アラガン・ジャパンは11月10日、厚生労働省の承認を取得した冷却による部分痩せ治療器「クールスカルプティング エリート」を発表した。全国のクリニックなどの医療機関に提供する。関係者は「減量でも減らすことができない脂肪をピンポイントで減らすことができます」とアピールする。都内では製品発表会が開催された。

  • アラガン・ジャパンは10日、部分痩せ治療器「クールスカルプティング エリート」を発表。写真は、KUMIKO CLINICの下島久美子院長

■クールスカルプティング エリートの効果と安全性は?

「クールスカルプティング エリート」は、冷却による非侵襲的脂肪減少治療で厚生労働省の承認を受けた医療機器。アプリケータと呼ばれるアームを身体の部位(腹部、脇腹、太腿、顎下、二の腕など)に当てて治療する。冷却脂肪融解により最大で27%の皮下脂肪層を減少できるという。

  • クールスカルプティング エリート

  • 身体の部位によってアプリケータ(7種類ある)を交換して使用する

施術にかかる時間は、身体の部位によっても異なる。たとえば、腹部や二の腕であれば1箇所に35分、顎下なら45分ほどアプリケータを当てる。施術は1日で済むケースも多く、クリニックに通い続ける必要はない。治療後、早ければ2~3カ月で体型の変化を感じられるという。アラガン・ジャパンの関係者は「1回、施術をすると脂肪細胞が冷却され結晶化します。破壊された細胞が体外に排出されるプロセスに2カ月ほどを要します。その後、『もう少し減らしたい』というお客様には、再び施術することも可能です」と説明する。

  • 脂肪を減らす仕組み

発表会ではKUMIKO CLINICで院長を務める下島久美子氏が登壇。実際に同クリニックにおいて、患者の二の腕の脂肪を落とす場合を想定したデモを行った。ウェアに着替えた患者は鏡を前に、スタッフと気になる部位を最終確認。そして”振袖”と呼ばれる、脇の下から肘にかけての脂肪にマーキングした後で、クールスカルプティング エリートのアプリケータを当てて治療していった。

  • 気になる部位にマーキングして......

  • アプリケータを当てていく

下島氏は「必ず患者さんと一緒に鏡を見ながら、どの部位の脂肪を落としたら良いかを相談していきます。アプリケータを当てた最初の10分ほどは冷たく感じますが、それ以降は一時的に感覚が麻痺して何も感じなくなりますので、治療中、患者さんは本を読んだり、スマートフォンを見たり、あるいは寝ていても構いません」と話す。なお、患者によっては「ウェディングドレスを着たい」など、明確なゴールが決まっている場合もあるそうだ。

  • KUMIKO CLINIC 院長 下島久美子氏

クリニックを開業して8年間、これまでクールスカルプティングシリーズを使い続けてきた、と話す下島氏。そこで同製品の特徴についても簡単に説明した。まず、クールスカルプティングがターゲットにしているのは、筋肉の上にある皮下脂肪。臓器を覆うようについている筋肉下の内臓脂肪は治療できないとしている。

  • クールスカルプティングには皮下脂肪を減らす効果がある

下島氏はクールスカルプティングシリーズの効果とともに、安全性についても繰り返して強調する。これまで1,100万件の実績があり、また冷却脂肪融解として唯一60以上の査読付き発表論文があると紹介。「我々は、常にエビデンスを求めながら美容医療を続けています。治療を行うにあたり、クールスカルプティングの安全性と効果は、非常に追い風になっています」と説明した。

  • これまでの実績を紹介し、安全性を強調した

ちなみにクールスカルプティングを使って治療した後でも、体重は減らないという。その理由については「同じ体積の筋肉と比較して、脂肪は非常に軽いため、体重計の数字は変動しません」と下島氏。これについても、カウンセリングのときに患者に必ず説明するという。

  • 患者の治療希望部位で多いのは、やはり腹部、側腹部あたりのようだ

■これからのボディメイキングについて、トークセッションも

発表会では冒頭、アラガン・ジャパンのスザナ・ムルテイラ社長が登壇した。同社では厚生労働省に承認されたクールスカルプティングシリーズを数年前から国内で導入してきたと説明。またクールスカルプティング エリートの開発に際しては、現行製品を使用した現場の声を活かしたと明かした。

  • アラガン・ジャパン 代表取締役社長のスザナ・ムルテイラ氏

  • クールスカルプティング開発の歴史。新製品のクールスカルプティング エリートも、国内の100以上のクリニックなどの医療機関に提供する

このあと、下島氏、モデルのエリー・ローズさん、自由が丘クリニック 理事長の古山登隆氏が「これからのボディメイキング」についてトークセッションを実施。

エリーさんは「スポーツをしても食事制限をしても、どうしても痩せにくい部分はあります。では、どうしたら良いか。たくさんの選択肢があるなかで、美容医療を取り入れることはスマートな選択だと思います。患者側が、きちんとした知識を学ぶことも大事ですね」とコメント。「いまの自分のボディラインがイチバン好き」と言えることは自身の幸せにも繋がってくる、だからこれからも努力していきます、と誓った。

  • (左から)下島氏、モデルのエリー・ローズさん、自由が丘クリニック 理事長の古山登隆氏

また古山氏が「痩せすぎないことも大事。今後は自分を客観視して、個性を活かした最高の自分を見せる、そうした抑制の効いた美しさが求められる時代になってくるでしょう」と話すと、下島氏も「やりすぎた例をたくさん見てきたので、本当にそう思います。自身の目指すボディラインがあり、不必要なところだけ少し減らしたい、そんな気持ちに寄り添った治療も大事になってくると感じます」と応じていた。