GIRO DELL’ISOLA OKINAWA|沖縄の歴史と文化をたどるクラシックカーラリー

「沖縄の魅力をラリーイベントを通して伝えたい」そんな思いを込めて昨年から始まったクラシックカーラリー「GIRO DELLISOLA OKINAWA(ジロ・デッリゾラ沖縄)」。この美しき島を巡る3日間のイベントには、沖縄のエッセンスが凝縮されている。

【画像】天候にも恵まれたクラシックカーラリー「GIRO DELLISOLA OKINAWA」で沖縄を学び、走る(写真11点)

沖縄を舞台におこなわれるクラシックカーラリー「GIRO DELLISOLA OKINAWA(ジロ・デッリゾラ沖縄)」は、今回が2回目の開催となる。クラシックカーラリーは日本国内に数多く存在し、それぞれのラリーに独自の特徴があるが、このラリーのユニークな点は開催地が沖縄であるという立地的な独自性と、主催者が女性だという点であろう。このジロ・デッリゾラ沖縄を主催するのは、クラシックカー界では数少ない女性オーガナイザー、矢口可南子さん。自身のルーツを沖縄にもつ彼女の視点からプロデュースされたイベント内容には、地元の、そして女性ならではの感性が反映されている。

沖縄の歴史や文化を知る

「沖縄」「クラシックカーラリー」という言葉を聞いて一般的に連想するのはきっと、美しい空や真っ青な海を眺めながら気持ちよく駆け抜けるエレガントで爽快なドライブであろう。もちろんその要素は、女性ならではの細やかな視点で選ばれた快適なホテルをはじめ、このラリーにもふんだんに盛り込まれているが、そこに沖縄の歴史や文化にじっくり触れる機会が加わることで、参加者が体験できる内容や気付きに深みが加えられている。

その最たるものが、ラリー2日目に設定された立ち寄りスポットに凝縮されていた。平和創造の森公園、平和祈念公園、糸数アブチラガマ。じっくり時間をかけて滞在したこれらのスポットでは、地元ガイドによる第二次世界大戦で沖縄が置かれた惨状の説明があり、教科書やニュースだけでは知り得ない当時の一般人の凄惨な状況を、口伝により身をもって感じることができた。

ジロ・デッリゾラ沖縄では、上述のような沖縄の歴史に触れる機会に加えて、文化にも焦点を当てている。15世紀にこの地を治めた王・阿麻和利の居城であった勝連城を訪れ、ユネスコ世界遺産にも登録された”グスク”の見学をすることで、琉球王朝時代に思いを馳せたり、ぬちまーす観光製塩ファクトリーや琉球ガラス村で沖縄独自の産業を見学することができたりと、2泊3日の行程の中に多様な体験が盛り込まれている。

国際的な交流と発信

本年のイベントでは、イタリアからもエントラントが来日していた。彼らはジロ・デッリゾラ沖縄の姉妹イベントとして提携しているイタリアのクラシックカーイベント「ジーロ・ディ・シチリア」からの参加者である。「ジロ・デッリゾラ」とはイタリア語で「島巡り」を意味する。シチリアと沖縄に共通する「島巡り」。パートナー関係を築くことで、この先も相互のラリーに参加者が国境を越えてエントリーし合い、日伊間の車文化の継承・発展、そして国際交流が発展していくのが今から楽しみである。

沖縄という立地を活かし、いずれは台湾など近隣のアジア諸国からの参加者も増えていけば、ジロ・デッリゾラ沖縄が目的としている沖縄の歴史や文化を世界に発信することにも繋がっていくことだろう。昨年から始まったばかりのジロ・デッリゾラ沖縄。まだまだ発展途上の新イベントの今後に期待したい。

文:オクタン日本版編集部 写真:ジロ・デッリゾラ沖縄 取材協力:ショパールジャパン

Words:Octane Japan Photography:GIRO DELLISOLA OKINAWA Special thanks to Chopard Japan