起業に興味を持っていても、「アイデアがない」「何をすればいいかわからない」と悩んでしまうことはないでしょうか。起業したいけど明確なアイデアがない、という人は意外と多いものです。

そこでこの記事では、起業のアイデアを出す方法や、起業を現実的なものにするためすべきことをまとめました。記事を参考に、起業に向けてさっそく動き出してみましょう。

■起業するのにオリジナルのアイデアは必要ない

「起業をするためには、自分だけのすごいアイデアがないといけない」と考えがちですが、実は、起業をするのにオリジナルのアイデアは必ずしも必要ありません。起業する理由が「自分のアイデアを実現するため」という場合は別ですが、起業すること自体が目的なら、これまでに成功した事例を参考にしながら進めていけば、それでいいのです。

「起業している人」と聞くと、誰にも思いつかないような独創的なアイデアや画期的なサービスで成功しているイメージを持ちますが、自分でビジネスをしている多くの人は、既存のビジネスを真似て事業を展開しています。すでにうまくいっているビジネスモデルなら再現性が高いですし、行き詰った時の解決方法も見つけやすいでしょう。

起業のアイデアがなくて困っている人は、「むしろオリジナルのアイデアで起業しない方が失敗のリスクが抑えられてうまくいく」と考えていいくらいです。一度、世の中にすでにあるサービスやビジネスを見渡してみましょう。自分で起業する際は、そこに少しの工夫や付加価値を付け加える程度で問題ありません。

起業を志している人の中で、「成功したくない」という人はいないはずです。成功した見本を例に同じように事業を進めていけば、自分でゼロから考えたアイデアで勝負するより成功する確率は高くなります。

■起業のアイデアを出すコツと具体的な方法

起業にゼロからのオリジナルアイデアは必要ありませんので、世の中にあるビジネスを参考に、自分はどのような事業を始めるか考えてみましょう。ここでは、起業のアイデアを出す時のコツと、具体的な方法をご紹介します。

<起業のアイデアを出すコツ>

1.とにかく数を重視してたくさん出す

起業のアイデアは、質にこだわらず、とにかくたくさんの数を出すことを重視しましょう。似たようなアイデアが出てしまっても構いませんし、「これはできなそう」など、実現可能かどうかを考える必要もありません。

気軽に出したアイデアが実際のビジネスの元になることもありますので、堅苦しく考えずまずはたくさんのアイデアを出してみましょう。

2.他人と話してみる

自分一人だけで考えていると、出てくるアイデアには限界があるでしょう。そこで、起業について他人と話してみると、相手から思いもよらない意見が聞けたり、話しているうちに自分の考えが明確になったりと、さまざまなメリットが得られます。

企業においても、新規事業や新商品開発の際には、「ブレスト(ブレインストーミング、集団発想法)」と言われる方法でアイデアを出し合っていくことがあります。これは、他人と意見を交わすことで、新たな気づきや相乗効果をもたらすことが目的です。

他人と話すため改まった機会を設ける必要はなく、家族や友人と日常会話の延長として話すだけでも効果があるでしょう。

3.紙やスマートフォンのメモ機能に書き出す

アイデアは、日常生活の中で突然降ってくることがあります。一生懸命に考えている時にはさほど良いアイデアは浮かばないのに、ウォーキング中、入浴中など一見頭を使っていないような時ほどなぜかひらめく経験はないでしょうか。

また、寝起きにすごく良いアイデアを思いつくことも珍しくはありません。人の脳は寝ている間に前日の記憶を整理するため、起きてすぐの脳はクリアな状態になっていてひらめきが起きやすいのだそうです。

そこで、いつでもアイデアを書き出せるように、常にメモ帳を持ち歩き、寝室の枕元にもメモを常備しておくといいでしょう。もちろん、スマートフォンのメモ機能を使っても構いません。些細なことでもメモする習慣をつけると、追加のアイデアが沸いて具体的なビジネスにつながることもあるでしょう。

<起業のアイデアを出す具体的な方法>

1.自分の悩みや不便に感じることなどを書き留める

ビジネスとはそもそも、人の悩みや面倒なこと、不便なことを解決するからこそ成り立ちます。そこで、日常生活での自分の悩みや、もっと楽になったらいいのにと感じることなどを書き留めるようにしましょう。

自分自身が悩みの当事者であれば、同じ悩みを抱える人から共感を得て、支持されるようなビジネスを展開できる可能性があるからです。

「起業のアイデアを出すコツ」にもあったように、実現可能かどうかは考えなくて結構ですので、少しでも気になることがあればどんどん書いていくことが大切です。

2.自分のスキルや強みを洗い出す

起業をするなら、不得意なことより得意なことをビジネスにした方が圧倒的にうまくいきます。不得意なことを克服するより、すでにあるスキルを磨いたり強みを伸ばしたりすることを考えましょう。

