「針路」と「進路」は、どちらも「しんろ」と読みます。似た意味合いを持つため、使い分けに迷う言葉です。 この記事では「針路」と「進路」の意味や使い方、例文、類義語などを解説します。
「針路」と「進路」の違いとは
「針路」と「進路」は、どちらも進む方向を指す言葉です。ここでは2つの言葉について、意味の違いを解説します。
「針路」の意味
船や飛行機などが進む方向や方角、あるいは集団の方向性を表す言葉が「針路」です。
現在は船や飛行機などで現在位置や進行方向を知るためにGPSを利用していますが、以前は南北を指す方位磁石による羅針盤が利用され、進行方向を測りました。 そのため、現在でも船や飛行機の進む方向は「針」の文字を使用して「針路」と呼びます。
船や飛行機などが進む方向を指すため、会社や国家など集団の進む方向性を決める際にも「針路」が使用されています。
「進路」の意味
「進路」とは、これから進んで行く道や行く手を表す言葉です。大学院への進学や就職など学生が卒業後に進む方向や、台風が発生してから進んで行く道筋を「進路」と呼びます。また、羅針盤を使用する船や飛行機と違い、自動車が進む方向は「進路」と呼びます。
物事がこれから進む道や行く手、方向を表す言葉が「進路」です。
「針路」と「進路」の使い方・例文
「針路」と「進路」はどのような使い方をするのでしょうか。ここではそれぞれの使い方を例文で紹介します。
「針路」の使い方と例文
「針路」には乗り物の行き先を示す意味と、集団の方向性を示す意味があります。 ここでは2つの意味での使い方と例文を紹介します。
①乗り物の行き先を示す意味での使い方
「針路」は羅針盤に使われている方位磁針の針の向きを表すため、乗り物について使用されることが多い言葉です。 ここでは乗り物の行き先を示す使い方による例文を紹介します。
- 新潟から出発したフェリーは、北海道に針路をとっている
- 飛行機は目的地に向かう正しい針路をとっている
- 機内で急病人が発生し、緊急着陸するために針路を変更した
- GPSの不調に備えた、羅針盤で針路を測る訓練の実施
②集団の方向性という意味での使い方
乗り物が進む方向に使われることの多い「針路」ですが、一つの集団を船に見立てて使用されることもあります。 ここでは、集団の方向性を示す使い方による例文を紹介します。
- 日本の針路を決めるため若い世代の声に耳を傾ける
- 政治家が今後の日本の針路について語っている
「進路」の使い方と例文
「進路」には物理的に進む方向の意味と、将来の方向性を示す意味があります。 ここでは2つの意味での使い方と例文を紹介します。
①物理的に進む方向という意味での使い方
「進路」には、ものが進む道や方向、行く手の意味で使用されます。ここでは、物理的に進む方向での使い方による例文を紹介します。
- 台風5号の進路は日本縦断コースだった
- 分岐点にある道標を確認して、ハイキングコースの進路を変更した
- 博物館で展示内容を見る順番が決まっているときは、進路を矢印で示すことがある
②将来の方向性という意味での使い方
「進路」は物理的に進む道や方向を表すだけでなく、将来的なビジョンを示す意味で使用されることがあります。 ここでは、将来的なビジョンを示す使い方による例文を紹介します。
- 大学卒業後の進路について相談する
- 進路相談室で就職試験の模擬面接を実施している
- 卒業後は海外留学するか就職するかで進路に迷う
- 自分自身で将来の進路を決める
「針路」と「進路」の類義語
「針路」と「進路」を別の言葉で言い換えたいときは、どのような単語を使えばよいのでしょうか? ここでは「針路」と「進路」の類義語を紹介します。
「針路」の類義語
船や飛行機、あるいは集団が進む方向などを表す「針路」の類義語には、以下のようなものがあります。
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ルート
決まった道や経路、路線などの意味があります。
■例文:「悪天候のためルートを変更する」
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方向
ものや気持ち、行動が進む向きや向かうところなどの意味があります。
■例文:「この船は南の方向へ進んでいる」
-
方角
ある場所から見た東西南北や、何かがある向きなどの意味があります。
■例文:「羅針盤で方角を確認する」
「進路」の類義語
将来進む方向や台風などが進む方向、あるいは羅針盤を使わない自動車や人が進む道を表す「進路」の類義語には、以下のようなものがあります。
-
経路
通って行く道や通り道、道順などの意味があります。
■例文:「カーナビを使って経路を確認する」
-
通路
通行や出入りに使用する道、通り道などの意味があります。
■例文:「通路を通って会場へ入った」
-
道筋
通って行く道や通り道、コースなどの意味があります。
■例文:「駅までの道筋は真っすぐの一本道だ」
「針路」と「進路」の違いを理解して正しく使おう
「針路」は羅針盤で進む方向を決定する船や飛行機などの乗り物や、集団の進む方向性を示すときに使用される言葉です。 一方で「進路」は羅針盤を使用しない乗り物や人が物理的に進む方向、あるいは将来のビジョンを示す言葉です。
「針路」と比べ「進路」の方がさまざまなシチュエーションに対応した言葉だといえます。 同音異義語の使い分けは悩みがちですが、違いを理解して正しく使えるようにしましょう。