大王製紙エリエールが、婦人科医・佐藤杏月氏監修のもと、生理痛の重さを3つのレベルに分けた診断方法を紹介している。

生理痛の重さレベルを診断

生理痛は「鎮痛剤を飲めば問題ない」「毎回、寝込むほどつらい」など、人によって重さのレベルが違う。しかし、生理痛がひどくても、病院に行くべきか悩む人は多いかもしれない。そんなときは、下記で紹介する「軽度レベル」「中度レベル」「重度レベル」の生理痛の目安を参考に、自分の生理痛がどれにあてはまるのかをチェックすることができる。

軽度レベル

軽度レベルの生理痛の目安となるのは、「腹痛や腰痛、頭痛などはない、またはあっても軽い」「痛みはあまり気にならず、鎮痛剤を服用する必要はない」「日常生活に支障はなく、通学や通勤は問題なくできる」。

軽度レベルは、日常生活にほとんど支障をきたさない、軽い痛みを指す。鎮痛剤を服用しなくても、普段どおりの生活ができる程度の痛みが該当する。

中度レベル

中度レベルの目安は、「腹痛や腰痛、頭痛などの症状が出る」「鎮痛剤を服用すれば、痛みがある程度治まる」「時々生理痛で横になる必要があるなど、日常生活に少し支障が出る」。

中度レベルの生理痛は、鎮痛剤を服用することで痛みが軽減される程度の痛み。腹痛や腰痛、頭痛などの症状で、時々横になる必要があるため、日常生活に多少支障をきたすことのある程度の痛みがあてはまる。

重度レベル

重度レベルの目安は、「耐えられないほどの腹痛や腰痛、頭痛がある」「生理のたびに鎮痛剤を服用しており、飲んでも効かないことがある」「強い痛みで座っていられない、寝込むことがあるなど、日常生活に支障が出る」の3つ。

重度レベルの生理痛は、耐えられないくらい強く、鎮痛剤を服用しても効かないほどの痛み。強い腹痛、腰痛、頭痛などにより、座っていられずに寝込むことも多い。重度レベルの生理痛にあてはまる場合、婦人科の受診が推奨される。

重い生理痛を経験した人は、どのくらいいる?

2024年8月26日~9月1日、10~50代の女性4,058人を対象に、生理痛に関するアンケートが行われた。

「座っていられない」「寝込んでしまう」など、日常生活に影響が出るほど重い生理痛の症状を経験したことがあるかを尋ねたところ尋ねたところ、47.7%が「はい」と回答した。回答者の約2人に1人は重い生理痛を経験していることになる。

  • 「座っていられない」「寝込んでしまう」など、重い生理痛を経験したことはある?

続いて、生理痛がつらくて婦人科を受診したことがあるか尋ねたところ、21.8%が「はい」と回答した。重い生理痛を経験した人は多くても、婦人科を受診する人は少ないことから、受診に対するハードルが高いことがわかる。

  • 生理痛がつらくて婦人科を受診したことはある?

多くの人が「生理期間中だけ我慢すればいい」「どの程度の生理痛で受診したらいいのかわからない」という思いから、受診を先延ばしにしている可能性が高いといえる。この回答を年代別に分けると、下記のような結果となった。

  • 年代別・生理痛がつらくて婦人科を受診した人の割合

生理痛がつらくて婦人科を受診したことがある人を年代別に見てみると、最も多いのは20代で25.9%だった。次いで、30代が24.3%、40代が24.1%と、ほぼ同じ割合となっているが、20代をピークに受診者は徐々に減少している。

生理痛はどうして重くなる?

生理痛は、子宮内膜がはがれ落ちる際に分泌される「プロスタグランジン」という物質によって引き起こされる。プロスタグランジンは、子宮を収縮させる働きがあり、この収縮が生理痛の原因。プロスタグランジンの分泌量には個人差があるため、痛みの強さも人によって異なる。

しかし、生理痛が特に重く感じられる場合は、子宮内膜症や子宮筋腫といった病気のほか、子宮収縮が強い、子宮頸管が狭い、冷え・ストレスによる血行不良などが影響していることも考えられる。特に病気が原因の場合は治療が必要なケースもあるため、早めの受診が必要となる。

子宮内膜症や子宮筋腫などの病気

生理痛が重くなる原因のひとつに、子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科系の病気が関係している可能性がある。子宮内膜症とは、通常は子宮内にあるはずの子宮内膜が、卵巣や子宮筋層内、骨盤内で発生してしまう病気。

また、子宮筋腫は、子宮平滑筋に良性の腫瘍ができる病気になる。これらの病気が原因となる生理痛は「器質性月経困難症」と呼ばれ、特に20代後半以降に多く見られる。年齢とともに生理痛が悪化し、生理の期間中ずっと痛みが続くのが特徴。

子宮収縮が強い、子宮頸管が狭い

子宮内膜症や子宮筋腫などの病気がないにもかかわらず重い生理痛がある場合は、子宮収縮が強い、子宮頸管が狭いといったことによる「機能性月経困難症」の可能性がある。

機能性月経困難症は、プロスタグランジンの分泌量が多いことや、子宮の発育が未熟なことなどが関連しており、初潮から2~3年経った頃から生理痛が重くなり始める。10~20代前半の女性に多く見られ、経血量が多い生理の2、3日目に生理痛が重くなるのが特徴。機能性月経困難症の場合、年齢とともに生理痛が軽くなるケースもある。

冷えやストレスによる血行不良

冷えやストレスによる血行不良も、生理痛を重くする原因に。特に下半身が冷えると、骨盤内の血行が悪くなり、生理痛がさらに悪化することがある。

また、ストレスは、自律神経のバランスを乱して血行を悪くし、生理痛を重くする原因になる。そのため、生理中は体を冷やさないようにしたり、ストレスを溜めないようにしたりすることが大切。

生理痛で婦人科を受診する目安

  • 中度・重度レベルの人は婦人科の受診を

生理痛の重さレベル診断で、中度・重度レベルに該当した人は、婦人科の受診が推奨される。特に下記のような重度の症状がある人は病気が隠れている場合もあるため、早めの受診を、とのこと。

  • 生理のたびに鎮痛剤を服用するほどの痛みがある
  • 鎮痛剤を服用しても効かないほどの強い痛みがある
  • 通学、通勤が困難なほどの強い痛みがある
  • 寝込むほどの痛みがある
  • 以前よりも経血量が増えている
  • ゴルフボールくらい大きなレバーのような血のかたまりが出る
  • 不正出血や吐き気、下痢などがある