パーソル総合研究所は12月5日、初となる「人事トレンドワード2022-2023」を発表した。「人事トレンドワード」は、「注目している人事ワード」に関する4つの事前アンケート調査などの結果を参考に、同社研究員と識者で選考会を実施し、決定したもの。

発表は、その時々の人事のトレンドやブームを客観的な形として残す事で、人事部門にとって本質的に議論・注力すべきテーマは何かを明確にする。そうすることで流行を戦略的に活用しながら、各企業において本質的に進めるべき施策の指針となる事を目的としている。

3大ワードには、2020年に新型コロナウイルス感染防止のための緊急事態での対策として一気に広がった「テレワーク」のほか、「DX人材」「人的資本経営」が選定された。

  • 「人事トレンドワード2022-2023」

「テレワーク」は、コロナ禍が収まってきたここ2年において蓄積した組織課題を背景に、今後どうするかを見極める社会実験を思わせる重要な時期であったという。

この間にテレワークの議論は、仕事に合わせた「ハイブリッドワーク」という個別最適のフェーズから「組織をどうマネジメントし、運営するか」という組織最適のフェーズに入るべきところ、多くの企業では「定着させるか」「やめるか」の二元論に縛られ続けていたと同社は見る。同年には、各社のスタンスと議論のレベル感の差がはっきり出たという意味で、記録に残したいと考えられ選定に至った。

「DX人材」は、コロナ禍によりデジタル化が進んだ事でバズワードとして見られていたDXが不可逆的な流れとして認識されるようになり、人事として採用に注力する傾向が見られた。DXはそもそも既存のビジネスの変革であり、それを分かっていない人を外部から採用しても機能しない事に各社気づき始めた段階ともいえるとのこと。

同時に、DXが「業務のデジタル化」や「デジタルリテラシー教育」程度の意味に希薄化してイノベーティブなものから遠ざかっているという。同年は学び直しというテーマが必要性を叫ばれるフェーズから「現実的課題」へとようやく門戸を開いた時期でもあったとし、そうした意味から選定された。

「人的資本経営」においては、同年は機関投資家や欧米先行という外圧によって急速に注目が集まった事から人事・経営が情報収集に追われた1年であり、「開示」元年ともなった。

開示後数年は、開示指標の経年変化や成長の度合い・独自性などが肝に。来年以降は、成果に関する企業間の差も出てくると考えられ、人事にとっては投資家対策より実質的な議論を進める必要が出てくるものと見る。同年はその分岐点に当たる年とも考えられ、選定に至ったという。