現在放送されているテレビ朝日系土曜ナイトドラマ『離婚しない男―サレ夫と悪嫁の騙し愛―』(毎週土曜23:30~)は、“父親の親権獲得率わずか1割”という壁に立ち向かう男の奮闘を描くリコン・ブラックコメディ。今年3月31日で放送作家業を辞めると発表している鈴木おさむ氏の、地上波連ドラ最後の作品だ。1月20日に放送された第1話では、これまでベールに包まれていた綾香役・篠田麻里子の存在が明らかになり、タイトルの『離婚しない男』に続き、「篠田麻里子」もトレンド入りを果たすなど大きな話題に。
今回は鈴木氏に、「やり切った」と自信をのぞかせる今作の見どころ、センセーショナルなラブシーンで熱演を見せている小池徹平と篠田への思いを聞いた。
地上波連ドラ最後の作品に手応え「やり切りました」
――今作は鈴木さんにとって地上波連ドラ最後の作品となります。今日の取材は放送前なのですが、書き上げた今、手応えはありますか。
やり切りましたね、最後に。篠田(麻里子)さんが綾香役を引き受けてくれて、伊藤(淳史)くん、小池(徹平)くん、(佐藤)大樹、水野(美紀)さん、馴染みのある方々が集まってくれて、さらにゲストもすごく豪華なんです。そんなキャスティングを含めて「やり切れた」と、はっきり言えます。
――第1話放送後には、篠田さんが綾香役として出演することが大きな話題になっていると思います。
エラそうな言い方になりますが、このドラマの本当の目的は、篠田麻里子が女優としてブレイクすることだと僕は考えているんです。過去にも僕のドラマに出演したことで、水野さんが怪演女優と呼ばれたり、松本まりかさんや田中みな実さんが注目されたことがあって。篠田さんは、以前ご一緒したときに芝居が上手だなと密かに思っていました。今回、篠田さんがブレイクして、1年後や2年後にいい役でドラマに出ていてくれたらそれが一番うれしい。三谷(幸喜)さんや宮藤(官九郎)さんのドラマに出演した人って、新人も含めちゃんと売れていくじゃないですか。僕も、出演者が売れるドラマを書きたいと思って脚本業をやってきました。
小池徹平、台詞カットした判断を後悔
――篠田さん演じる綾香と小池さん演じるマサトのラブシーンも、ぶっ飛んだ台詞の連続で、まさに“鈴木おさむワールド”がさく裂しています。
小池くんが、僕が脚本を書いたドラマ『奪い愛、夏』(ABEMA、19年)に出演してくれたとき、ベッドシーンでのふざけた下ネタの台詞を「これは言えません」と、現場でカットしたことがあったんです。主演の水野さんや松本まりかさんは僕の作品の世界観を知っているので、台本の台詞をそのまま振り切ってやってくれたんですけど、小池くんは、デビュー当時の爽やかな学園ラブコメ映画『ラブ★コン』(06年)以来、久しぶりにご一緒したお仕事だったので、僕も小池くんのその判断は理解できて。
――ぶっ飛び具合に驚かれたんでしょうか。
でも、打ち上げで小池くんが、作品を最初から通して見たときに、「あの台詞をカットしたことをめちゃくちゃ後悔した、今後は絶対に台本の通りにやろうと決意した」と話してくれました。そのあと、小池くんにオファーした仕事は全部断らないで受けてくれたんです。小出恵介くんの主演ドラマ『酒癖50』(ABEMA、21年)の最終回に『ごくせん』つながりで出て難しい役をやってくれたり、『松本まりかクリスマス24時間生テレビ ~24時間で恋愛ドラマは完成できるのか!?』(ABEMA、21年)に来てくれたりとか。今作のマサトもものすごく難しくてとんでもない役。小池くんがやってくれたらいいな、でも子どもがいるしどうだろうと思っていたら、二つ返事でオッケーしてくれて、振り切ってやってくれました。
「夫婦の物語」にも注目を
――では最後に、3日放送の『離婚しない男―サレ夫と悪嫁の騙し愛―』第3話と、今後の展開の見どころを教えてください。
第3話では、究極の不倫シーンを渉が目撃してしまいます。それは一体どこなのか、“場所”が見どころです。これからも渉は親権を勝ち取るために右往左往しますが、僕の中では、愛する妻が裏切っていくとき、夫はどんな気持ちになるのか、どう乗り越えていくのか、最終的にどんな決断をするのか、といったところに焦点を当てた「夫婦の物語」も今作の大きなテーマ。夫婦の行方にも注目して、最後までご覧いただければと思います。
1972年4月25日生まれ、千葉県出身。大学在学中に放送作家デビュー。現在放送中の『ワルイコあつまれ』、『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』、『家事ヤロウ!!!』、『GENERATIONS高校TV』など、多数の人気バラエティ番組を担当。映画『ラブ★コン』(06)、『ハンサム★スーツ』(08)、『ONE PIECE FILM Z』(12)、『新宿スワン』(15)、ドラマ『人にやさしく』(02)、『奪い愛』シリーズ(17~)、『M 愛すべき人がいて』、『先生を消す方程式。』(20)などを手掛けた。2024年3月31日をもって放送作家業を辞めることを発表しており、『離婚しない男―サレ夫と悪嫁の騙し愛―』は地上波連ドラ最後の作品となる。