JTは、加熱式たばこ「プルーム・エックス(Ploom X)」の新型モデルとなる「プルーム・エックス・アドバンスド(Ploom X ADVANCED)」および、専用たばこスティック「メビウス・ブラック・コールド・メンソール」を11月21日より発売するのに先駆け、JT関西工場にて、専用たばこスティックの製造工程を公開した。

  • プルーム・エックス専用たばこスティックを製造するJT関西工場の様子。なお、製造工程が公開されたのは今回が初

JT関西工場のある京都は、明治24年に“明治のたばこ王”と呼ばれる村井吉兵衛がたばこ工場を創業以来、130年以上のたばこの製造が続く、たばこにゆかりのある土地。1982年に、当時の日本専売公社が京都工場、高槻工場、茨木工場を統合した後、関西工場として操業を続けている。

「約320名の社員が、品質や安全にこだわりながら、たばこ製造に努めている」と話す、JT関西工場 工場長の志賀哲也氏。たばこの製造のみならず、「有事の際には、近隣の皆様の安全の場を提供できるよう日々取り組みをしている」と、関西工場における地域貢献への取り組みについて紹介する。

  • JT関西工場 工場長の志賀哲也氏

「たばこづくりは繊細かつ複雑なもの」という志賀氏は、「関西工場一丸となって、日々、お客様に高品質な製品を遅滞なくお届けできるように努めております」と関西工場のたばこづくりに対する姿勢を示した。

JTの製造工場は、関西工場のほか、栃木の北関東工場、静岡の東海工場と国内に3カ所あるが、プルーム・エックスのリフィル(たばこスティック)を製造しているのは関西工場のみ。関西工場では、プルーム・エックス専用たばこスティックを全17銘柄、スペシャルパッケージなどを含めると約50種類を製造。紙巻きたばこは、メビウスをはじめ、キャメル、セブンスターなど6ブランド、約60銘柄で、約220種類の製品が製造されている。

「たばこは、葉たばこ、つまり農産物を原料としているため、気候や年度によって品質が若干異なる」というJT関西工場 製造部長の嶋田達也氏。それゆえに、「どの銘柄を、いつどこで買っても同じ味、同じブランドイメージを保てるように、品質管理を徹底している」と自信を覗かせる。

  • JT関西工場 製造部長の嶋田達也氏

さらに、行政・地域との連携や環境への取り組みについてもあらためて言及。警察署や消防署などと、有事の際に、工場の建物、設備、敷地を利用できるような協力体制を築いている。また、環境負荷を低減する取り組みでは、京都府、京都市からそれぞれ“優良事業者”としての認定を受けており、「分ければ資源、捨てればゴミ」を合言葉に、全社的にごみの分別を実施。産業廃棄物の適正処理、CO2の排出抑制といった関西工場での取り組みが紹介された。

■たばこの製造工程を紹介

続いて、嶋田氏は、たばこの製造工程について解説。たばこの製造に使用される葉たばこは、肉厚で甘味を含み、香りが豊かな「黄色種」、チョコレート様の香りを含み、キックと呼ばれる爽快な刺激が特徴的な「バーレー種」、香りが豊富で優雅な「オリエント種」の3種類で、年明け、1月ごろに種まきが行われ、夏にかけて収穫。収穫後は乾燥処理が行われた後に出荷される。

工場では、原料の搬入から製品の出荷までが行われるが、製造工程は、たばこの「刻(きざみ)」を作る「原料加工工程」と、「刻」を巻き上げ、包装して製品にする「製品工程」の大きく2つに分けられる。

葉たばこを「刻」の状態にする「原料加工工程」では、圧搾された葉たばこを解きほぐし、香料を加えてたばこの香りを引き出す「調和加香」、葉たばこを切り刻んで「刻」の状態にして乾燥させる「裁断換装」、さまざまな種類の「刻」を銘柄に合わせて配合する「配合」、銘柄ごとに決められた味にするための香料を加える「第二加香」といった4つの工程を経て、貯蔵して味をなじませた後に、風送で製品工程へと送られる。

そして、今回初公開となった「製品工程」では、「巻上機」にて「刻」を紙で巻き上げ、たばこの形状を整えた後、20本ごとにパッケージにして、10個1組で包装。ダンボールにつめて出荷されるという流れとなっている。

  • 「巻上機」で「刻」を1本1本のたばこ形状にした後、フィルターなどが取り付けられる

  • 巻上機や包装機にトラブルが起こった場合でもラインを止めないため、「リザーバー」にていったん貯蔵する

  • 包装機にて20本ごとにパッケージされる

  • 10個1組のカートンに包装された後、ダンボールに梱包される

工場内では、「品質管理」と「衛生管理」が徹底されており、「品質管理」の面では、機械に取り付けたJTオリジナルの高性能センサーによる自動検査や機械手元でのオペレーターによる検査、ランダムで抽出した製品の精密測定装置による検査などが行われている

また、工場内では、髪の毛を覆うネット付き作業帽の着用や、作業場入口における、手洗い、消毒、靴底清浄、粘着ローラーによる被服に付着しているごみ類の排除を実施。また、製品に血などが付着しないように、手指傷の確認が行われ、傷があった場合は、異物検出が可能な指定絆創膏が使用されるほか、出荷製品を扱う際は専用手袋を着用するなど、徹底した「衛生管理」が実施されている。