2023年の冬本番を前に、ダイキン工業が「賢く使えるエアコンの上手な使い方」について解説している。

エアコン暖房のしくみは?

  • エアコン暖房のしくみ

エアコンは、​「室内機」と「室外機」がパイプ(配管)でつながっており、​暖房時には屋外の「熱」を室内に移動させて部屋を暖かくしている。

エアコンの室内機と室外機の中には、熱を空気の中から集めたり、空気中に逃がしたりする「熱交換器」が入っている。パイプの中には、熱を運ぶ「冷媒(れいばい)」というガスが循環。室外機は屋外の空気を吸い込み、空気中の熱を熱交換機で集める。集めた熱は冷媒が受け取り、室内機へ運ばれ、温風として送り出される。

空気中の熱を集めて運んで放出するのに必要な「冷媒」を循環させているのが、室外機に内蔵された"エアコンの心臓"ともいえる「圧縮機」だ。圧縮機はエアコンの消費電力の約80%を使っており、節電にとって重要なポイントは、エアコンが熱をスムーズに集めたり逃がしたりできる状態をつくり、圧縮機にかかる負担を抑えることだという。

エアコンが熱を運ぶ仕組みは「ヒートポンプ」と呼ばれている。ヒートポンプの仕組みを使うエアコンは電力効率が電気ヒーターと比べて約7倍で、省エネ性が高い。また、ヒートポンプは空気を暖めるだけでなく、水を温めてお湯にすることもできる。家庭の空調や給湯で使用されているガスや石油などを使う燃焼系機器をヒートポンプ機器に変えると、家庭のCO2排出量は約半分になるともいわれているという。

  • エアコンに使われている「ヒートポンプ」

節電の基本は「空気の通り道をふさがないこと」

節電の基本は「空気の通り道をふさがないこと」。室外機周辺に障害物があると、熱を効率的に集めることができず、無駄な電力消費につながってしまう。そのため、室外機まわりをスッキリさせることが大事とのこと。

  • 空気の通り道をふさがない

エアコンのフィルターにホコリがたまっていると、熱交換器を通る空気の量が減り、熱を送り出す効率が低下してしまう。そのため、2週間に1回を目安に、フィルターの定期的な掃除をすすめている。エアコンのフィルターを1年間掃除しないと、消費電力が約25%も無駄になると言われている。

  • 1年後の消費電力の比較

スイッチのオン・オフは控えめに、必要に応じて「つけっぱなし」で

また、節電には、エアコンの消費電力の約80%を使っている圧縮機の負担を抑えることも大切。スイッチのオン・オフを繰り返すと、圧縮機への負荷が高まる頻度が増え、その分、多くの電力を消費する。同社の実験では、30分程度の外出なら一度オフにするより「つけっぱなし」の方が節電につながる結果となった。

  • スイッチのオン・オフは控えめに

風量の「自動」設定も効果的

「エアコンの心臓」にかかる負担を減らす節電の工夫として、風量の「自動」設定も効果的とのこと。節電しようと風量を弱めに設定していると、熱交換器を通る空気の量が減り、室内に送り出す熱の量も減ってしまう。風量を自動にしておくと、エアコンはスイッチを入れたあとどんどん熱を室内に運び、すばやく部屋を暖かくするという。

  • 「風量自動」で効率的に運転

風向は下向き・空気を攪拌して室内の温度ムラを抑える

冬のエアコン暖房のムダを防ぎ、効率的に使うには、部屋の環境づくりも重要。部屋の温度ムラを抑えるため、「風向はできるだけ下向きにする」「空気清浄機などを活用して空気を撹拌」するとよいという。

  • 空気清浄機などを活用して空気を撹拌

部屋の湿度を40%~60%程度に保つ

また、部屋の湿度を40%~60%程度に保つのも節電に効果的。温まった室内の熱が窓から逃げないよう、断熱性の高いカーテンを使用したり、上部や下部にすきまができないよう、天井から床いっぱいまでたっぷりと垂らすと保温効果が高まるとのこと。

  • 部屋の湿度を40%~60%程度に保つ

同社では、「エアコンのしくみと電気代の関係」をわかりやすく紹介するサイトと動画も公開している。