花王は6月20日、パーソナルヘルスケア研究所より特定国立研究開発法人 理化学研究所脳神経科学研究センター 知覚神経回路機構研究チームと共同のもと、殺虫成分を使わずに蚊を駆除する新技術を開発したことを発表した。

  • 走査型電子顕微鏡で観察した蚊の羽と体表面

同社では「蚊の飛行を妨げる、飛べなくする」ことを目指して技術開発に取り組んでおり、2020年には蚊の脚をシリコーンオイルでぬらすことによって肌への降着を抑制し、蚊に刺されなくする技術を開発している。

今回はこの知見から、蚊の体や羽をぬらすことで蚊の飛行行動を変えられるのではないかと考え、その最適な手段として界面活性剤に着目。

  • 表面張力の違いによる蚊の羽のぬれやすさ

表面張力の低い界面活性剤水溶液を蚊に付着させることで、蚊の飛行行動を妨げ、さらにはノックダウン状態にさせられることを発見した。

  • 水溶液の表面張力の違いによる蚊のノックダウン効果

研究では、水あるいは界面活性剤水溶液を付着させた時の蚊の羽ばたきの様子を、理化学研究所と解析。飛行中の蚊に水を付着させた場合には、羽で水をはじくことができるため、蚊は飛行を続けることができる事が判明した。

一方で、界面活性剤水溶液は羽がぬれて動かすことができなくなることが確認できたという。

この知見を応用し、界面活性剤水溶液をミスト状にして蚊に噴霧するだけで、簡単に蚊を駆除できる技術を開発した。

研究成果は、Nature Researchの電子ジャーナルScientific Reports*1に掲載され、6th Asia Dengue Summit 2023(6月15日〜16日、バンコク)にて発表した。