iScreamのボーカルスキルが存分に堪能できる最新EP『TWENTY』がリリースされた。三者三様のメロディアスな歌唱と、そこから生まれる緻密な織物のようなハーモニーに加え、今回はグルーヴ感やスケール感がぐっと増した印象。Ryosuke "Dr.R" SakaiやDa-iCEの花村想太という新たなプロデューサーたちとの出会いもあり、メンバー全員20歳を迎えたRUI、YUNA、HINATAの3人は、目指すべきアーティスト像がこれまで以上にハッキリと見えてきたようだ。
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—メンバー全員20歳となって初めての作品ですが、今回も音楽性やコンセプトについて皆さんで話し合ったんですか?
RUI:「Sorry Not Sorry」の制作は、スタジオにこもって一から作ったんですが、そのときに「次の作品はiScreamとしてプライドを持って、自分たちが本気でかっこいいと思える、自慢できるような楽曲を作ろう」という意思が固まりました。前々からこういう曲を作りたいという意識は共通してあったので、そのタイミングが今回来たという感じだったと思います。
—「Sorry Not Sorry」はSakaiさん(Ryosuke "Dr.R" Sakai)がプロデュースしてますよね。
YUNA:そうですね。Sakaiさんと初めて顔合わせしたのが、楽曲を作る前に皆で一緒にご飯に行かせていただいたときで。そこでいろいろコミュニケーションをとって、Sakaiさんも私たちの意見を汲み取って曲を作りたい、って言ってくださって。iScreamとして歌詞を初めて作らせてもらったのも(※Yui Mugino、Sakaiとの共同クレジット)「Sorry Not Sorry」なので、いろんな挑戦をさせてもらった曲でもあります。
—Sakaiさんとは、どういう意見を交わしたんですか?
HINATA:Sakaiさんが、「1人でも輝けるけれど、3人それぞれが個性を爆発させながら、合わさった時にiScreamになるのが、iScreamが一番輝く方法なんじゃないかな」って話をしてくださって、実際に自分たちの個性が出るパートを作っていただいたりしました。「Sorry Not Sorry」はSakaiさんが音を打ち込んでいるところから、私たちも一緒にスタジオにいて、鼻歌でメロディラインを考えて……っていうところからトライさせていただいたので、自分たちが思い描く歌が作れました。Sakaiさんが私たち一人一人の魅力を引き出してくれたのかなって思います。
—去年のインタビューで、「Heart of Gold」みたいな曲をもっとやりたいって話を皆さんしていたので、こういう方向性はすごくいいなと思いました。以前SKY-HIさんの取材でSakaiさんに話を聞いたことがあるんですけど、90年代のヒップホップやR&Bがルーツにある人だから、iScreamの音楽との相性は良さそうだなと。実際、3人が好きなものと通じる部分があるんじゃないですか?
YUNA:あると思います。Sakaiさんが音楽に対して思ってらっしゃったことと、iScreamとしてどういう音楽をやるべきなのかという考えが、似ていたと思います。例えば、私たちがどういう曲を歌いたいかみたいな話をしていた時に、Sakaiさんがこういう曲を歌ってほしいんだよねって「Lady Marmalade」(映画『ムーラン・ルージュ』主題歌)を爆音でかけてくれて。私たちは「はい、それです!」みたいな(笑)。ハモってみんなで個性出してるけど、めっちゃかっこいいみたいな、言葉で説明するのは難しい部分も、Sakaiさんがリファレンスで流してくれる曲が全部「それです!」って納得できたので、私たちもやりやすかったです。
RUI:Sakaiさんと『TWENTY』に向けて楽曲を作っていく中で、iScreamは1人1人のディーバが3人揃ってiScreamっていう話を何度かしていて。ダンスパフォーマンスを妥協しない部分はもちろんなんですけど、「私たち3人が誰かにとっての歌姫であることを証明する」ってことに自信持っていいよって言ってくださってハッとしたというか、その言葉がすごく頭に残っています。iScreamって確かに、そうなれる存在だよなって思いました。
—「Sorry Not Sorry」「Runninʼ」では皆さん歌詞を手がけてますよね。
YUNA:私はずっと作詞したかったので、やっとできたのが嬉しかったですし、それがSakaiさんの楽曲で良かったなと思います。
HINATA:「Sorry Not Sorry」に関しては、新しいiScreamの始まり、覚悟といった、強い意思を持った歌詞です。「Runnin」は、iScreamにとって初めてと言ってもいいくらいのディープな楽曲で、デビュー当時だったら歌えなかったと思います。20歳になったばかりですけど、これからこういう曲も選択肢に入ってくるんだなと実感しました。最初にYUNAが歌詞のアイデアをいろいろ言ってくれて、それぞれ葛藤はあるけど、もっと輝けるようにすべてを解き放って駆け回る、そういう疾走感が表現できている気がします。
YUNA:19、20歳くらいのときって、周りに遠慮したり、やりたいけどやらせてもらえなかったりという葛藤があると思うんです。「本当にやりたいことはこれなのにな」っていう。私にもそういうことがあって、この歌詞のアイデアを思いついたんですけど、自由を感じたくて、夜に思わず走り出したくなって、自分の感情を爆発させる瞬間を、この「Runnin」では表現しています。
—提供された楽曲を歌ってパフォーマンスしてっていうところから、作詞という領域にもチャレンジしたことで、大きな自信になったのでは?
