4歳でデビューしてから数々のドラマや映画に出演し、13歳にして芸歴9年となる稲垣来泉。映画『ブルー きみは大丈夫』(6月14日公開)では吹き替えに初挑戦し、主人公の声を演じた。稲垣にインタビューし、吹き替えの感想や仕事に対する思い、中学生になってからの変化など話を聞いた。

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    稲垣来泉 撮影:加藤千雅

本作は、「子供のとき、おままごとやヒーローごっこを一緒に遊んだ空想の友達が、もしも大人になった今でもそばで見守ってくれているとしたら……」という独創的な発想から生まれた、孤独な少女ビーと子供にしか見えない“もふもふ”なブルーの物語。日本語吹き替え版のブルーの声を宮田俊哉(Kis-My-Ft2)、ブルーを助けるために立ち上がる少女ビーの声を稲垣が演じた。

主人公ビー役で吹き替えに初挑戦した稲垣。「今年の目標の一つとして、吹き替えという夢を掲げていたので、初の吹き替えでハリウッド映画の主人公に挑戦させていただけると聞いてすごくうれしかったです。プレッシャーもありましたが、楽しもうと思いました」とオファーを受けたときの心境を語った。

アフレコでは難しさを感じたという。

「普段のお芝居とは違って、吹き替えとなるとすでに演じられているビーの動きや表情に合わせて声を出さないといけないので、声だけで相手との距離とか感情や表情を伝えることがすごく難しかったです」

声だけで演じる難しさを感じつつ、「キャラクターに合わせて声色を変えるのが楽しくて、やりがいを感じます」と声優業の面白さも感じているようだ。

2022年にインタビューした際、TBS系日曜劇場『オールドルーキー』でより演技の楽しさを実感し、「将来女優の道に進みたいって、はっきりと思い始めました」と話していた稲垣。そのときよりもさらに演技の楽しさは増しているそうで、「増し増しです! 増していくことしかないです!」と満面の笑みを見せる。

この仕事から離れたいと思ったことは一度もないそうで、「本当にお芝居が大好きで、お仕事がないと嫌なんです。お仕事があると『やったー!』ってうれしくて。『忙しいの大好き!』と思っています(笑)」と声を弾ませた。

演じたビーとの共通点を尋ねると、「私は人と関わるのが好きなタイプなので、前半のビーちゃんとは離れていますが、後半のビーちゃんはすごくチャーミングで、そんな元気さや明るさが私との共通点だと思います」と回答。

昔から明るい性格だそうで、「人見知りしない性格なので、3歳~5歳ぐらいの頃に家族でお花見に行った時、お母さんたちが『来泉がいない!』と思ってあたりを見渡したら、お隣の知らない方の膝の上でお菓子を食べていたらしくて……その頃からすごくわんぱくで明るい子でした(笑)」と微笑ましいエピソードを教えてくれた。

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「私ももう女優って言われるんだ!」と実感したエピソード披露

現在中学2年生の稲垣。中学生になってから自立を意識しているという。

「性格自体はあまり変わっていないと思いますが、中学生になってからは少しずつ自立を意識するようになってきたので、時間など計算して動くようになりました。普段は怠け者でまだまだ至らないところがたくさんありますが、お仕事のときはちゃんとしないと、と思っています」

自立の第一歩として、中学生になってから仕事現場に1人で行くように。

「小学生までは必ず母が同行してくれていたのですが、中学生になってから1人で電車に乗って現場に行くようになりました。成長するための自立です! 母が同行してくれていたときは、電車の中で寝ることができましたが、1人だと電車で寝られないので、毎日しっかり睡眠をとらないといけないなと気をつけるようになりました」

迷って現場に遅刻するようなハプニングはないそうで、「出口どっちだろうとホームで戸惑うことはありましたが、迷うことを想定して、最初の頃は15分ぐらい早めの電車に乗るようにしていました」としっかりしている。

1人で現場に行くようになって心境は大きく変化したという。

「お仕事に対する意識が変わり、今まで以上にお仕事と向き合うようになりましたし、もっとお芝居に意欲的に取り組もうという気持ちになり、さらにお芝居が好きになりました。台本ももっとよく読むようになり、役の子の感情を考えるというより、役の子に寄り添って、心で感じたまま動くようになりました」

「子役」ではなく「女優」という自覚も持つように。周囲の見る目も変わりつつあるようで、プライベートで映画館を訪れた際に同い年ぐらいの男の子が「あの人女優じゃない!?」と話しているのが聞こえ、「私ももう女優って言われるんだ!」と思ったというエピソードを披露。「女優という響きがすごくうれしかったです」と笑顔で話した。