大谷翔平、”MVP確実”はまたも異次元!? 歴代MVP受賞者との成績を徹底比…

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 2024年MLB表彰選手発表の最後を飾るのが、現地時間11月21日(日本時間22日)に発表予定のMVPである。「50-50」の達成など今年も活躍を見せたロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手は、ナショナルリーグMVPの受賞がほぼ確実視されている。今回は今季の大谷選手の成績を、過去のMVP受賞者の成績と比較していきたい。(文:島倉孝之)
 
MVPは間違いなし…?
 2024年のナショナルリーグMVP受賞がほぼ確実視されている大谷翔平選手。近年の受賞者と成績を比較すると、その内容は決して引けを取るものではないことがわかる。さらに、2000年代に圧倒的成績でMVPを受賞した大選手とも成績を比較した。大谷選手が今後さらなる高みを目指す目標となる大選手とは誰か?詳しく見ていきたい。
 
 なお、本記事では、2000年以降の受賞者を比較対象とする一方、大谷選手に加え、アメリカンリーグMVPの受賞が確実視されているニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジ選手も2024年のMVP受賞選手として扱う。対象は延50名、うち大谷選手を含む野手は延48名になる。
 
 まずはWARの比較だ。WARとは、代替可能選手と比較した勝利数の上積み幅を推計した指標で、貢献度を示す指標のひとつである。数値は米分析サイト『Baseball Reference』のものによった。
 

 
 2024年大谷選手のWAR は、13位タイの9.2となっている。二刀流で活躍し、投打両方のWARが加算された2023年大谷選手のWARは8位だった。
 
 1位、2位は2001~2002年のバリー・ボンズ選手で、同選手の両年のWARは11ポイント台後半だった。大谷選手の現チームメイトであるムーキー・ベッツ選手は、ボストン・レッドソックス時代の2018年に4位のWARを記録した。
 

 
 対象受賞者の受賞年の成績の中で、2024年大谷翔平選手の打撃成績項目別順位は以下のようになる。率の指標に比べ積算型の指標の方が高順位だ。
 
 打率36位 出塁率37位 長打率13位 本塁打6位 打点12位 盗塁2位
 






打撃成績で歴代MVPを比較!
 2024年に大谷選手が達成した記録の中で最大といえるものが54本塁打59盗塁である。これを踏まえ、野手(二刀流選手含む)として受賞した48選手に関し、本塁打数と盗塁数の相関分布を以下に示した。
 

 
 2024年大谷選手のほか、2023年ロナルド・アクーニャJr.選手が本塁打、盗塁とも高数値を記録している。
 
 ただし、2人の盗塁数に関しては、2023年導入のルール改正(ピッチクロック導入、牽制球の制限など)の影響を受けている可能性がある。
 
 その点、この影響がない2001年イチロー選手の盗塁数(56)の価値は高い。年間30本塁打30盗塁を達成したMVP受賞選手は、大谷、アクーニャJr.両選手のほか、2007年ジミー・ロリンズ選手、2011年ライアン・ブラウン選手、2018年ムーキー・ベッツ選手の3人である。
 
 その他、ボンズ、ジャッジ、アレックス・ロドリゲス各選手は、年間50本塁打、10盗塁を同時に達成している。
 
 次に、当該の48選手につき、OPSの構成要素である出塁率と長打率の相関分布を以下に示した。

 

 
 2024年大谷選手は、長打率では上位だが出塁率は中位の下に位置する。特筆すべきは2001年~2004年のボンズ選手で、他の選手に比べ出塁率、長打率とも突出して高い。
 
 これに続く長打率を記録しているのが2022、2024年のジャッジ選手で、両選手だけで長打率の1位~6位を占めている。
 
 該当選手の約6割が出塁率.350~.450、長打率.550~.650の水準にある中、2001年イチロー選手、2008年ダスティン・ペドロイア選手が長打率5割未満で、2007年ロリンズ選手が出塁率3割5分未満で受賞している。








現代最強VS歴代最強…?
 以降は、受賞時の成績が突出しているボンズ選手と大谷翔平選手とのMVP受賞時の成績比較を行う。ボンズ選手に関しては、2000年より前の3度のMVP受賞時の成績も含めた。
 

 

 
 受賞時の成績やWARについてみると、1990年代のボンズ選手と2020年代の大谷選手が類似している。ただし、出塁率はボンズ選手の方が若干高く、本塁打は大谷選手の方が若干多い。
 
 これらの数字を大幅に上回るのは、2000年代のボンズ選手の成績だ。中でも、2001年の本塁打、2001~2004年の四球数の多さが顕著である。率に関する指標で大谷選手が2000年代のボンズ選手を上回るものはない。
 
 もっとも、両選手の比較に際しては、MLB全体の成績推移を考慮する必要がある。以下に、1990年以降のMLB平均の打率、出塁率、長打率の推移を両選手のMVP年と合わせて示した。
 

 
 ボンズ選手が4年連続でMVPを受賞した時期と比較して、大谷選手がMVPを受賞した時期は、MLB全体で主要打撃指標の平均値が低下している。
 
 ボンズ選手が73本塁打を記録した2001年と大谷選手が「50-50」を達成した2024年を比較すると、各数値は以下に推移した。
 打率:.264→.243(△.021) 出塁率:.332→.312(△.020) 長打率:.427→.399(△.028)
 
 この要因としては、投手のレベルの向上のほか、ボンズ選手自身も疑惑の対象となっている2000年代の薬物使用の広がりが挙げられる。
 
 これらの要因を除けば、2024年大谷選手の成績は2000年代前半のボンズ選手により近い水準にあるかもしれない。
 
 ワールドチャンピオンもMVPも獲った大谷選手にとって、より高い目標を目指すなら打撃面ではボンズ選手の記録になるだろう。
 
 ボンズ選手は4年連続でMVPを獲得したときには30歳代後半だった。対して今の大谷選手はまだ30歳である。
 
 投手としてのサイヤング賞と合わせ、打者として当時のボンズ選手に近い成績も残せれば、クリーンに大偉業を達成した選手として、MLB史に永久に名を刻まれる選手になるだろう。現在もすでにそれに近い存在なのだが。


 


 
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【了】