7月24日、東京都北区の田端文士村記念館で文豪・芥川龍之介の命日を偲ぶ「河童忌」と特別講演会が開催された。芥川龍之介の書斎再現に向けた取り組みが発表されるとともに、「芥川龍之介が好んだお菓子」4品の詰め合わせが限定販売され人気を博した。

  • 「芥川龍之介が好んだお菓子」の詰め合わせが限定販売された河童忌 2024 特別講演会

芥川龍之介の書斎を徹底解剖

文豪・芥川龍之介の命日である7月24日、東京都北区の田端文士村記念館で、河童忌 2024 特別講演会「書斎“澄江堂(ちょうこうどう)”を大解剖! ―芥川龍之介の書斎再現に向けて―」が開催された。

  • 東京都北区にある、田端文士村記念館

「河童忌」とは、芥川の命日である7月24日、故人を偲ぶために親族や友人たちが集った会について名付けられたものだ。生前、芥川が好んで河童を描いたことと、短編小説「河童」にその由来がある。

  • 親族や関係者、そして多くのファンが集った河童忌 2024 特別講演会

芥川は大正3年に北豊島郡滝野川町字田端(現:北区田端一丁目)に自宅を新築し、昭和2年に亡くなるまで居住した。北区は現在、この地に初の単独記念館「(仮称)芥川龍之介記念館」を建築すべく取り組みを進めている。開館は2026年を予定しており、書斎「澄江堂」を再現することで「芥川龍之介を体感できる施設」を目指しているそうだ。

  • 2026年度に開館を予定している「(仮称)芥川龍之介記念館」のイメージ図

河童忌 2024 特別講演会では、転居した当時の芥川の生活とともに、在りし日の芥川龍之介旧居の様子が語られた。また、調査中のものも含めたさまざまな資料から再現された書斎「澄江堂」の模型も発表され、来場者はスライドに見入っていた。

  • 芥川龍之介旧居を再現した模型の書斎部分

芥川龍之介が好んだお菓子の老舗4社がコラボ

芥川龍之介は大の甘党として有名だ。河童忌2024ではこれにちなみ、「芥川龍之介が好んだお菓子たち」としてお菓子の詰め合わせが数量限定販売された。特別講演会でも、書簡に残っている上野うさぎやの「喜作最中」が紹介され、興味を覚えた来場者の多くが講演終了後に売店へと詰めかけた。

  • 来場者はこぞって「芥川龍之介が好んだお菓子たち」を購入し、予定数を完売した

「芥川龍之介が好んだお菓子たち」は、芥川龍之介に愛された4銘菓をセットにしたもの。古くから江戸・東京で親しまれたお菓子を一度に味わえるのはなんとも贅沢だ。

  • 老舗和菓子店4社がコラボした「芥川龍之介が好んだお菓子たち」

一品目は「うさぎや『喜作最中』」。大正12年、鎌倉に逗留していた芥川は、うさぎやのお菓子が恋しくなり、うさぎや二代目当主である谷口喜作に書簡を宛てている。

  • うさぎや「喜作最中」

二品目は「梅園『子とら』」。芥川は「しるこ」という作品で「震災以来の東京は梅園や松村以外には『しるこ』屋らしい『しるこ』屋は跡を絶つてしまつた」と記している。なお、おしるこは喫茶限定商品のため、詰め合わせでは同じ餡を使った子とらを用意。

  • 梅園「子とら」

三品目は「長命寺『桜餅』」。「本所両国」という作品のなかで、「兎に角伯母だけは長命寺の桜餅を一籠膝にしていた―」という一文が残されている。

  • 長命寺「桜餅」

四品目は「船橋屋『くず餅』」。中学生のころに体操の授業を抜けだし、くず餅を食べて口の周りにきな粉をつけたまま学校に戻ったというエピソードが語り継がれているほか、「本所両国」の中で食べるシーンも描かれている。

  • 船橋屋「くず餅」

河童忌2024限定商品のため、詰め合わせはすでに購入できないが、各銘菓に興味を覚えた方はぜひ各店で芥川龍之介の愛した味を試してみてほしい。