第82期順位戦C級1組(主催:朝日新聞社・毎日新聞社)は、3回戦計14局の一斉対局が8月1日(火)に各地の対局場で行われました。このうち、関西将棋会館で行われた宮田敦史七段―都成竜馬七段戦は70手で都成七段が勝利。連勝同士の直接対決を制して、同じく勝利した服部慎一郎六段、斎藤明日斗五段、古賀悠聖五段らとともに開幕3連勝を飾りました。
対抗形の右四間飛車
両者の初手合いとなった本局、後手の都成七段は角道を止めて態度を保留します。先手の宮田七段が4筋の歩を突いたのを受けて同じ筋に飛車を振ったのが細かな駆け引きで、本局は都成七段のノーマル四間飛車に宮田七段が右四間飛車で対抗する構図に落ち着きました。宮田七段は攻撃側の、都成七段は玉側の端歩が突き越せていることが主張です。
手番を得た先手の宮田七段は軽快に桂を跳ね出して戦端を開きます。必然手の応酬が続いたのち自陣角を打って後手の飛車をへき地に追いやったのは確実なポイントですが、自然に映る銀出に対しては後手から角を打ち込んで飛車をいじめる手があり容易ではありません。実戦で宮田七段は、50分近い長考のすえに3筋に飛車を回る打開策をひねり出しました。
都成七段が連勝対決制す
宮田七段は着実に飛車を前進させて敵陣突破を目指しますが、その間に後手の都成七段も先手陣に馬を作って徹底抗戦。盤上右方での押し引きののちこの馬を飛車との交換に持ち込んだ都成七段は、自陣の飛車取りを放置して王手銀取りをかけました。自陣で遊んでいる飛車を取らせる間に反撃するこの大局観がよく、形勢の針は徐々に後手に振れ始めました。
局面が一段落したところで都成七段は好手を用意していました。取られそうな左桂を跳ねで桂交換に持ち込んだのが振り飛車党らしいさばきの一手。この桂が持ち駒に加わったことで後手からの攻めが切れる心配がなくなりました。終局時刻は20時42分、終盤の入り口ながら攻防に見込みなしと見た宮田七段が駒を投じて都成七段の3連勝が決まりました。
同日行われた対局では前述の3人の昇級組のほかに、先崎学九段と西田拓也五段が同じく3連勝を飾りました。注目の4回戦は8月29日(火)に予定されています。
水留 啓(将棋情報局)
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