リスクモンスターは11月15日、第1回「コミュニケーション不足に関する影響」の調査結果を発表した。同調査は7月28日〜8月1日、20歳から59歳の男女個人800名を対象にインターネットで実施された。
まず、コミュニケーション不足による業務の支障の有無について調査を行ったところ、「支障あり」が84.1%、「支障なし」が15.9%と、8割以上が支障が生じていると回答した。
世代別では「支障あり」と回答した割合は「40代」が87.5%と最も高く、「20代」が79.5%だった。年齢が高いほどコミュニケーション不足により業務に支障が生じている傾向がある。
企業規模別では「支障なし」と回答した割合は「大企業」12.9%、「中小企業」17.0%、「零細企業」26.0%と、企業規模が小さいほうが支障が生じにくいことが結果に表れている。
役職別では「支障あり」と回答した割合は「一般社員」(84.7%)、「役員」(84.2%)に比べて「管理職」は94.6%と高い結果となった。管理職においては上司や部下のみでなく、他部署との連携など、コミュニケーション範囲が広いことがその要因として考えられる。
テレワーク実施有無別の結果は、「テレワーク実施者」(90.5%)に対し、「テレワーク未実施者」(81.4%)となった。(図表B)
コミュニケーション不足によって業務に「支障あり」と回答した人に対して、具体的にどのような支障が生じたのか調査したところ、「情報共有不備」と回答した人が75.3%と最も多く、全属性において最多回答となった。ついで「業務の引継ぎやスキル・技術の継承」が35.4%、「業務の相談・質問不足」が34.9%だった。
企業規模が大きくなるほど、上記の回答割合が高まる結果となっており、特に「情報共有不備」は大企業80.6%、中小企業71.4%、零細企業59.7%と大企業と零細企業の回答率に20ポイント以上の差が出た。これは情報共有の不備が生じやすい要因の一つに従業員の多さがあると考えられる。(図表C)
テレワークの実施有無について調査を行ったところ、「テレワーク未実施」(67.6%)が「テレワーク実施」(32.4%)を大きく上回った。企業規模別では「テレワーク実施」は、「大企業」(38.6%)、「中小企業」(28.1%)、「零細企業」(13.0%)の順に高い結果となっており、企業規模が大きいほど、テレワークの導入が進んでいる。「大企業」よりも「零細企業」の方が、本調査における「支障あり」の回答割合が少ない背景には、少人数によるコミュニケーションの取りやすさに加え、テレワークの普及が進んでいないことがその要因として考えられる。
コミュニケーションのきっかけとして最も望ましい手段について調査を行ったところ、「対面」(54.5%)が5割を超え、次いで「チャット」(17.0%)、「メール」(16.8%)、「電話、オンライン通話」(11.8%)の結果となった。
企業規模別では、「対面」がすべての区分で1位となった一方で、各区分の2位は、「大企業」では「メール」(20.1%)、「中小企業」では「チャット」(20.6%)、「零細企業」では「電話、オンライン通話」(16.3%)と結果に差が出た。
テレワーク実施有無別では、「テレワーク実施」において「チャット」(35.7%)が1位となり、「テレワーク未実施」においては「対面」(66.9%)が6割以上を占め1位となった。働き方の違いによって、望ましいと考えるコミュニケーション手段に差が生じていることが考えられる。
同社は「コロナ禍でのテレワークが普及し、職場でのコミュニケーション様式が変化する中、今回実施された調査で、多くの企業でコミュニケーション不足に起因する業務の支障が発生し、課題となっていることが浮き彫りとなった」と分析。そのうえで、「「対面」のコミュニケーションのみに頼るのではなく、新しい働き方でも最大の効率を生み出すために、テレワーク時においても効果的なコミュニケーションを工夫することが求められているのでは」と指摘している。