ホンダの新型「N-BOX」が出だし好調な様子だ。2023年9月半ばごろに聞いたところによると、先行予約の受注台数は1.7万台に到達したとのこと。今日現在ではさらに台数が積み上がっているものとみられる。ホンダに聞いた受注の内訳をお伝えしつつ、N-BOXの普及台数を踏まえた今後の可能性についても考えてみたい。
カスタムを選んだユーザーの割合は?
ホンダの軽スーパーハイトワゴン「N-BOX」は日本で最も売れているクルマだ。通算3世代目となる新型は10月6日に発売となる。先行予約の開始は2023年8月7日。9月16日に聞いたところ、予約台数は1.7万台に達したとのことだ。ちなみに、販売店だってお盆は休んでいたはずなので、営業日が少ない中での数字だということは考慮しておく必要がある。新型N-BOXの価格はノーマルタイプが164.89万円~188.1万円、カスタムが184.91万円~236.28万円。月間販売計画台数は1.5万台だ。
すでに人気で売れているクルマをフルモデルチェンジする場合は、ガラッと変えても不満が出そうだし、あまり変えなくてもそれはそれで問題がありそうだが、そんな中でもホンダでは、静粛性を向上させたり、アイドリングストップ機能を改良したり(具体的には、駐車の際に「P」に入れてもエンジンが再始動しなくなっている)と、着実な進化を追求した。
新型N-BOXには大きくわけるとノーマルとカスタムの2種類がある。9月半ばに聞いたところによると、受注台数のうちカスタムが占める割合は約75%。ちなみに、旧型ではカスタムと通常版が6:4という割合だった。
予約受注のエンジンの内訳はターボが46%、NA(自然吸気、ターボなし)が54%。駆動方式では83%が2WD(前輪駆動)を選んでいるそうだ。
ターボエンジンはカスタムのみに設定、理由は?
新型N-BOXでは、ターボエンジンを選べるのはカスタムのみで、ノーマル×ターボエンジンの組み合わせは選べなくなっている。「見た目はノーマルが好きだがエンジンはターボにしたい!」という人たちは困りそうな気がするが、ホンダによると、旧型でノーマル×ターボの組み合わせを選ぶユーザーは全体の10%程度、モデル末期に近くなると5%程度とかなり少なかったそうだ。
とはいえ、もし自分でN-BOXを買うのなら、見た目はノーマルでエンジンはターボがいいと思うので、そのあたりについて開発責任者の諌山博之さんに伝えてみると、「実は、そういったご意見もありまして、今後の参考にしたいですし、市場の反応であるとかお客様の声も聞いていきたいと思います」とのことだった。
もしもN-BOXユーザーの乗り換えが進めば…
今回の取材で驚いたのは、N-BOXの流通台数だ。初代(2011年発売)と2代目(2017年発売)を合わせると、なんと日本には230万台ものN-BOXが存在しているという。割合は初代と2代目で半々くらいだそうだ。
これらのN-BOXユーザーが新型への乗り換えを考えた場合、販売台数はどこまで伸びるのだろうか。初代のユーザーだけが乗り換えたとしても115万台だから、潜在需要は相当な大きさなのではないだろうか。軽スーパーハイトワゴン市場はスズキ、ダイハツ工業、日産自動車、三菱自動車工業などライバル達も力を入れる分野だが、N-BOXは今後も盤石だという気がする。
人気モデルゆえに納期が気になるが、新型N-BOXについては半導体などの問題はなくフル生産できているという。受注比率も想定しながら生産を進めているとのことで、カスタムの方が人気だからといって納車に時間がかかるということもないそうだ。9月半ば時点で納期は「大体4カ月くらい」との話だった。