
メジャーリーグ 最新情報
今シーズンのメジャーリーグは
初回登録は2週間無料トライアル実施中![PR]
ムーキー・ベッツ選手の故障離脱以降は代役として1番に入り、以降1番打者が定着したロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手。一番力を発揮できる打順は何番なのか?今回は、ドジャースの主なチームメイトの打順別成績を含めながら、大谷選手の成績と打順との関係について分析する。今季成績は現地時間2024年7月8日時点のものとする。
まずは、打順別にみた大谷選手の先発出場試合や打席数の割合について見ていきたい。キャリア通算、2021年以降の各年では以下のようになる。
キャリア通算でみた場合、先発出場試合数・打席数とも、2番打者としての起用が全体の4割強と最も多く、3割台前半を占める3番打者がこれに次ぐ。1番打者としての起用は約1割にとどまっている。
2021年、2024年は2番打者としての起用が先発数で8割前後を占めるが、2022年は半分以上が3番打者としての起用である。2023年は、半分以上が2番打者としての起用だったが、3番打者としての起用も4割以上あった。
これまでで一番打てている打順は…?
大谷選手の打順別にみた主な成績(通算、2024年、2023年)は以下のようになっている。
通算でみた場合、わずかながら2番打者としての成績が1番打者のものを上回っている。1番の場合と比べてOPSは2番の方が2分7厘高く、AB/HR(打数を本塁打数で割った数字、本塁打1本に要する打数)は2番の方が0.8ポイント小さくなっている。
3番打者としての成績は1番、2番に比べると低位で、その差はOPSにして1割2分台~1割5分台になっている。
2024年に限れば、1番打者としての方が好成績だ。打率ではほとんど差がないが、出塁率で5分3厘、長打率で1割6分台、OPSで2割以上の差がついている。
AB/HRは1番の方が6ポイント以上少なく、本塁打の確率も高い。BB%(打席数に対する四球の割合)は1番の方が7ポイント以上高い反面、K%(打席数に対する三振の割合)は1番の方が約5ポイント高い。
2024年に関しては、1番に定着した時期が6月中旬~下旬の好調時と重なっていることから、打順のよりも打撃状態の方が影響している可能性が高い。
なお、2番打者としての成績に限ると、2023年の方が2024年に比べ好成績である。その差はOPSに換算して2割以上となっており、K%を除くすべての指標で2023年の方が高くなっている。この2023年は、先発出場数は5試合と少ないながらも1番打者としても好成績を残している。
今季のドジャース1番、2番打者の成績
ここからは、2024年ドジャース全体の視点で考える。今シーズンのドジャースで1番打者として先発出場したのはベッツ選手と大谷選手だけである。
2番打者として先発出場したのは大谷選手、ウィル・スミス選手、フレディ・フリーマン選手、テオスカー・ヘルナンデス選手の4人だ。ベッツ選手の故障前は、大谷選手が休養した3試合ではフリーマン選手が2番を務めた。
故障したベッツ選手に代わり大谷選手が1番を打ってからは、捕手のスミス選手が2番を務めるケースが多いが、同選手の休養時には、フリーマン選手が起用された1試合を除きヘルナンデス選手が務めている。
なお、ベッツ選手が故障前に休養した1試合(5月18日のシンシナティ・レッズ戦)では、1番打者は大谷選手が、2番打者はフリーマン選手だった。この試合で大谷選手は初めてドジャースの1番打者を務めたが、4打数ノーヒットに終わった。
2024年のドジャースの打順別成績は以下のようになっている。
先発出場した選手の中では、1番打者、2番打者とも、一番成績がいいのは大谷選手だ。ただし、1番打者での三振の割合は大谷選手がベッツ選手の2.5倍になっており、2番打者としてのホームランの確率はスミス選手の方がむしろ高い。逆に言えばこれ以外に大谷選手が下回る指標は存在しない。
フリーマン、ヘルナンデス両選手に関しては、通常打つ他の打順よりも2番としての成績が低い。フリーマン選手が通常出場する3番打者としての成績は打率.304/出塁率.409/長打率.516/OPS.925(以下の表記も同じ)、ヘルナンデス選手の2番以外での成績は.263/.326/.495/.821である。
スミス選手に関しては、2番を務めて以降打率・出塁率は低下したが長打率は上昇した。スミス選手が大谷選手の1番起用前に務めることの多かった4番打者としての成績は.297/.364/.488/.852となっている。
“大谷翔平の後ろ“は誰が最適解?
次に、「1番を打つ大谷選手にとって、誰が2番を打つのがいいのか」を考える。以下、大谷選手が1番として起用された試合を対象として、2番打者別にみた大谷選手の成績を比較した。
全体的に、2番打者がスミス選手の時の成績が最もよい。OPSは13割を超え、打率は3割5分近くになっている。2番ヘルナンデス選手の時も、OPSは12割超、出塁率4割台後半と好成績の部類に入る。
ここまでの分析をまとめると、以下のことが言えるのではないか。
・大谷選手は、1~2番打者の方が3番打者に比べ好成績を残している。1番打者と2番打者の違いは成績にあまり関係がない。
・ドジャースの1、2番は代役を務めるのが難しい打順ともいえる。他選手の2番打者としての成績を比較した場合、2番打者として高いレベルの成績を残した後、ベッツ選手の代役の1番を務め上げる大谷選手のポテンシャルの高さが際立っている。その大谷選手でも1番での初起用試合はノーヒットに終わったことから、1番ベッツ選手の代役も簡単ではない。
8月頃と予想されているベッツ選手の復帰後、大谷選手は従来の2番打者に戻るのか、それとも1番打者として戦い続けるのか。
どちらの打順でも結果を残している現状を顧みると、デーブ・ロバーツ監督も頭を悩ませることだろう。「ヒリヒリした9月」へ向けシーズン終盤をどう戦い抜くのか、ロバーツ監督の起用法にも注目が集まる。
【関連記事】
【了】