近ごろ「クマ被害」のニュースが世間を騒がしていますね。山中だけでなく、市街地でも目撃や遭遇など、深刻なトラブルに発展するケースも起こっています。また野生鳥獣による被害は遭遇以外にも、農作物の被害から森林被害も問題となっているのです。

林野庁による報告では、「令和3年度における、シカやクマ等の野生鳥獣による森林被害面積は全国で約5千ヘクタールとなっています」と説明され、特にシカは全体の7割を占めるそうです。※主要な野生鳥獣による森林被害面積(令和3年度)より

そんなシカが北海道の札幌市の「まさに中心部」に出現。投稿したのは、札幌のさまざまな情報を発信する、しょーこ@札幌クリップさんです。

大通公園に鹿が出たみたい
(@kotton105910)より引用

北海道の鹿は「エゾジカ」で、日本の本州に生息するホンシュウジカの約1.5倍の大きさのようで、札幌市の公式サイトでは以下のようにエゾジカのサイズを説明しています。

体長 オス:約90~190cm、メス:約90~150cm
体重 オス:約50~150kg、メス:約25~80kg

大きな個体になると、人や乗用車と大きさが変わらないのです。そんな存在が突如都心部に現れたら……。

この投稿には、「家のすぐ近くでも鹿普通に道路横断してきたから流石にやばい」「クマだのシカだの、、、今年多すぎませんか?!?!」「真駒内公園もエゾシカ親子普通にいましたしね、、」など危ぶむ声が寄せられていました。

エゾジカに対する札幌市民の声

大通公園といえば観光客で賑わう中心部です。ここにシカが出現したのですから、かなりの大騒ぎでは? しょーこさんに市民の様子を聞いてみました。

――シカが与える生活への影響はどのようなものがありますか。

しょーこさん:線路上にシカが出てJRが止まると、飛行機に間に合わなかったり、帰宅できなかったりします。これは札幌市民だけでなく、観光客にも影響しますよね。

――最近、野生動物による被害が増えています。札幌でも同じでしょうか?

しょーこさん:車との衝突事故が増えているようです。また、家庭菜園で育てた果物や野菜をのきなみ、シカに食べられた方もいました。

――中心部にシカが出るのは珍しいのですか?

しょーこさん:実は中央区、西区、南区は山に面しているのでシカやクマが結構出ます。さらに、山に面していない北区、東区にも現れるので、「どこを通っていったんだろうね」と市民も首をかしげているのです。

札幌は想像以上に野生動物による問題が多いみたいです。しょーこさんは札幌市の「札幌市ヒグマ出没情報」や、国土交通省 北海道開発局による「エゾシカ衝突事故マップ」も紹介してくれました。

特に後者は車に乗っている時の注意事項「衝突防止6原則」、エゾジカによる事故の件数推移データ、さらには北海道での「エゾジカ衝突事故マップ」まで制作されています。エゾジカ問題の深刻さ、大きさを裏付けるの証左ではないでしょうか。

  • エゾジカ衝突事故マップ 出典:国土交通省 北海道開発局

「共存できるようになっていくといいのですが、なかなか難しいですね」と言うしょーこさんの感想が、北海道で生活する皆さんの意見なのかもしれません。

ちなみに大通公園のシカはその後、近くの北大植物園に侵入したようです。早く解決してほしいですね。