大晦日決戦まで残り3週間と迫った12月10日の夕刻、東京・渋谷の新スポット「Shibuya Sakura Stage」で『RIZIN.45』(さいたまスーパーアリーナ)の追加カード発表記者会見が開かれた。
ここに平本蓮(剛毅會)が登場。彼が公の場に姿を現すのは、4月29日・東京・代々木『RIZIN LANDMARK5』以来、約7か月ぶりのこと。そこで、まさかの告白が─。
■「平本劇場」と化した記者会見
まずは、この日の会見で発表された『RIZIN.45』追加対戦カードからお伝えしよう。 次の4試合だ。
▶MMAルール5分×3R/フェザー級(66キロ契約)
平本蓮(剛毅會)vs.YA-MAN(TARGET SHIBUYA)
▶MMA特別ルール5分×2R/70キロ契約
安保瑠輝也(MFL team CLUB es)vs.久保優太(PURGE TOKYO/BRAVE)
▶OFGキックボクシングルール3分×3R/60キロ契約
篠塚辰樹(MASTER BRIDGE SOUND)vs.冨澤大智(フリー)
▶MMAルール5分×3R/バンタム級(61キロ契約)
YUSHI(HI ROLLERS ENTERTAINMENT)vs.平本丈(剛毅會)
平本蓮が3年連続で大晦日RTZINに参戦。11月19日『FIGHT CLUB』キックボクシングマッチで朝倉未来(JTT)を1ラウンドKOで下したYA-MANと闘う。ファン待望の“旬な対峙”だ。両者は、これまでにSNS上で激しく挑発し合っており会見でも険悪ムードを醸した。
この日の会見は一般にも公開され、多くの平本ファンが集結。そのため、平本が言葉を発すると大歓声が上がる異様なムードの中で時間が進む。
実弟・平本丈の対戦相手YUSHIが試合に向けての抱負を語るのを「(話が)長えよ!」と遮り、YA-MANがマイクを持つと横から口を挟み発言を終わらせる。会見は「平本劇場」と化していた。
■朝倉未来がいたから
そんな中、自分が喋る番になると平本は、こう切り出した。
「今日はちょっと本音を話そうかな」
そして話を長く続ける。
「僕は20歳の時K-1にいて、いつ崩壊するかも分からない状況の中、将来が凄く不安で孤独で怖かった。それでK-1を抜けて格闘技を盛り上げたいと思った時、そのタイミングで朝倉未来が現れた。シンパシーを感じたというか感動して、こんな面白い選手を待っていたんだって。
(格闘技界を)どうやって盛り上げていこうかと考えて、朝倉未来に思いっきり噛みついて喧嘩を売った。最初は(周囲から)馬鹿にされたけど、朝倉未来がいたからRIZINでMMAをやろうと思ったし、アイツのおかげで俺のMMA人生は始まったんだ」
「もう少しで王座を摑めるところでアイツは斎藤(裕)選手に接戦で負けた(2020年11月『RIZIN.25』)。あの時は、何でこんなチャンスを逃してしまうんだ、と思った。
今年の夏、俺は腐っていた。うつ病みたいになって。いまになっては笑い話だけど本当に元気を失くして。その頃にアイツが(ヴガール・)ケラモフに挑んでいく姿を観て、表現の仕方は色々だったけど僕的に勇気をもらっていた」
「自分でもよくわからないんだけど、ずっと葛藤があった。『話題を作って試合をしないといけない』とか、『悪口キャラを始めたら貫かないといけない、やめたら食っていけなくなるんじゃないか』とか、そういう不安があったけど、もういまは『関係ねぇ!』って思える。
そんな中、朝倉未来がキックボクシングルールだとしてもYA-MAN相手に負けた。あの結果に自分は悲しくて。でも、こんな風に(格闘技界が)盛り上がってきたのは朝倉未来のおかげ。もう煽り合いも必要ない、ただ絶対に朝倉未来と試合がしたい」
驚いた。平本が朝倉に対して特別な感情を抱いていることは薄々理解していたが、このタイミングで吐露するとは。
そして、最後に平本はこう言った。
「(そのためにも)絶対に(YA-MANに)勝たないといけない。これは、朝倉未来の敵討ちとかじゃないです。ここを勝てば、自ずとアイツとの試合が見えてくると思うから。YA-MANは強いし、厳しい試合になると思う。だけど覚悟の違いで俺が勝つ」
平本のメンタルは、よく不安定になる。そこをコントロールするためにも闘いの舞台に戻る前に心の整理をしたかったのだろう。だから彼は、散々罵倒してきた朝倉未来に対する熱き想いを告白したのだと思う。
決戦まで、あと約3週間。
平本は、勢いに乗るYA-MANに勝つことができるのか?
YA-MANは試合を盛り上げるための煽りではなく、心底から平本を憎んでいる。この試合は競技の枠に収まらぬ喧嘩ファイト必至、大晦日のリングに不穏なムードが漂う─。
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文/近藤隆夫