HINATA:はい。曲への新しい感情が湧いてきました。特に「Sorry Not Sorry」は、3人の、iScreamに対しての思いを詰め込んだ曲なので、ステージに立つ時にこれが1曲目だと気が引き締まるし、背中を押してもらえるような曲になりました。作詞や作曲など、まだまだ勉強するところだらけなんですけど、今回の制作の仕方はiScreamに合ってるなってシンプルに感じたので、これからも楽曲に深く携わっていきたいなって思います。ここから私たちが成長していく中で、Sakaiさんはじめ、誰かと一緒に楽曲を作らせてもらう時に、もっとすごい楽曲を生むことができるんだろうなって、期待もありながら好奇心も湧いています。
RUI(Photo by Mitsuru Nishimura)
花村想太とのコラボレーション
—3人ともボーカリストだから、トップラインを考えるときに自分の声でメロディを紡げる。そういう部分では直感的な曲作りがしやすそうですよね。「ハルジオン」はDa-iCEの花村さん(花村想太)からの提供曲ということで、大きなトピックだと思いますが、この曲に関してはどうですか?
HINATA:「ハルジオン」は、iScream久々のバラードなんです。1番の歌詞が男性目線、2番が女性目線。私たちにとっては、男性目線の楽曲を初めて歌うということで、いつもとは違う気持ちでレコーディングさせていただきました。花村さんもレコーディングの現場に来てディレクションしてくださって。花村さん自身も表に出てアーティストとして活動されている方なので、同じ目線でレコーディングを聞いてくださったり、アドバイスしてくださったりして、自分たちもやりやすかったです。
RUI:花村さんとは1stアルバムの「茉莉花 -Jasmine-」で、花村さんがメディアやSNSで「最近よく聴いてる」って言ってくださったのがきっかけで今回ご一緒することになって。1、2年くらい前から、私たちがもっともっと成長できた時にステージや楽曲でご一緒させてもらうことが一つの目標だったので、こうやって叶えられることができて嬉しいです。私たちからしたら大先輩ですが、花村さんは同じ歌い手としてiScreamのことを見てくださっているような気がして、レコーディングの時もどういう感情を乗せるとか、どういうアクセントをつけるとか迷った際も「どっちもいいと思うし、皆さんがやりたいように表現してください」って、こちらに委ねてくださったことが印象的で。iScreamにとって大きな転機というか、ターニングポイントになる曲になればいいなって思いました。
—あとは既に世に出ている「Jellly Fish」と「Kira Kira」の2曲に関してはどうですか?
HINATA:「Jellly Fish」は夏ど真ん中にリリースした楽曲で。聴いた感じはポップでキャッチーなんですけど、歌詞には仲間との絆だったり、大切な人との思い出を一瞬一瞬刻んでいきたい、という意味が込められています。クラゲはふわふわしてるけど毒を持っていたり、見た目と中身のギャップがあるので、それって誰しもが持っているものだと思って。あと、クラゲダンスというダンスを、イベントとかで皆さんが踊ってくれて、盛り上がる楽曲になりました。iScreamの楽曲はダンスが難しいものが多かったんですけど、「Jellly Fish」は今までで一番簡単で、皆さんもトライしやすいダンスだと思うので、11月からのライブも控えてる中、皆さんと盛り上がる1曲として定番になっていったらいいなと思います。
—「Kira Kira」はTakuさん(☆Taku Takahashi)ですね。
RUI:「Jellly Fish」も「Kira Kira」も、ライブやフェスで皆さんと盛り上がれる曲っていうテーマがありながら、iScreamとしての軸もあって、私たちが伝えたいメッセージもあって……というバランスを意識して作っていただいた楽曲です。「Kira Kira」は最初、Takuさんとまだどういう曲になるか知らないままミーティングの場を作っていただいた際、「最近TikTok何見てるの?」「最近友達とどういう会話するの?」という世間話を1時間くらいしたら、じゃあ曲を楽しみにしていてくださいとおっしゃって、しばらくしてからこの曲のデモをいただいたんです。3カ月連続リリースの中でも、ファンの皆さんから一番好きという声が多い、人気の高い楽曲の一つです。盛り上がるだけでなく、心の繊細な部分に寄り添ってくれる曲になっていると思います。
—ボーカル面に関して何か大変だったことはありますか?
