第73期ALSOK杯王将戦(毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社、日本将棋連盟主催)は、二次予選決勝の渡辺明九段―横山泰明七段戦が8月30日(水)に東京・将棋会館で行われました。対局の結果、相掛かりの力戦を123手で制した渡辺九段が王将リーグ復帰を果たしました。
最後の1枠は誰に
本棋戦の二次予選は一次予選を勝ち抜いた8名にシード棋士を加えた計18名を6人トーナメントに分け、これを勝ち抜いた3名が挑戦者決定リーグに入るもの。本局が最後の1枠を争う対局に当たります。振り駒が行われた本局は、先手となった渡辺九段が相掛かりの戦型を選んで幕を開けました。
ともに浮き飛車に構えたところで後手の横山七段はひねり飛車の態度を表明。飛車を大きく転換して2筋の勢力を奪回したところは好調に見えますが、ここから渡辺九段も力強い指し回しで局面のバランスを保ちます。右金をスルスルと繰り出し、棒金の要領で後手の飛車にプレッシャーをかけたのがその第一歩。
渡辺九段が受け切って勝利
渡辺九段の陣形は金銀が左右に分裂しておりいかにも不安定に映ります。後手の横山七段が角銀交換の駒損の攻めを敢行したのはこの代償に飛車をさばければよしと見た自然な大局観でしたが、ここから渡辺九段は持ち味の深い読みによって形勢をリードしました。成り込んできた後手の竜を、持ち駒の二枚角で弾き返したのが受けの好手です。
依然として先手玉は危険な状態が続きますが、渡辺九段は自玉に寄りがないのを読み切っていました。後手の攻めが一段落したところで満を持して角を切ったのが反撃の合図。受けながら手にした豊富な持ち駒が物を言い、後手玉は受けなしになっています。終局時刻は16時18分、自玉の詰みを認めた横山七段が投了を告げて渡辺九段の勝ちが決まりました。
勝った渡辺九段は昨年に続いての王将リーグ参戦が決定。リーグ参加者は以下の通りとなっています。羽生善治九段、豊島将之九段、永瀬拓矢王座、近藤誠也七段、佐々木勇気八段、菅井竜也八段、渡辺明九段。
水留 啓(将棋情報局)
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