ヒューリック杯第95期棋聖戦(主催:産経新聞社、日本将棋連盟)は二次予選が進行中。10月16日(月)には第1ブロックの高崎一生七段-近藤誠也七段戦が東京・将棋会館で行われました。対局の結果、三間飛車を駆使して113手で勝利した高崎七段が決勝トーナメント進出まであと2勝としました。

4度目の正直なるか

ともに二次予選から登場の二人、決勝トーナメントに向けては3連勝が必要です。振り駒が行われた本局は先手番を得た高崎七段が得意の三間飛車に。近藤七段とこれまで3戦していずれも敗れている高崎七段としては負けられない一戦になりました。

持久戦を目指す後手の近藤七段が角を上がったのが序盤の駆け引き。歩を守るために先手は右銀を上がるよりありませんが、これで美濃囲いの形が乱れました。後手の態度を見てから攻めの形を作りたかった高崎七段としてはもくろみが外れた格好です。

トリプル振り飛車

右辺での駒組みを妥協した高崎七段は左辺の攻撃陣の充実に代償を求めます。①石田流の構えに転身すると見せかけて②四間飛車に振り直したのが臨機応変の対応。飛車を大きく使ってポイントを稼ぎつつ、この飛車はついに③中飛車として5筋に落ち着きました。

振り飛車の奔放な指し回しに対抗して後手の近藤七段も動きますが、ここで形勢が動きます。自玉を銀冠の堅陣に収めてから7筋に銀をタダ捨てしたのは飛車交換に持ち込むためのいわば必要経費ですが、大駒をさばき合った局面で思わしい手がないのが誤算でした。

誤算に乗じて高崎七段が勝利

有利に転じた高崎七段は丁寧にリードを拡大。自陣に打ち込まれた飛車を手厚い銀打ちでしかりつけたのが決め手となりました。二枚飛車の攻めを実現できれば後手の銀冠はひとたまりもありません。終局時刻は17時45分、自玉の詰みを認めた近藤七段が投了。

勝った高崎七段は次局で佐藤康光九段と対戦します。

  • 感想戦では複雑な序中盤の駆け引きを中心に検討が行われた(写真提供:相崎修司)(マイナビニュース)

    感想戦では複雑な序中盤の駆け引きを中心に検討が行われた(写真提供:相崎修司)

水留 啓(将棋情報局)

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