コーセーは11月27日、2023年の繊維学会研究発表会にて、ミルボンと共同で実施した「化学的・物理的処理に伴うまつ毛の特性変化」に関する研究結果を発表した。

  • 電子顕微鏡での典型的な観察像

アイラッシュカーラーなど物理的な手法や、まつ毛パーマといった化学的な手法が、まつ毛にどのような影響を与えるのか調べるため、電子顕微鏡での観察を行ったところ、繊維形状の変形や表面のキューティクル損傷が見られた。特に化学的カール履歴あり群ではキューティクル損傷が顕著だった。

カール履歴なし群と化学的カール履歴あり群のまつ毛内部のタンパク質分布を、顕微FT-IR法によって調べた。その結果、化学的カール履歴あり群のまつ毛ではタンパク質量が少なく、タンパク質がまつ毛の外に流出していることが示された。大型放射光施設SPring-8のBL43IRを用いた詳細な可視化を行うことでも確認できたという。

  • カール履歴なし群と化学的カール履歴あり群のまつ毛内部のタンパク質分布

内部タンパク質の流出に対応するため、補修成分の検討を行った。化学的処理と洗浄処理を行ったダメージまつ毛に、タンパク質の材料であるアミノ酸から作られ浸透性に優れた成分ジラウロイルグルタミン酸リシンNaを1,3-ブチレングリコールと共に作用させたところ、成分がまつ毛の内部にまで浸透したことを示す結果が得られた。

  • ダメージまつ毛に対して補修成分を作用させた結果