フジテレビは10月31日、東京都立産業貿易センター浜松町館で開催されたTIFFCOMセミナーで「Fuji Television Global Vision 2024~フジテレビグローバル事業戦略発表会~」を開催。シリーズドラマの共同制作・共同プロモーション、ショートドラマの共同制作、子ども向けIPのアジア進出となるショート音楽コンテンツの共同制作などを発表した。

  • 左から エカチャイ・ウエクロンタム(タイ GMMスタジオ・インターナショナル社)、エスター・ウィン(東南アジア POPS Worldwide社)、石井浩二(フジテレビ)、パク・テウォン(韓国 PLAYLIST社)、ファン・ゼホン(韓国 カカオエンターテインメント社)

このイベントでは、タイのGMMスタジオ・インターナショナル社からエカチャイ・ウエクロンタム氏、韓国のカカオエンターテインメント社からファン・ゼホン氏、韓国のPLAYLIST社からパク・テウォン氏、東南アジアのPOPS Worldwide社からエスター・ウィン氏が登壇し、それぞれとのパートナーシップについてのトークセッションを展開。また海外のバイヤーや出展者らを対象に、今後のフジテレビのグローバル戦略について展望を明かした。

フジテレビ編成総局の石井浩二ビジネス推進局長は、お互いのIPをリメイクするだけに留まらず、WEBTOONから映像化(実写ドラマ化・アニメ化)につながるようなオリジナルIPの開発を海外スタジオ・プラットフォームと共創していくことで、具体的かつ継続的にIPビジネスのグローバル展開をしていく方針を語った。また、フジテレビの得意分野であるコンテンツ制作とメディア連動もクロスオーバーさせていくと共に、ショートドラマの共同開発や、子ども向けIP(ガチャピン・ムック)のアジア進出など新たな領域への参入を発表した。

タイGMMスタジオ・インターナショナル社とは、ドラマ『転校生ナノ』の日本版リメイクを共同制作。リメイクにあたり、オリジナル版の魅力である“1話完結型”の構造や、ナノの神秘的な存在感を維持しつつ、新しい要素を取り入れることなどを重視した制作方針を明らかにした。そのほか、GMMスタジオと同じくGMMグラミーグループ傘下のONE 31 CO., LTDから復讐をテーマとしたドラマ5作品を調達すると共に、その中でも注目の新作となるドラマ『The Lady and Her Lovers(仮)』に主演するタイ屈指の人気女優バイフォーン・ピムチャノック・ルーウィセートパイブーン氏のプロモーション来日を準備していることを発表した。

韓国カカオエンターテインメント社、PLAYLIST社とは、ショートドラマを共同制作。カカオが持つWebtoonの専門性とPLAYLISTが有するショートドラマへの知見を基に、新たな領域への挑戦を目指す。視聴者のコンテンツ消費パターンの変化に伴い、隙間時間へのアプローチを行うと共に、テレビならではの地上波との連動も視野に入れる。今後市場として成長が見込まれるショートドラマ領域において、グローバル展開できる作品を誕生させるために力を合わせていく。

東南アジアPOPS Worldwide社とは「ガチャピン・ムック」の子ども向けショート音楽コンテンツを共同制作し、世界配信。ベトナムをはじめとして、急成長する東南アジアのエンタテイメント市場に進出することで、フジテレビの新たな収益源の確保、国際的なブランド力の向上、またアジアを足がかりとして、グローバル市場における存在感の強化を目指す。POPS Worldwide社との連携では、最新のトレンドや市場環境に最適化されたコンテンツの制作と配信を実現。また日本で長年愛されるフジテレビのキャラクター「ガチャピン・ムック」を活用することで、日本のキャラクター人気が根強いベトナムをはじめに日本文化の魅力を海外へ発信する。

コメントは、以下の通り。

■石井浩二フジテレビ編成総局ビジネス推進局長

「この度、“フジテレビグローバル事業戦略発表会2024”を開催し、今年も多くの関係者の方々との交流の場を持てたことを嬉しく思います。昨年に引き続き、フジテレビはIPビジネスの海外展開を加速させるため継続的に具体性を持ってチャレンジしていきます。リメイクドラマの共同制作、WEBTOONの共同制作、ショートドラマの共同制作、子供向けショート音楽コンテンツの共同制作など、海外スタジオ・プラットフォームと“共創”することで、世界に受け入れられるIPの開発、またWEBTOONからの映像化、ショートアニメからのライセンスビジネスなどIPのマルチユースもグローバルに行っていきます。新たな領域の開拓、新たなパートナーとの共創により、IPビジネスの市場を日本国内から全世界へと拡大していきます」

■エカチャイ・ウエクロンタム GMMスタジオ・インターナショナル チーフ・クリエイティブ・オフィサー兼マネージング・ディレクター 

「GMMスタジオは、フジテレビとのコラボレーションを通し、日本の一流な才能による創造的な視点を活かして、新鮮でエキサイティングな日本社会を舞台に、新たな『ナノ』を世界に送り出せることを大変光栄に思います。このリメイクは、当社のグローバルIP成長戦略と、『ガール・フロム・ノーウェア』の世界観を世界中に広げるというビジョンに沿ったものです」

■パク・テウォン PLAYLIST CEO

「日本の視聴者から高い評価を得た弊社のウェブドラマ制作経験を活かしフジテレビとのショートドラマプロジェクトにおいて良好な協業に大きな期待を寄せています。2024年にはショートドラマの本格的な事業展開を開始し、長期的には世界中の視聴者から愛されるショートドラマを提供していきたく思います」

■ファン・ゼホン カカオエンターテインメント IP事業部チーフ・マネージャー

「昨年のWEBTOON『アクアマン』IPの日本共同制作発表に続き、今年もフジテレビと新たに協力できることを大変嬉しく存じます。特に、WEBTOONの特性に最も近いショートドラマの制作は、メディア間でシナジー効果を最大化するための戦略的な選択だと考えております。今回のプロジェクトを通じて、WEBTOON原作の強みを保ちながら、ドラマコンテンツならではの特性を活かした革新的なコンテンツ制作を目指しております。また、グローバル市場での競争力を確保するために、3社の専門性とリソースを融合させ、最適な制作プロセスが構築されることを期待しております。さらに、この協力が単なるコンテンツ制作に留まらず、韓日両国の文化交流やクリエイティブ産業の発展にも寄与することを願っております。今後、このような協力のモデルを基に、多様なIPを活かしたグローバルコンテンツ制作へと事業を拡大していく予定です」

■エスター・ウィン POPS Worldwide 創業者 兼CEO

「『ガチャピン・ムック』を主役としたこのエキサイティングなプロジェクトで、フジテレビとパートナーシップを組むことを大変嬉しく思います。フジテレビの象徴的な子供向けキャラクターの伝統と、POPS Worldwideが持つ東南アジアの急成長するエンターテインメント市場に対する深い理解を組み合わせることで、地域全体の子供たちや家族に向けた高品質で魅力的なコンテンツを提供できると確信しています。このパートナーシップにより、多様で文化的に豊かなエンターテインメントを世界中の視聴者に届けるという私たちの使命をさらに推し進め、日本のキャラクターの素晴らしさを新しい市場に紹介するこの旅の一端を担えることを誇りに思います」