大谷翔平、今年も6月を”独壇場”にできる…?「史上最高の5月」から不調の兆…

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 今季5月の全体では好成績を残しながら、後半に不調の兆しも見受けられるロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手。その打撃成績を振り返ると、過去の5月を大きく上回るものの、ある時点から変調がみられ、その背景にはある変化やアクシデントがあった。今回はそれを踏まえ、過去に好成績を残している6月の活躍について予想、分析をした。

 

 

 まずは、現地時間5月26日終了時点の、2024年の大谷選手の主要な数字について振り返る。記載は「開幕以降の通算(3~4月/5月)」となり、5月は26日までの数字である。
 

 OPS:1.024(1.017/1.036)
 [うち得点圏:.583(.487/.789)]
 打率:.336(.336/.338)
 [うち得点圏:.232(.184/.333)]
 出塁率:.403(.399/.411)
 長打率:.621(.618/.625)
 本塁打:13(7/6)
 打点:35(19/16)

 
 率に関する数値は4月までと比べ、横ばいか若干の向上がみられる。課題とされた得点圏の成績も、5月は打数が18と少ないとはいえ、3~4月と比べ数字が向上した。
 
 過去の5月の打撃成績と比べると、大谷選手にとって、過去最高の5月といっていい。各年の5月の主な成績を比較すると以下のようになる。

 
 大谷選手の5月のOPSは2021~2023年は8割台後半で推移したが、2019年は7割を切った。打率は2割4分台~5分台を継続してきた。今季の5月の数字は、こうした過去の5月の数字と比較して突出したものとなっている。
 






今季の“5月の大谷翔平”はどう違うのか
 

 
 今季5月の大谷選手に関し、過去の5月と明らかに違う指標として、「BABIP」が挙げられる。これは、三振でも本塁打でもないインプレーの打球が安打になる割合で、式で表すと「(安打-本塁打) ÷ (打数-三振-本塁打+犠飛)」となる。
 
 5月におけるこの数字は、2021~2023年の平均は.267だったのが、2024年は.375になった。今季の5月の大谷選手の場合、インプレーになればヒットとなる確率が前年までと比べ1割以上上昇した計算になる。なお、今季3~4月の「BABIP」は.378と、5月と同水準であった。
 
 5月の「BABIP」上昇の背景として、安打の構成比の変化が挙げられる。2021~2023年の平均では単打の割合が50%を切っていたのに対し、2024年6割以上が単打になっている。この数値の上昇は、確実に安打にする打撃内容が増えている証かもしれない。

 
 なお、BABIPという指標自体に対しては、一般に「長期的には一定の数字に近づく」「一時的に数値が高いのは幸運ということにすぎない」という見方もある。
 
 しかし、大谷選手の場合、安打の構成比の変化という裏付けからみれば、「BABIP」の向上は打撃内容の進化を反映したものと言った方が適切だろう。







アクシデントの影響が…?
 
 その他の5月(2024年は現地時間26日まで)の主な指標は以下のようになる。三振の減少傾向が続く一方、本塁打のペースは昨季までの5月と同水準にある。
 
 ・三振率(K/AB):2021~23平均28.6%、2024年22.5%
 ・AB/HR(1本塁打に要する打数):2021~23平均13.5、2024年13.3
 
 もっとも、全体では好調に見える5月も前半と後半では様相が異なる。以下に5月の塁打数の推移とともに、5月1~15日、5月16~26日の主要な数字を示す。

 
 OPS、打率、得点圏打率とも、16日以降は15日までと比べ半分以下の数字になっている。15日まで5本の本塁打は、5月16~26日は1本に減少した。AB/HR(本塁打1本あたりの打数)に換算すると、前者が8.4、後者が38.0になる。
 

 
 5月16日は、シンシナティ・レッズ戦で出塁時に牽制球を左太ももに受けるアクシデントがあった日だ。これは、25日のレッズ戦でハンター・グリーン投手から三塁打を打った際の走塁から明らかになった。
 
 このアクシデントが打撃にも影響した可能性は否定できない。投手の攻め方も進化している。上記のグリーン投手は、25日の試合で、高めのフォーシームと内角低めのスプリットを使い分ける投球で大谷選手から2三振を奪っている。






今季も“大谷翔平の月”がやってくる!?
 
 今季は過去の5月にない好成績を残しながら、後半に数字をやや落とした大谷選手。6月以降の成績はどうなるだろうか。
 
 過去の推移をみると、月別に見て成績を残せていない方である5月に比べ、6月の成績は格段に向上しているのだ。
 

 
 以下、大谷選手の各月のOPSや打率の推移につき、2021年~2023年の平均と2024年(5月は現地時間26日まで)を比較する。

 

 
 5月のOPSや打率は最低ないしはそれに近い水準にあるのに対し、6月は5月に比べ、OPSは1.43倍、打率は1.37倍の数字を残している。2021~2023年の合計の月別本塁打数は以下のようになっている。最多の6月は5月と比べて55%多く、3年間の総計の27%を占めている。
 
 3~4月:19本 5月:22本 6月:34本 7月:2 3本 8月:18本 9~10月:8本
 
 今季5月の数字と過去の5月~6月の変化を単純に掛け合わせると、6月のOPSは15割近く、打率は4割台後半の驚異的な数字が出てくる。現実にはこの単純計算通りにはいかないだろうが、過去の計算通りなら、今季の6月も期待を持たせられる。
 
 しかし、今季は昨季までとは異なり、チームの勝利への貢献も過去の6月以上に求められるはずだ。そういった環境面の違いも含めて「大谷翔平の月」の躍動を期待したいところだ。
 
 なお、長い目で見れば過去3年は9月以降の数字が落ちている。ただ、この9月の成績低下はいわゆる二刀流での起用による疲労や2023年の故障の影響が大きいと考えられ、DHに専念する今季は様相が変わるだろう。



 
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【了】