オタフクソースはこのほど、「お好み焼づくり体験における感性変動」について、慶應義塾大学 理工学部 システムデザイン工学科の満倉靖恵教授と共同検証し、その結果を発表した。調査は関東在住の7~12歳の小学生12名を対象に行われた。

  • 「お好み焼づくり体験における感性変動」を検証

「具材を混ぜる」工程にワクワク度と興味度が上昇

お好み焼は、「材料を切り、混ぜ、焼いてひっくり返す。もう一度ひっくり返して焼く」といった、比較的簡単ないくつかの動作でつくることができるため、子どもがつくって楽しむにも最適なメニュー。そこで今回、子どもたちを対象に検証を実施。「お好み焼こだわりセット」を使用し、生地を混ぜるところから始め、ホットプレートで焼き、お好み焼を完成させた。

まず、ワクワク度が高まったのは、生地の入った直径約20センチのボウルに具材を入れ、まぜる工程。お好み焼づくりの醍醐味とも言えるお好み焼をひっくり返す工程は2回あるが、1回目はストレス度が高くなった。2回目は一度経験した動作であることや、ある程度お好み焼に火が通り固まっていることもあり返しやすく、ワクワク度と好き度が急上昇した。このように1枚のお好み焼を焼く約15分間に、感性が豊かに動くことがわかった。

  • 事前安静状態を基準とした際の各調理工程の変化率

体験中、お好み焼づくりがどんどん好きになっていく

事前の安静状態から各調理工程における個人の変化率の平均で作成したヒートマップでは、前半の工程では興味度が高く、後半になるにつれワクワクするようになり、お好み焼をどんどん好きになっていく様子がわかった。

  • 体験中、お好み焼づくりがどんどん好きになっていく

1回目の「ひっくり返す」は少しストレス、2回目はワクワク

ひっくり返す工程の前後のワクワク度は、1回目はひっくり返す前よりも後の方が高かった一方、2回目はひっくり返す前から1回目よりもワクワクしていることがわかった。1回目の「楽しかった」感覚が、期待感として高まり、「またひっくり返したい」という再体験意欲につながったと思われる。

  • ひっくり返し前後のワクワク度(全被験者で平均して算出)

ホットプレートのフタを開ける瞬間にワクワクが上昇

お好み焼は蒸すことも大切な工程。フタを開けるとふわっと出てくる蒸気と香りに期待も高まる。その瞬間の高揚感や、「おいしそう」という気持ちが感性値に表れた。

  • フタ取り前後の感性値の変化(フタ取り前を100として、フタ取り後の値を各個人で算出し全被験者で平均して算出)

上手にできても、できなくても、お好み焼づくりは楽しい

12名全員が、みんなで焼くのも、食べるのも「楽しかった」と回答している。お好み焼をつくる工程で変動した感性が、もう1つのおいしさとなって、だれかと調理し、食べることの楽しさを感じられたようだ。

  • 12名全員が、焼くのも食べるのも「楽しかった」と回答

自分でつくったお好み焼を食べるほうがワクワク

調理済みのお好み焼より自分でつくったお好み焼を食べたときのほうが、ワクワク度、好き度も上昇。また、自分で焼いたお好み焼の方がおいしかったと12名中8名が回答している。自分でつくることで、調理の楽しさとともに、食への関心が高まっていることがわかる。

  • 喫食時感性比較/どちらのお好み焼きがおいしかったですか?(個人の事前安静状態から、家族が揃って確実に食卓についている食事終了後の3分間の個人平均値の変化率を全被験者で平均して算出)

お好み焼づくり体験により得た達成感は、積極性や自信にもつながる

検証に同席した保護者からは、「最後まで自分でやり遂げることで達成感を得て、家族に『おいしい』と言われ、うれしそうだった」、「これまでは怖さを感じていたようだが、今回、一人でたまごを割ったり、ひっくり返したりする体験を通じ、今後のやる気につながっていた」、「自宅では料理に興味を持っていなかったが、積極的にやっていた」、「危ないという理由で料理をさせていなかったが、一人で全部をできたことがとてもうれしそうだった。家では、私が手を出しすぎていたと反省した」といった感想が寄せられたという。

一方、お好み焼体験終了後の子どもたちへのアンケートで、「大切な家族や友達のために、またお好み焼を焼きたいと思ったか」の問いに、12名全員が「はい」と回答。自分でつくる楽しさやおいしさとともに、自分自身の大切な家族や友だちに共有したい気持ちが生まれたようだ。

満倉教授は「今回の結果は、エンターテインメント性を持つ調理体験が食育において重要であることを強調しています。豊かな感性の育成が子供たちの健全な成長に寄与することが期待されます」とコメントしている。