JR東海の「新幹線貸切車両パッケージ」を利用した企画として、DDTプロレスを運営するCyberFightが「新幹線プロレス」を開催。9月18日、東京~名古屋間の新幹線車内にて、鈴木みのる選手と高木三四郎選手による「エニウェアフォールマッチ」が行われた。
現役レスラーであり、CyberFightの代表取締役社長も務める高木三四郎選手は、昨年12月にJR東海が発表した「新幹線貸切車両パッケージ」販売開始のニュースを見て、「新幹線車内でプロレスを実現できたら面白いのではないか」とアイデアが浮かんだという。DDTプロレスはリングのない場所(本屋やキャンプ場など)で試合を行う「路上プロレス」を多数開催しており、これまでに銚子電鉄、千葉モノレール、小湊鐵道の車内で試合を開催した実績もある。
その後、窓口となったJTB経由でJR東海と協議を重ねた。通称「大社長」と呼ばれ、経営において辣腕を振るう一方、リング上では大人げない闘いも展開するという高木選手だが、「新幹線プロレス」実現のために尽力し、「時間をかけて慎重に検討していただいた結果、ご理解をいただき無事に新幹線プロレスを行う運びになりました」と語る。
当日の観覧チケットは8月にJTBサイト等で一般販売され、発売から約30分で完売。9月18日、下り「のぞみ371号」(東京駅13時9分発)の16号車で「新幹線プロレス」が開催され、チケットを入手した乗客75名が試合を観戦した。
品川駅で高木選手が入場したが、対戦相手の鈴木みのる選手は現れない。新横浜駅で満を持して鈴木選手が入場し、ゴングが鳴った。高木選手は「電車道」ならぬ「新幹線道」で突っ張り、一方の鈴木選手は「時速400キロパンチ」(「400キロ」は東海道新幹線「のぞみ」の最高時速285キロと、パンチの時速115キロを合計した数値)を叩き込む。
高木選手の助っ人として正田壮史選手、鈴木選手の助っ人として佐藤光留選手も登場。男色ディーノ選手が現れて「シンカンセンスゴイカタイアイス」の車内販売を行い、選手たちが試合を一旦休止し、みんなでアイスを食べる場面もあった。その後も秋山準選手、村上和成選手に加え、車掌に扮した小橋建太氏がサプライズで登場。イチャモンをつける鈴木選手に逆水平チョップを放った。最後は鈴木選手がスリーパーからゴッチ式パイルドライバーで3カウントを奪い、37分29秒に及ぶ死闘を制したとのこと。
新幹線車内の狭い空間で試合が行われ、車内設備を破損させないようにするなどの制約もありつつ、白熱した試合展開に。選手たちの舌戦やパフォーマンスに笑いが起き、技が繰り出されると歓声が上がり、大盛況の様子だった。試合後、取材に応じた高木選手は、「難しいハードルもいっぱいあったと思うんですが、ご理解いただいたJR東海さんには感謝しかありません」とコメントした。