東京都が実施するプロジェクト「こどもスマイルムーブメント」に参画する星野学園、ベンキュージャパン、リトプラの3者は「電子黒板を活用した未来型保育」を目指したパートナーシップ協定を締結した。東京・小平市にある星野学園の認定こども園「小平みどり幼稚園」では7日、調印式が行われている。

  • 星野学園、ベンキュージャパン、リトプラが「電子黒板を活用した未来型保育」で提携。調印式には園児のほか、小平市のシンボルキャラクター「ぶるべー」も参加した

■提携の経緯について

東京都のプロジェクト「こどもスマイルムーブメント」では、子どもの笑顔あふれる社会をみんなで作ることを目指している。出席した企業の関係者は「この取り組みに参画する3者には、チルドレンファーストの社会を創出する、という共通の目標があります。はじめから目指す方向性が一致しており、各社の連携もスムーズに進みました」と振り返る。

  • 学校法人 星野学園 認定こども園 小平みどり幼稚園(東京都小平市鈴木町1-341)

57年の歴史をもつ星野学園は、フリーアドレス制の職員室、全保育室のiPad整備、全館Wi-Fi、サービス残業ゼロなどを通じて、保育の質・職員の働きやすさ・業務効率化を追及している。業務改革を進めるなか、現場から「職員会議・研修を効率化したい」という声が上がったことをきっかけに、BenQの電子黒板「BenQ Board」の導入を決めた。子どもたちの学びの場にも積極的に活用していきたい考えだ。

  • こちらが電子黒板「BenQ Board」。BenQでは学校・教育機関向け、幼児教育向けにも製品を用意している

BenQは液晶ディスプレイ、プロジェクター、デジタルサイネージなどの分野で世界的に大きなシェアを伸ばしている。電子黒板についてもビジネス、教育をはじめ様々な利用シーンに合わせた製品を展開中。子どもたちの健康と安全に配慮した教育向けの電子黒板「BenQ Board」は、ブルーライトカットのアイケア機能を備え、抗菌ガラスを採用している。アジア各国の学校機関やプレスクールでも導入が進んでおり、ICT教育先進国であるオーストラリアでは国内シェアNo.1を獲得(Futuresource調べ)、インドでは2023年までの累計で40,000台以上の売上を記録している。

  • 星野学園とBenQでは、保育園に設置した場合の安全面についても十分な議論を重ねた

リトプラは「アソビでミライをつくる」というミッションのもと、国内外のパートナーとともに様々な体験型コンテンツを開発している。全国の幼稚園・保育園には、これまで自社の体験型デジタルコンテンツをタッチディスプレイ型の筐体パッケージで販売してきた。星野学園から「電子黒板で利用できるコンテンツを導入したい」といった要望を受け、BenQとの連携を進めた。

園児たちも立ち会ったこの日の調印式。リトプラ担当者からレクチャーを受けた園児たちが、実際にBenQ Boardの使い心地を試してみる一幕もあった。

  • フリーハンドで「くだもの」を描いてみる園児たち

  • 複数人が同時にタッチしても反応するBenQ Board

■学びの機会をつくっていきたい

調印式には、星野学園の星野和宏理事長、ベンキュージャパン 代表執行役社長の菊地正志氏、リトプラ 代表取締役の後藤貴史氏が出席した。

  • 調印式にのぞむ3氏

このあと、各代表が今回のパートナーシップの意義について説明した。星野理事長によれば、電子黒板の導入に際しては園長、園長補佐と話し合った。そして「子どもたちの良いデジタル教材になる」「学童保育にも導入できる」ということで、導入を決めたという。

「すでに小中学校においてはデジタル教材の導入が段階的に進められています。今後、ICT教育はますます盛んになっていくでしょう。当園に通う子どもたちにも、その先の未来においてデジタル機器を活用してほしい。そこで当園でも、触って動かせる電子黒板を活用していきたいと考えました。現在、教育現場では子どもが自ら考え、判断して課題を解決する、あるいは人と協働して何かを表現する、そんな力を育んでいます。電子黒板、および様々なコンテンツの導入により、映像を見ているだけの受動的な行為から脱して、子どもたちが主体的にデジタルに興味関心を深め、何かを表現していく、そんな学びの機会をつくっていけたらと期待しています」(星野理事長)。

  • (左から)ベンキュージャパン 代表執行役社長の菊地正志氏、学校法人 星野学園 理事長の星野和宏氏、リトプラ 代表取締役の後藤貴史氏

またベンキュージャパンの菊地社長は、協業によって新しい市場を開拓できると話す。「パートナーシップの3者、それぞれが向き合う環境は異なりますが、目指していく方向性は同じです。信頼のおけるパートナーと協業することで、新たに求められる技術もあり、ノウハウも蓄積できる。今後、こうした知見を新製品にも落とし込んでいきます。今回の取り組みは、ひいては教育貢献になり、社会貢献にもつながっていくでしょう。GIGAスクール構想により、学校のICT環境は整いつつあります。ただ幼稚園、保育園においては、まだまだこれから。私たちのこうした取り組みが、デジタル教育の橋渡しになっていくことを期待しています」(菊地社長)。

リトプラの後藤氏は、これまでソフトウェアの開発を続けてきたが、ハードウェアと連携した取り組みについて課題感があったと口にする。「このような機会をいただけたことで、今後、ハードウェア込みで(メンテナンスまで含めて)ソフトウェアの導入先を増やしていくことができます。幼保、教育の現場に携わる職員の方から直接、お話を聞ける良い機会にもなりました。園児の皆さんの反応も見ることが出来た。業界の事情に合わせたコンテンツ開発にも弾みがつきます。今後とも「アソビでミライをつくる」という理念に共感いただける皆さまとの取り組みを増やしていければ、と考えています」(後藤氏)。

  • がっちりと手を携える3氏