HIROTSUバイオサイエンスは6月27日、5月9日に発売した犬のがん早期発見サービス「N-NOSE わんちゃん」の記者発表会を開催した。同日、イオンペットが運営する全国52の動物病院にて、「N-NOSE わんちゃん」の取り扱いを開始することを発表。また、イオンペットが提供するペットの定期健康診断「ペットドック」のコースにも、「N-NOSE わんちゃん」を8月1日から導入するという。
■ペットの高齢化が進み、がんリスクも高まっている
2010年から犬・猫の平均寿命の推移は上昇傾向にあり、平均寿命は15歳前後とペットの高齢化が急速に進んでいる。これに伴い、がんになる犬が増えており、アニコム損保の調査でも犬の死因の1位は「がん」という結果が明らかになっている。しかし、人間と違いペットの「がん検診」は世の中に存在しておらず、犬のがんを早期に発見することが難しいという。
記者発表会の冒頭に登壇した、HIROTSUバイオサイエンス 執行役員 COOの鈴木彬氏は「健康な時にリスクを促し、早期発見の可能性を高めることが重要だからこそ、約5年間、協力機関との共同研究を経て、5月からサービスの提供を開始いたしました」と同サービスの開発背景について話す。同社は長年研究を続けてきた「線虫」が持つ優れた嗅覚を活用した世界初の生物によるがん検査技術「N-NOSE」を応用したかたちで、同サービスを開発。
「N-NOSE わんちゃん」は、愛犬の尿を提出するだけで9種類のがんリスクを調べることができる。さらに、専属の獣医師による対応や提携動物病院の案内など、検査後のアフターサービス(無料)も行っている。利用方法は2つで、オンラインで購入し、自宅で採取する方法と提携動物病院へ訪問し、獣医師もしくは職員が採取する方法がある。
■がんの早期発見で、がん予防を
続いて、アニコム先進医療研究所 代表取締役社長の河本光祐氏が登壇。
河本氏は「N-NOSE わんちゃん」について、「ペットは永遠の子供のような存在ではありますが、年を重ねればどうしても病気になりやすくなってしまいます。そんな中、尿一滴で検査ができる『N-NOSE わんちゃん』はがんの早期発見につながる画期的なサービスであり、私たちの理念である”予防”ともとても親和性の高いものです」と話す。
HIROTSUバイオサイエンスとは、2018年から開発を目指して共同研究を進めてきたという。アニコム先進医療研究所では、がんに罹患しているペットの尿サンプルを集め、HIROTSUバイオサイエンスでは、線虫検査のノウハウと合わせて、研究を進め「N-NOSE わんちゃん」が実用化されることになったと話す。
がんを早期に発見して、手遅れになる前に治療を開始することができれば、もっと長生きできるペットが増える。河本氏は「尿でのがん検診が広まることで、飼い主さんとペットとの幸せな時間が少しでも長く続くように『N-NOSE わんちゃん』が広く普及してほしい」と期待を込めた。
記者発表会の後半では、ゲストとして愛犬家の池田美優さん、丸山桂里奈さんが登壇し、コンパニオン・アニマル・センター センター長の高柳信子氏とのトークセッションが行われた。
池田さんは、トイプードルのるるちゃん(8歳)とぐみちゃん(6歳)、丸山さんはフレンチブルドッグのマロくん(11歳)、トイプードルのすももちゃん(9歳)、マルプーのあんずちゃん(7歳)と暮らしている。愛犬の健康のために普段から意識していることについて、池田さんは「おやつとご飯を無添加ににしています。もちろん日々の観察もしています」と回答。丸山さんは「水分をちゃんととっているか、便に変化がないかを見ています。あと、なるべく愛犬と同じ目線でいるようにしていますね」と回答した。
高柳先生は「食事、運動など、ライフステージにあわせて変えていく必要があります。動物病院で獣医師に健康管理で気を付けた方がよいことなど、積極的に質問するのも良いと思います」と日頃の健康管理について教えてくれた。