東京商工リサーチは6月22日、「夏季賞与に関するアンケート」調査の結果を発表した。調査は6月1日~8日、日本全国の大企業および中小企業を対象にインターネットで行われ、有効回答4,992社(大企業617社、中小企業4,375社)を集計、分析した。

  • 今夏の賞与(一時金)の支給見通し

    今夏の賞与(一時金)の支給見通し

今夏の賞与の支給見通しについて聞いたところ、「増加」(32.5%、1,627社)が「減少」(12.2%、611社)を20.3ポイント上回る結果に。3社に1社で前年より増えたものの、あくまでも最多は「横這い」(55.1%、2,754社)であり、半数以上の企業で前年と同水準の見通しであることが明らかに。規模別では、「増加」は大企業36.6%(617社中、226社)に対し、中小企業32.0%(4,375社中、1,401社)で、大企業が4.6ポイント上回った。

  • 今夏の賞与(一時金)の支給見通し(業種別)

    今夏の賞与(一時金)の支給見通し(業種別)

賞与の「増加」の構成比が最も高かった業種は「水運業」(81.8%)で、円安を背景に、好調な業績が続く水運業が唯一の8割台に。次いで「各種商品卸売業」(57.6%)、「宿泊業」(55.5%)、「その他の生活関連サービス業」(52.6%)と続き、コロナ禍からの回復が進む宿泊業や旅行業なども、半数以上が前年のボーナスを上回ることに。

一方、「減少」した業種は、「映像・音声・文字情報制作業」が最大の35.7%。以下、「情報通信機械器具製造業」(26.9%)、「業務用機械器具製造業」「非鉄金属製造業」(ともに25.9%)と続き、「減少」の上位10業種のうち、製造業が7業種を占めた。

  • 増加の理由

    増加の理由

増加の理由を尋ねたところ、「物価高へ対応するため」が最も多く57.4%。以下、「業績好調のため」(53.8%)、「人材確保のため」(48.2%)、「賃上げ機運が強いため」(41.0%)という結果に。規模別では、「業績好調」は大企業が61.2%だったのに対し、中小企業は52.6%と、8.6ポイントの差が。一方、「物価高への対応」は大企業が50.2%に対し、中小企業は58.5%と、中小企業が8.3ポイント上回った。

大企業では、コロナ禍からの回復と好調な業績を反映したボーナス増額だが、中小企業では物価高に対応するため、やむを得ず賞与の増加に踏み切ったとみられる。

また、産業別にみると、「業績好調」が最も高かったのは「不動産業」の61.5%。同様に、「人材確保」は「金融・保険業」(70.0%)、「賃上げ機運」は「建設業」(46.0%)、「物価高への対応」は「運輸業」「農・林・漁・鉱業」(ともに66.6%)で最高となった。