国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)は、おもてなしの意思表示マークを活用した実証実験「I'm Omotenable! プロジェクト」を10月15日に実施しました。
TOEIC Programを実施するIIBCでは、10月19日を「TOEICの日」と定め、英語に触れる機会を毎年提供しています。今年は外国人観光客に"英語でおもてなし"を実践しました。鎌倉で行われたプロジェクトの様子を、早速ご紹介していきます!
◼「I'm Omotenable! プロジェクト」とは?
本プロジェクトは、IIBCと鎌倉市観光協会とが連携して実施。今回の企画の目的は、「英語に自信はないけれど積極的におもてなしに携わりたい方々」と「困りごとを抱えた外国人観光客」をマッチングさせることで、持続可能な観光地域づくりの一助を担っていくことなんだとか。
IIBCが2023年8月29日~9月2日の期間、全国の20~50代男女501名を対象に実施した調査によると、70%の人が「英語が苦手」と感じている一方で、77.6%が「外国人観光客をおもてなししたい」という意欲を持っていることが明らかに。
そうした背景に基づき企画された本プロジェクトでは、事前に参加者はTOEIC Bridge Listening & Reading Tests(TOEIC Bridge L&R)を受験し、自身の英語力を確認。その後「オモテナブルマーク」を着用して鎌倉市内で外国人観光客と接触し、交流のきっかけをつくります。
◼「I'm Omotenable! プロジェクト」への思い
本プロジェクトについてIIBC総務部長の松田隆さんは、「お困りの外国人と話してみたいという日本人の架け橋、ブリッジになればという思いで、実施にいたりました」と、経緯を説明。
昨年行った浅草での「おもてなしTOEICプロジェクト」の経験から、「英語力やスコアは関係なく、今の立ち位置を知ってモチベーションにしてもらえれば十分なんです。大事なのは"おもてなしの心"であることを伝えていきたい」と話しました。
また、鎌倉市観光協会 事務局長の進藤勝さんは「鎌倉は観光資源が多いため、なかなか行き届かないところが多い。こうしたプロジェクトを通じて、少しでも多くの方がおもてなしの気持ちを持って外国人観光客の方に接していただけると、とてもありがたいです」と、期待を寄せました。
◼いざ、Omotenable!
Omotenable(おもてなぶる)という名前は、「おもてなし」+「できる」+「サステナブル」を組み合わせた造語で、「おもてなしがしたい!」という気持ちが連鎖していってほしいという思いが込められたもの。
ここでは、実際にオモテナブルマークをつけ、おもてなしにチャレンジした参加者の様子を紹介します。
駅前でのおもてなしに挑戦
「初めは不安や緊張があったものの、楽しんでもらいたいという気持ちでチャレンジしました」と話すのは、参加者で俳優の前橋佑樹さん。道に迷っている観光客が多い鎌倉駅前で彼がオモテナブルマークを見せると、"助けてもらえるの?"と外国人観光客がパッと明るい表情になり、自然と会話が生まれます。
「"おもてなし=ホスピタリティ"と伝えると、相手が理解し、安心してくれた様子があり、オモテナブルマークの効果を十分に感じました。まるで、お守りのようです」と、前橋さん。
ほかにも、スマホ片手に江の島名物を伝える光景も。サポートするだけでなく、笑顔で会話を楽しんでいる様子もまた印象的でした。前橋さんに本プロジェクトの感想を尋ねたところ「今回の経験を通してもっと英語を学びたいという向上心が芽生えた」と、新たな想いを伝えてくれました。
店舗でのおもてなし
続いては、こまち茶屋の店長・山内宏幸さんのおもてなしを見ていきましょう。
山内さんは「英語は得意ではないけれど、接客を通して何かお役に立てれば」と参加を決意。実際に観光客を接客した際は、「どうしたら伝わるかな、聞き取ってもらえるかなと、そればっかり考えていました」と振り返ります。
また、金平糖について尋ねられた場面では「Sugar drop(シュガードロップ)」という表現で説明。
「オモテナブルマークがあると、より頑張らなくちゃという気持ちになりますね。英語に自信がなくても気持ちは前向きに、積極的におもてなしをしたいなと思いました」と語ってくれました。
商業施設「あいざ鎌倉」でのおもてなし
続いては、商業施設「あいざ鎌倉」でのおもてなしをのぞいてみましょう。
「何かやってみたいという気持ちから挑戦しました」と語るのは、大学生の砂賀聖亜さん。今回、初めてのおもてなしを体験した砂賀さんは、次のような苦労を語ってくれました。
「簡単な単語ですが、いざやりとりをすると分からないところも多くて。『焼肉って何?』と聞かれたときは、看板の写真を見せて"これだよ"と説明してしまいました。言葉で伝えるとなると難しかったです」
当初は、外国人観光客をもてなすイメージがしづらかったそうですが、実証実験後は、「やりとりをしたいという気持ちが、0から1に変わりました。自分が住んでいるところで困ってそうな人がいたら、少しでも話しかけられるようにしたいと思います」と、気持ちの変化を話してくれました。
◼実証実験を終えて
プロジェクトを終え、IIBCの松田さんは「参加者のみなさんの笑顔がすごく印象的でした。『楽しかった』『通じた』という体験が非常に大事なので、英語が苦手だと思わず、まずは触れてみる機会があるのはすごくいいことだと思います」と感想を伝えてくれました。
続けて、「オモテナブルマークによって人と人をつなぎ、コミュニケーションをとるきっかけになればいいなと。お困りの外国人の方と、お話したいという日本人の方々はおそらく各地にいらっしゃると思うので、観光業界、おもてなし業界を中心に、地域も含めて少しずつ広げていけたらいいなと思っています」と、今後について意気込みを語ってくれました。
オモテナブルマークがコミュニケーションのきっかけをつくり、人と人とのつながりを生み出した本プロジェクト。困っている外国人を助ける際、必ずしも高い英語力が必要とされるわけではなく、重要なのは助けたい・サポートしたいという「おもてなしの心」なのだと改めて実感しました。英語に自信がないというあなたも、まずは一歩踏み出してみてはいかがでしょうか?