俳優の吉田鋼太郎がこのほど、東海テレビ・フジテレビ系土ドラ『おいハンサム!!2』(4月6日スタート 毎週土曜23:40〜)と映画『おいハンサム!!』(6月21日公開)の取材に応じ、撮影現場の雰囲気などについて語った。

  • 吉田鋼太郎 スタイリスト:SAKAI ヘアメイク:熊谷波江 写真提供:東海テレビ

続編&映画化決定に喜び

――続編と映画化が決定したときの感想を教えてください。

シーズン1をやっているとき、日常の細かいところにこだわって、それで何か大きな事件が起こるわけではないような、地味と言えば地味なドラマなので、視聴者の方からどのような反応が来るかつかめない感じだったんです。でも、皆さんに愛されているという声を聞くようになって、良かったなという気持ちでしたが、続編があるとは思っていなかったので、嬉しい驚きがありましたね。さらには、映画にもなるということで、本当に? と思ってるんですけど(笑)、船は出てしまいましたので、これはもう航海し切るしかないという気持ちで、映画に挑もうとしております。

――2年ぶりに演じた伊藤源太郎はいかがでしたか。

3人の娘との関係が主軸になっていくドラマなのですが、厳しさや教訓を柔らかくオブラートに包むのではなく、あくまでも昭和的にガッツリと娘たちに言い聞かせていくというところは、今はありそうでないので、そこの面白さがあります。続編と映画でもその部分が色濃くなっているのかなと思います。

――撮影現場の雰囲気はいかがですか。

家族のシーンが多いのですが、皆さんとても静かで、淡々と演技をこなしていく現場ですね。シーズン1のときは初対面の方もたくさんいらっしゃったので、今回は多少ほぐれるのかと思ったんですけど、前回と全然変わらず(笑)。相変わらず寡黙な4人で淡々と粛々と撮影を進めています。

山口雅俊監督の魅力は?

――同作をはじめ、ヒット作を多数生み出している山口雅俊監督の魅力を教えてください。

人間の本質といいますか、「これを言うと、ちょっと恥ずかしいな」っていう人に知られたくないものは誰しもが持っていると思うんですけど、そういう悩みに激しく迫るのではなく、優しくえぐり出して、「こういうことあるな!」と思わせるものを表現していくのがとてもうまいですよね。脚本も本当に面白いと思います。面白い分、非常に複雑で、源太郎が娘たちに話を聞かせるような長台詞なんかは、普通の“てにをは”ではない。人が話すときって、書いてあるものを読んでるわけじゃないんで、そんなに理路整然としてないじゃないですか。でも、(山口監督の脚本は)人が会話してるときに話すような言葉で書かれているので、途中で脈絡がなくなることもあって、非常に覚えにくいわけですよね(笑)。僕は記憶力が悪いほうではないんですけど、なかなか覚えられない。それが多重構造の複雑さにつながっているような気がしますし、山口監督独自の脚本の書き方、視点だと思います。

――前作の撮影に関するインタビューで、山口監督は斬新でこだわりのある演出だったと話されていましたが、今回の撮影でも印象的な演出はありましたか?

山のようにあります! もちろん全部、褒め言葉として聞いていただきたいのですが、前回よりも現場は混乱してますね(笑)。台本を渡された時点で、そのホンは完成系ではないというのが大前提なんです。台詞を覚えていっても、現場で大きく変わるわけですね。前の晩に改訂稿が送られてくるときはまだいいほう。現場で口頭で「鋼太郎さん、これ言ってください!」と台詞をお変えになるのですが、それを文字にして、紙にプリントしてくれればいいのに、してくれないので、助監督の方にお願いして、プリントしてもらうということが毎回起こる。(前作から出演する)僕たちはシーズン1からなので慣れているし、楽しみにしているんですけど、ゲストの方を見てると、かわいそうでしょうがないんですよね。

事前にもらった台本で準備をしてきているのに、それを全部変えられちゃって、台詞を言うので精一杯になっちゃって。本来あまり良くないのかもしれないけど、それによって現場が活性化したり、(映像として)出来上がったものを観ると、良かったりする、不思議な現場ですね。ゲストの方々も、山口さんがどんな演出をするか予備知識として聞いていて、ある程度覚悟していらっしゃっているので、そういう緊張感のある現場を楽しんでいるようでもあります。

――吉田さんもその緊張感が快感に?

明らかに変わっています。あとは台詞を完璧に覚えていかなくてもいいんだというふうになってます(笑)。

分からないくらいでスケールアップ!?

――なるほど(笑)。続編と映画化が決まるほど反響を呼んだ同作ですが、このドラマの面白さを言葉で表現するなら?

一見ノンフィクションに近いようで、非常にフィクションなドラマだと思うんですよ。どこにでもあるような家庭の風景、会社での光景に見えるのですが、実はあり得ないことが起こっている。こんなこと言わないだろう、とか、恋愛相手の男の態度が悪かったからといって、こんなに暴れないだろう、とか。起こってることが激烈なんですよ。娘たちが傷ついて帰ってくると、ゴルフクラブを持って寝巻き姿で外に飛び出していったり、そんなことはなかなかないですよ(笑)。非常にフィクション色の強いドラマなんじゃないかなと思っていて、逆にそこを皆さんが面白がってくれているのかもしれませんね。

――ちなみに、続編・映画化ということでスケールアップする部分もあるのでしょうか。

分からないくらいで、スケールアップしてます(笑)。皆さんなりに「ここは違うぞ」というところをぜひ見つけていただきたいなと。

――では最後に、続編と映画を楽しみにしている視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。

シーズン2、そして映画にまでなるくらい、皆さんに盛り上げていただけたことが本当にうれしいです。シーズン2、映画だからといって、すごく派手になるようなことはないのですが、このドラマが持っている、本質をついて皆さんの共感を得るような、よく観て、よく咀嚼(そしゃく)しないとおいしさが分からないような、ドラマの味は変えないようにしておりますので、ぜひ引き続き応援していただけると、大変うれしいです。