝石のような教会だ。

信じられないほど古いと思われるかもしれないが、私のモデルTもこの教会の10分の1程度には古いのだ。

夏の終わりの夕暮れに、沈みゆく太陽が生垣を黄金色に染めた静かな小道をこの車で走ると、平和で静寂な気分になる。

文:Mark Dixon