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前半戦は期待以上といえる活躍をしたロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手。開幕前の専門家による成績予測と比較して数字を振り返ると、想像を超えた活躍ぶりが目に見えてわかる。そこで今回は、前回行った成績予想の答え合わせや、前半戦の成績推移を参考に、大谷選手は最終的にどのような数字を残すのかを予測してみた。(文:島倉孝之)
前半戦成績予測の答え合わせ
2024年のロサンゼルス・ドジャース大谷翔平選手の活躍ぶりは、もはやMLBファンで知らない人はなく、日本の社会現象にすらなったと言っていいだろう。前半戦終了時点の主な数字は、打率.316、29本塁打、69打点と、いずれもナショナルリーグで3位以内だ。
大谷選手に関する開幕時の成績予測の詳細は、4月に掲載された以下の第1回コラムに取りまとめている。
ここに記載のとおり、複数の主体によるMLBの各選手の詳細な成績予測が米データ解析サイト『FanGraphs』にとりまとめられており、以下の主体の予測が記載されている。
FGDC、Steamer、ZiPS、ZiPS DC、ATC、THE BAT、THE BAT X
ここでの開幕時の大谷選手成績予測と現実の前半戦の結果を以下に比較した。なお、前半戦終了時のドジャースの消化試合数は162試合中97試合である。
MLBでの初本塁打は野手としての出場2戦目のことであった。メジャー初本塁打から通算50本塁打まで約3年を要したが、その後は1年に1回のペースで50本刻みの記念となる本塁打を記録している。
打点を除いた各指標が、開幕時の予測値の範囲から好成績の方に外れている。
以下、複数の指標につき、予測値のばらつきを正規分布のグラフで表現したうえで実際の成績を比較したが、ほとんどの指標で、大谷選手の残した数字が開幕時の予測と比べて「ありえない」と言っていいくらいの高レベルなのだ。本塁打や盗塁は、予測値と実際の値があまりに離れておりグラフがいびつになる。
打点だけが「予測の範囲内」なのは、他の数字ほど打点の数字が伸びなかった裏返しでもある。その背景として、前半戦は得点圏の成績が伸びていなかった点(打率.233、本塁打1、OPS.556)があるだろう。前半戦終了時の得点圏での打点は30で、この時点の全打点の半分に満たない。
分析サイトが予測する大谷翔平の後半戦
大谷選手に対する後半戦やレギュラーシーズン全体の予測は、『FanGraphs』によれば以下のようになっていた。予測主体は開幕時と同じ7主体である。確認時間は日本時間2024年7月20日の午前8時で、ほぼMLBレギュラーシーズンの後半戦が始まる直前の時点の数字である。
【後半戦】
出場試合:60~63(平均61)
打率:.278~.299(平均.286)
本塁打:16~17(平均17)
打点:41~51(平均45)
OPS:.929~.998(平均.963)
K%(三振率):21.8%~23.6%(平均23.0%)
AB/HR:12.8~14.7(平均13.5)
盗塁:9~11(平均10)
【シーズン】
出場試合:154~157(平均145→155)
打率:.301~.310(平均.274→.305)
本塁打:45~46(平均39→46)
打点:110~120(平均111→114)
OPS:.991~1.018(平均.936→1.006)
K%(三振率):21.7%~22.4%(平均23.9%→22.2%)
AB/HR:12.8~13.4(平均13.9→13.0)
盗塁:32~34(平均20→33)
※括弧内、矢印の左側は開幕時予測の平均値
予測の傾向をまとめると以下になりそうだ。
・後半戦は前半戦の好成績の反動が来てやや成績を落とす
・それでも、最終的には開幕時の予測値を上回る数字でシーズンを終える
“これまで通り“に予想を大きく覆す?
では、大谷選手は、シーズンが終了時にはどのような数字を残すのか。その数字は予測値のとおりになるのか。過去のトレンドを含め占っていく。
2021年~2024年途中における大谷選手の前半戦、後半戦、各月の成績は以下に推移した。
初本塁打までに時間を要するなど波があるように思えた2024年の数字が、実は近年では最も安定している。
2021年や2023年の6月のような高いOPSを残した月がない一方で、OPSが9割未満の月もない。一方、2021年は後半戦に大きく数字を落とし、9月/10月はOPSが1度も9割に達していない。
しかし、ここだけ取り上げて「今季の後半戦も数字を落とす」とみるのは早計だ。2021年はMLBで1年間通じて二刀流で起用された初めての年で、従前にない疲労が後半戦に来たのもやむを得ない。
2023年9月は故障で試合数が少なく比較対象にはしにくい。DHに専念する2024年は、従前の安定した成績推移が継続する可能性の方が高く、過去に経験していないポストシーズン進出争い、8月に見込まれるムーキー・ベッツ選手の復帰が好要因として作用する可能性もある。
一方、気になる数字もある。過去数年に比べて低位に推移してきたK%(打席数に対する三振率)が、以下のように、7月に入り上昇傾向にあるのだ。これが打率に影響しかねない。
3月/4月:18.8% 5月:21.2% 6月:21.3% 7月(前半戦終了時まで):31.5%
上記を踏まえ、大谷選手のシーズン終了時の数字を、期待を込めて私なりに予測しよう。
50本塁打 120打点 40盗塁 打率.310 OPS1.035
私なりの根拠を簡単にまとめると以下のようになる。
・本塁打、打点、盗塁は、従来経験のないポストシーズン進出の目標に向け前半戦より若干ペースを上げる。
・三振の増加を背景に、打率は前半戦の数字より若干下がる。
・OPSの値は前半戦をほぼ維持。
MLBの歴史上5人しか達成していない「40本塁打40盗塁」も視野に入る。そして、7月に増加傾向に入っている三振を減少させて打率を上昇させ、前半戦伸び悩んだ得点圏打率を上げて打点を上積みできれば、三冠王も現実味を帯びてくる。
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【了】