一般社団法人アツいまちは、環境省をはじめ各県・各市の後援のもと、伊藤園と共催して「第11回 アツいまちサミット 2024」を6月1日に開催した。

本サミットでは、日本の歴代最高気温を記録した5都市である浜松市(静岡県)・熊谷市(埼玉県)・四万十市(高知県)・多治見市(岐阜県)・山形市(山形県)が、合計100万人が住む"アツいまち"が「暑さ対策先進都市」として各地の暑さ対策の発表を行う場だ。今年の「アツいまちサミット」では、2019年の開催以来5年ぶりに各都市が集っての開催となる。昨年の活動報告、共催である伊藤園の取組み、また「水分補給」をテーマに市民団体や学生の他、若者と連携して考えた各市のアイデアを発表するほか、次代を担う若者と共に”地域の暑さ対策”について検討するワークショップも実施した。

熱中症は「予防できる病気」

サミットの冒頭では、後援の環境省 大臣官房環境保健部企画課 熱中症対策室室長 永田翔氏が環境省の取り組みを紹介した。

「近年では毎年1000人を超える熱中症での死亡者数が出ていると言われ『熱中症は、死ぬ病気である』ことを理解していただきたい。一方で、熱中症は、予防できる病気です。環境省では、熱中症警戒アラートを暑さ指数(WBGT値)が33を超えたときに発表しており、今年4月からは暑さ指数35の値がでた際は外出を控える呼びかけを行う『熱中症特別警戒アラート』の発表がスタートしました。

  • 環境省 大臣官房環境保健部企画課 熱中症対策室室長 永田翔氏

改めて「熱中症警戒アラート」をチェックしてもらい、高齢者や小さいお子さんへの見守りや声がけ、適切にエアコンを使うこと、しっかり水分・塩分の補給することが大切です。もう一度言いますが、熱中症は亡くなる病気です。しかし、熱中症は防げる病気ので、みなさんにはぜひ取組んでほしいと思います」。

伊藤園「健康ミネラルむぎ茶」SDGsの取り組み

2016年より「アツいまちサミット」に参加している共催の伊藤園からは、「健康ミネラルむぎ茶」SDGsの取り組みについて発表が行われた。伊藤園は、「汗をかいたらミネラルゴクゴク」をキャッチコピーに"暑さ対策飲料"「伊藤園 健康ミネラルむぎ茶」を手掛けている。伊藤園の社員も一丸となって暑さ対策先進五都市とともに、夏を快適に、住みよいまちづくりの実現に向け貢献している。

地域の取り組みとしては、小学生を対象に暑さ対策を考えるコンテスト「わたしのあつさたいさく」コンテストや、熊谷市とは「暑さ対策公式飲料」として熊谷オリジナルラベルを制作、暑さ対策や熊谷市の情報を載せることで、広い啓蒙活動も行っている。

「国内の資源循環」の実現を目指した新たな取組みとしては、使用済みのラベルから新しいラベルにする「ラベルtoラベル」の実証実験を行う。またむぎ茶を生産する際に発生するむぎ茶殻を緩衝材にするアップサイクルなどを実施することで、環境課題解決に貢献し、持続可能な実現を目指していくという。「お客様の健康づくりをサポートするとともに、環境課題解決に貢献し、持続可能な社会の実現に取り組んでまいります。またむぎ茶をしっかり飲んでいただいて、アツい夏を楽しみましょう」とコメントを寄せた。

浜松市は”地域産業”を活かした取り組みを

また、暑さ対策先進都市の5都市が取り組む「暑さ対策」についても発表が行われた。

アツいまちサミットへの参加が4年目となる静岡県浜松市からは、地元産業を活用した「熱中症対策 水分補給 ✕ 中心市街地 夏休みこども取組みでPR」と「SDGs」を主旨とする活動が報告された。

2022年のFIFAワールドカップ、2023年の大河ドラマ「どうする家康」にちなんだ取り組みに続き、2024年は地元産業の遠州織物や注染染め体験を屋外で開催することで熱中症対策のプロモーションをしていくという。また、今年初めてオフラインでサミットに参加して様々な気づきも得たという。

四万十市はSNSやイベントを通じて地域の暑さ対策を発信!

高知県四万十市は、「いろいろアツいぜ!夏の四万十市大作戦」と題し、昨年に引き続きSNSやイベントを通じて全国に米ナスと暑さ対策を発信するという。

四万十市は米ナスの路地作付面積が日本一のまちで、米ナスの体を冷やす効果に着目。8~9月には西土佐地域の飲食店11店舗で米ナス料理を提供する「アツさに負けるな! ガブッと米ナスキャンペーン」を実施する。8月に開催する「ナスフェス」ではナスを使った様々な体験ができるほか、むぎ茶配布による暑さ対策と水分補給の啓蒙を行っていく。

多治見市は「やってみよう!あっつうドリル」を作成

岐阜県多治見市では、「多くの子どもたちに参加して欲しい」「積極的に取り組んで欲しい」「色々な人に関わって欲しい」などの想いから、昨年実施した暑さ対策をバージョンアップした「あっつうドリル~めざせアツさたいさく神~」を制作する。

昨年度の課題を活かし、今年度はクエスト形式のリニューアル、また「ドリル」での水分補給や暑さ対策の知識を得たり、「検定」でテストや自由研究の要素も追加。ドリルを提出した子どもたちにむぎ茶の引換券付きの検定用紙を渡し、検定を行った優秀者は「暑さ対策神の中の紙」として表彰も行う。他にも商店街のお祭りなど、街中を巻き込んだイベントも実施する。市内のより多くの人がより身近に暑さ対策に取り組む環境づくりや、アツいまち多治見の未来を担う子どもたちの発掘、市内の事業者と連携した地域全体の活性化を目指していくという。

山形市は山形大学との連携した大学生のアイデアも

山形県山形市は、山形大学と連携して大学生が考える「遊んで!楽しく!水分補給」ができる空間「お水ゴクゴクパーク」を8月5日に山形駅前で実施する。山形駅前商店街と連携し、水分補給をテーマにペットボトルを使用したゲームを通して1日にとるべき水分量や塩分の補給など、正しい熱中症対策と水分補給について学べる機会をつくっていくという。

また、昨年に引き続き企業と学生が連携した「暑さから考えるSDGsワークショップ」も実施するほか、涼しい場所や涼しく感じる食べ物を探す「クールスポット探索」を行い、見つけた場所や食べ物をマップ化し、発信していくという。

熊谷市は「暑さ対策日本一の熊谷へ」

埼玉県熊谷市は、高齢者や子どもたちに対して重点的に暑さ対策を伝えることを目標に「クーリングシェルター」を拡充。さらに「星川グリーンカーテン事業」では、地域資源である星川で子どもたちとともにグリーンカーテンを栽培することで、暑さ対策だけでなく食育活動としても普及する。さらに栽培したものを地域の店で提供し地域ブランドの構築も狙っていくという。

また、水を使った暑さ対策イベントとして、 熊谷水かけ祭り&納涼盆踊り大会を8月11日に開催する。親子みんなで楽しく涼める企画や、水分補給の大切さを学ぶクイズラリーも実施。さらに、熊谷駅ビルの「アズ熊谷」と連携して、ワークショップやキッズダンス体験会、伊藤園「健康ミネラルむぎ茶」がもらえるスタンプラリーやキャンペーンを7月14日より順次開催する。


今回発表されたアイデアは、5都市(浜松市、熊谷市、四万十市、多治見市、山形市)で実施することを「アツいまち活動宣言」として採択。より良いアツいまちにすることを宣言し「第11回アツいまちサミット2024」は閉幕した。