走行距離23万km超のメルセデス・ベンツ500SLを冬眠から目覚めさせる|『Octane』UKスタッフの愛車日記

『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。1982年メルセデス・ベンツ500SLに乗るマッシモ。冬の間クラシックカーに乗れなかったため、禁断症状に悩まされていた彼にようやく春が訪れた!

【画像】”冬眠”から目覚めさせたメルセデス・ベンツ500SLで湖畔までドライブ!(写真3点)

今年の冬は、本当に長く続いていたように感じた。しかし、実はそうではない。”冬眠”前にクラシックな車のドライブを十分にしていなかった私が悪いのだ。2月になると、私は禁断症状に悩まされ、毎日天気予報をチェックしていた。私のクラシックな車たちをいつ冬眠から開放できるかを予測していた。もちろん、問題は寒さではない。ここ北イタリアで、夜間の気温が3℃を下回ると道路に大量に撒かれる、塩が問題なのだ。

幸いなことに、今年は寒さが去った後に10日間も雨が降り続き、塩分を洗い流してくれた。そして、コンバーチブルを使うのに絶好の日がやってきた。晴れていて、暖かくて、学校の送迎もしなければならない。500SLを目覚めさせる絶好の口実となった。バッテリーも交換済みだった(以前のものは6年近くもち、1万キロも走った) さぁ、キーを回す時が来た。

最初の数秒がいつも一番つらい。オイルが複数の箇所から抜けているのがわかるからだ。でもそのうち、すべてが”いつもの調子”になる。ルーフをオープンにしながら、私は心の中の「やることリスト」をチェックした。フルサービスの点検(最後の点検は2年前だった)と、タイヤの交換が必要だ。今のタイヤは9年間の使用で2万kmを走行、それほど多くないようにも思えるが、少なくとも3回の『モデナ・チェント・オレ』のラリーが含まれているから、イモラやムジェロ、その他いくつかのサーキットを何周も走ったことになる。タイヤについてはミシュランの205/70 VR14で、見つけるのはそれほど難しくないが…、値段は高い。

次にABSセンサーだが、正しい交換部品を見つけるのは不可能のようなので、今シーズンの頭痛の種になりそうだ。サンバイザーはミイラのようになっている。これは107シリーズによくあるトラブルで、新品を注文する必要がある。唯一の問題は、再生産されたバイザーだと、右側の小さなバニティミラーが元よりもわずかに大きく、四角くなっていることで、これまで私が新品を購入するのを先延ばしにしてきた一因でもある。

ウォーミングアップとして数キロ走り、湖畔の道路に到着した。木曜日なのと、まだ季節はずれだったこともあって道はかなり空いていた。私は、V8エンジンのかすかなうなり声を聞きながら、この500SLでクルージングするのが大好きだった。そして、どれほどこの車が恋しかったかを、改めて思い知らされた。周囲の景色は幻想的で、高い山々の頂にはまだ雪が残っていた。ジェンクスの言葉を借りれば、私は10分の3レベルで運転しているが、10分の10の経験をしているのだ。

そうこうしているうちに、このSLが23万kmの大台を超えていることに気づいた。多くの車にとっては、異様な走行距離だろう。しかし、1980年代のメルセデスにとっては、まったく無意味な数字だ。24年間の所有で約7万km、つまり毎年3000km弱を走ったことになる。最高記録は、ノルマンディーでの休暇とイギリスへの旅もあって1万km以上走った2006年だった。最低記録は昨年で、わずか341kmしか走らなかった。恥を知れ!と自分に言いたい…

道中、湖畔に向かってのドライブ中、道路を占拠していた鳥の群れに対してクラクションを鳴らす必要があった。鳥たちはゆっくり近づくSLに気付かなかったのだろう。しかし、聞き慣れたクラクションの音は鳴らず、静寂が広がった。ヒューズをチェックしたが、問題はなさそうだった。実際には2つのホーンのセットなのだが、ホーン自体が塞がれているようにも見える。私はこれまでホーンを分解したことはないが、ちょっと調べてみようと思う。

それにしても、いつもの疑問に思うのだ(そして長年答えは出ていない)。車はどうして、運転時よりも駐車時によく故障するのだろうか?

文:Massimo Delbò