YUNA:あるがままに歌った感じです。ボーカルの先生がオーディションの時からご一緒している方で、毎回ボーカルのレッスンをする時にiScreamのこれからの話をするんですけど。こんな曲ができたらいいよねってお話をしている中で、この3曲とEPができて。2人もそうだと思うんですけど、難しいパートだったり、いつもの歌い方と違うなってところは多少ありましたが、それは日頃のボーカルレッスンの成果もあり、そこまで苦戦せず、技術というより、自分の感情で歌うことができました。
HINATA:私は「Jellly Fish」の”闇に漂う発光体”という長いパートがあるんですけど、そこは苦戦しました。短い小節の中に言葉数がたくさんあって、音程も行き来して早口言葉みたいなんです。舌が回らなくて難しかったんですけど、今では歌うのが気持ちよくなってきて、お気に入りポイントになってます。
YUNA(Photo by Mitsuru Nishimura)
最強の5曲とともに踏み出す一歩
ーさっきRUIさんが話してくれたSakaiさんから言われた「1人でも輝けるけれど、3人それぞれが個性を爆発させながら、合わさった時にiScreamになる」っていうのがすべてを表してるなぁと、あらためて思いました。YUNAさんはこのグループでは早くからラップをしてましたけど、ラップは慣れました?
YUNA:慣れてきました!最近、ラップの曲ばかり聴いてます。iScreamはキャッチーさを大事にしているからこそオンビートで歌うけど、いつかラップだけの楽曲を作って、ガチガチにレイドバックさせたりしてオフビートで歌ったりもしたいなって思います。今回ラップパートがめちゃくちゃあったので、一曲一曲声色を変えてやれたかなと思っていて。「Sorry Not Sorry」はイケメン風で、「Jellly Fish」はめちゃくちゃ音が低かったんですよ。「Runnin」は喋ってる口調で挑戦しました。
—ラップスキルも上がって、そういう意味でもSakaiさんと一緒に仕事ができて良かったですよね。
YUNA:めちゃくちゃ楽しかったです。いつもラップしてても自分の中だけで完成させてしまうんですけど、今回はSakaiさんがもっとこうしてって言ってくれたおかげで、より生き生きとラップできたと思いますし、Sakaiさんが普段一緒に作ってらっしゃる方もヒップホップの方が多いので、すごく勉強になりました。
RUI:ラップしてる時のYUNAって本当にイキイキしてるなって隣でパフォーマンスしていても、レコーディングを見ていても感じます。ラップをいろんな曲でカマしてくれるごとに、イェーイってなりながら。でもバラードとかになると、歌でダイナミックさを出してくれるので頼もしいです。
—HINATAさんは今回の新しいiScreamの5曲をやってみて、自分の役割をどういう風に捉えていますか?
HINATA:私の役割は基本的には、色付けと最後のスパイスです。私、ラップをする時も歌う時も、あんまり意識しすぎずに「どうも、HINATAです」っていう感じを大事にしている感じです。曲を聴いてもらった時に、HINATAのパートがなんかクセになるなと思ってくれたら勝ちかなと思ってるので、ポイントは押さえつつ、自分の特徴が出るように考えてますね。
—この新しいEPの5曲を携えて11月28日の宮城からツアーが始まりますね。5カ所を回るのは初だと思いますが、どうですか?
YUNA:楽しみです! 早く「Runnin」でライブをしたいですし、新しいiScreamを掲げて初めてのライブなので、どういう風にライブを作っていこうとか、何をファンの人たちに届けたいんだろうとか、最近ずっと考えていて。私たちもこの5曲が揃ったことで、よりiScreamらしさが出てきたと思いますし、これまでの形にとらわれずにRUI、YUNA、HINATAのそれぞれが見えるライブになるんじゃないかなって思ってます。
RUI:まず、この最強の5曲が、私たちのもとにあることがすごく心強くて。ツアーができるワクワクとともに、この楽曲たちがすごくかっこよくて、自信を持って届けられるからこそ、楽曲を越えるようなライブができることを証明しないといけないという、ちょっとした責任みたいなものも個人的には感じています。でもここまでやれたからには、あとはライブで証明するだけですし、ステージで私たちの強みを存分に出せればいいなと思います。
HINATA:今回、地元の仙台が追加されて、ライブとしては初めて仙台に行くんです。初日なのですごく緊張するんですけど、待ってくださってたファンの方、友達も家族もたくさんいるので、仙台でできることがすごく嬉しいなって思ってます。20歳になって、キュートでキラキラというライブよりは、よりアーティスト性が強くなった大人なライブができるのかなって思っているので、ガラッと雰囲気を変えていきたいです。
—これまでの歩みを見てきたファンだったら、その成長をより楽しめますね。
HINATA:そうですね。いつもはピンクとか紫をテーマカラーにすることが多くて、グッズもそういう色味が多かったんですけど、今回はコンセプトである赤や黒を基調にしたグッズを作って。ステージからの見え方も全然違うと思うので、そういうところも楽しみです!
HINATA(Photo by Mitsuru Nishimura)
<INFORMATION>
New EP『TWENTY』
iScream
発売中
[Streaming & Download]
[収録曲]
Sorry Not Sorry
Jellly Fish
Kira Kira
ハルジオン
Runnin
@rollingstonejapan iScreamが「Sorry Not Sorry」をアカペラver.で披露! #iScream #アイサケ #sorrynotsorry #SINGS #アカペラ #acapella #fyp #rollingstonejapan #rollingstone ♬ オリジナル楽曲 - Rolling Stone Japan