まずは、自分が身に付けているスキルや強み、得意なこと、保有している資格、経歴などを以下のように洗い出してみましょう。

・TOEICで750点取った
・簿記2級を持っている
・3歳からピアノを習っていて、アドリブでも演奏できる
・「気配りができる」とよく褒められる
・大学時代、ボランティアサークルで活動していた

このほか、少しでも自分の強みだと感じる要素が見つかったら、迷わず紙に書き出していきましょう。

3.やっていて楽しいこと、好きなことを整理する

自分の得意なこと、スキルを生かせることを仕事にするのがビジネスの基本ですが、それをやり続けるには「楽しい」という感情や情熱も欠かせません。楽しいこと、好きなこと、興味があり寝食を忘れて取り組める何かを仕事にできれば、最高でしょう。

たとえば、「メイクが好き」「旅行が好き」「映画が好き」など、あまり考えこまず気軽に好きなことを挙げていきましょう。好きなことと得意なことを掛け合わせ、それをビジネスにできる場合もあります。

もちろん、ビジネスは楽しいだけでは成り立ちませんが、興味があれば、その分深く追求することや視野を広げて考えることも苦にならないのではないでしょうか。

具体的なビジネスモデルや、実現可能かどうかなどは徐々に考えていけば問題ありませんので、まずは、自分は何をしている時が楽しいか、好きなことは何か整理してみましょう。

■起業を現実的なものにするためにすべきこと4つ

自分がやりたいビジネスについて大体の方向性が決まっても、それが実際に事業として成り立つのか、成功するのかと確信が持てないかもしれません。そんな時は、以下のような方法で情報収集し、具体的なビジネスモデルに落とし込んでみましょう。

1.公的機関の専門家に相談する

ビジネスのことは、ビジネスの専門家に相談するのが一番でしょう。特に、起業の初期費用を抑えたい場合は、無料で利用でき信頼できる公的機関への相談がおすすめです。

たとえば、各地域にある「商工会議所」では、創業準備の進め方や業種・業態選びなどについて相談することができます。また、創業セミナーや創業者同士の交流会なども開催しており、起業に関するさまざまな情報が得られる場となっています。

「まだ具体的にどんなビジネスをやるか決まっていない」という人も、心配いりません。商工会議所では、漠然と起業を考えている人の相談も受け付けています。起業後も引き続き、事業に関するあらゆる悩みを相談できますので、ぜひ一度活用してみましょう。

なお、経営に関する複雑な課題がある場合は、無料で専門相談員(弁護士・税理士・社会保険労務士等)に相談することも可能です。

2.起業して成功している人の話を聞く

すでに起業して成功している人の話を聞くのも効果的です。「自分も絶対に成功しよう」という刺激になるだけでなく、どのように業種を決めたのか、はじめに何をしたのかなど、これから起業する人にとっては有益な情報が得られるでしょう。

起業家や経営者の話を聞くには、起業セミナーに参加する、オンラインサロンに参加する、SNSなどを通じ、経営者と直接コンタクトを取るなどの方法があります。

3.起業家コミュニティに参加する

起業家が集まるコミュニティに参加するのもおすすめです。起業を目指すなら、同じ志を持つ人たちの環境に身を置くことが欠かせません。情報交換しているうちに起業のアイデアが沸いたり、起業がより現実的なものに感じられたりするでしょう。

自分が興味のある業界のイベントやセミナーに参加するだけでも刺激になりますので、とにかくたくさんの情報に触れることを意識しましょう。

4.まずは副業で経験してみる

「どうしてもビジネスが決まらない」または、「成功できるか不安」という人は、まずは副業で経験してみるのはいかがでしょうか。本業の収入を確保したうえで行う副業ですので、「少しくらい失敗しても大丈夫」という気持ちで思い切ってチャレンジできるはずです。

たとえば、平日の夜や休日の時間を使いネットショップを運営してみる、オンラインでヨガ講師をしてみるなど、興味のあることを色々と試してみましょう。

実際に「お試し」で経験してみれば、その仕事のデメリットや自分に合わない点などもわかりますよね。独立してから後悔したくないという人は、ぜひ副業としてやってみることをおすすめします。

■普段からアンテナを張って過ごそう

「起業したいけどアイデアがない」と悩んでいた人も、全くオリジナルのアイデアは必要ないとわかれば、少し安心できたのではないでしょうか。自分で思いついたと思ったアイデアも、実際はすでに誰かが思いついて行動し、失敗しているかもしれません。

それなら、成功している事例を少し改善して展開していけば、自分も成功できる確率は高くなります。ビジネスにオリジナルアイデアを求め過ぎず、一方で、普段の生活でもアンテナを張って過ごし、事業のヒントを見つけていきましょう。