コロナ禍を経験した農家の現状を調査

2020年から私たちの生活や働き方に大きな変化をもたらした新型コロナウイルス。また、円安も農業経営に大きな影響をもたらしました。オンラインを活用した販路拡大や経営方法の見直しなど、今まで以上に新しいチャレンジや模索を行うきっかけとなった農家の方も多かったと思います。この変化の多い時代、農家はいま何を感じているのか、現在のモチベーションや幸福度に関するアンケート調査を行いました。

農家のモチベーション・幸福度アンケートについて

【実施期間】2022年12月20日~2023年1月10日
【調査方法】インターネットによるアンケート
【有効回答者数】257人(回答者の属性内訳は下図の通り)

回答者の属性

年代は40代~60代で約70%を占め、農家平均年齢(約68歳)より若い層が回答。就農歴では20年以上の回答者が約35%と最も多く、10年以上の就農者が総数の約56%を占めています。また、経営規模は1~5ha未満が35%で、ボリュームゾーンとして農家の平均層が多く回答していると想定できます。(参考:農家の平均耕作地面積2.5ha/5ha以上で大規模農家の括り/東京ドーム1個分が約4.7ha)

農家として最も目指している姿

農家が目指す姿(モチベーション)の上位は、全世代通じて「土地や作物を次世代に繋げたい」が上位となり、年代問わず、未来的思考が伺えました。次いで「もっと稼ぎたい」が多い結果に。
次に就農歴で見ていきましょう。

就農歴での傾向

就農歴で見ると、特に新規就農者と10年目以上の層が「もっと稼ぎたい」と考えていることが分かります。
では規模別ではどうでしょうか。

規模別での傾向

全体的に「もっと稼ぎたい」層はいるものの、選択肢にあった「海外輸入したい」や「有名レストランや店舗に卸したい」の票数が少なく、稼ぎたいと思うものの“何で稼ぐか”がまだみえていない可能性がありそうです。

農家は幸せを感じているのか

幸福度アンケートの結果から20・30代の若手層の幸福度が高く、70代以上の幸福度が低いことが顕著に表れている傾向が見えます。

就農歴、規模別でも見ていきたいと思います。

就農歴別での傾向

就農歴別でみても、歴が短い方が幸福度が高い傾向にあり、経験が上がるにつれ、経営や後継者問題などの課題が明確になる印象を受けました。

規模別での傾向

規模別では、0.5ha未満の小規模農家と5~10haの大規模農家の幸福度が高いです。小規模農家はマイペースに作物と向き合えていることに喜びを、大規模農家は安定経営と地域の担い手であることにやりがいを感じている様子があります。また、幸福度が低めなのが0.5~1haと10ha以上の農家で、コメントでも0.5~1ha層は概ね「忙しいが農家一本で生活するのが厳しい」という悩みが多く、10ha以上は、国策や資材高騰が経営に大きく左右され柔軟な方向転換も難しいという苦悩が伺えました。

経営規模によって、感じてることも様々

自由回答から規模別でみると下記のように感じている方が多い傾向が見受けられました。

■0.5ha未満 ・・・趣味の延長の方も多く、出来る範囲で無理なく楽しんでいる
■0.5ha以上1ha未満・・・自分の裁量で出来るが、収益に結びつかず苦悩
■1ha以上5ha未満 ・・・やりがいのある規模だが、農家1本で生計を立てるまであと一歩
■5ha以上10ha未満 ・・・安定経営と地域の担い手であることにやりがいを感じやすい
■10ha以上20ha未満・・・地域を代表する担い手の域。使命感でやっている方が多い
■20ha以上・・・国策や価格に大きく経営が左右される。規模が大きく軌道修正も難しい

まとめ

実際に「コロナ禍による不景気で経営がまだまだ安定しておらず、資材や燃料等の高騰により資金的に厳しい状態が続いている」、「収入がまだまだ少なく、災害などで安定収穫ができない」「将来に不安がある」など、社会情勢の影響も受け、厳しい状況を感じるコメントもありましたが、「大変なこともあるけどやりがいがある」「まだまだ、これから新しい挑戦をしたい」など、ポジティブなコメントも多くありました。

農家を取り巻く環境や課題は簡単に解決しないものも多くあると思いますが、「農業をやっていてよかった」という声が今まで以上に増えると私たちも嬉しく思います。引き続き、マイナビ農業では一人ひとりの農家の声を集め、農業に関する現状をお伝えしていきます。アンケートにご協力いただきました農家の皆さん、ありがとうございました。

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