パーソル総合研究所は11月8日、「世界18カ国・地域の主要都市における就業実態・成長意識に関する調査結果」の結果を発表した。同調査は2月10日~3月14日、日本を含むアジア太平洋地域(APAC)および、欧米地域を含めた世界18カ国・地域に住む各国・地域(※)1,000人を対象に、インターネットで実施した。

  • 図表1コロナ禍の影響による「働く実態」の変化

コロナ禍の影響で、『働く実態』にどのような変化があったかを聞いたところ、調査対象のほとんどの国・地域で「テレワークが増えた」「所得が減少した」といった回答が多かった。「日本」は、「将来のキャリアに関する不安が増加した」や「仕事の生産性が下がった」が18カ国・地域の中で最も低い。18カ国・地域全体的に「現在の会社で安定して働き続けたい」意識や「生産性向上」「デジタル化」への意識も高まっている。

現在の勤務先で、継続して働きたいか聞くと、全体平均は71.2%だが、最も高いのは「インド」、次いで「中国」と、いずれ国も8割強と高いのに対し、「日本」は56.0%で最も低かった。転職や起業を考えていない割合も、他国・地域と比べて少なかった。

  • 図表3.継続就業意向 Q. あなたの今後の勤続に関する意向をお知らせください(現在の勤務先で継続して働きたい)

働くことを通じて、幸せを感じているか尋ねると、全体平均が74.7%であるのに対し、日本は49.1%と18カ国・地域の中で最も少なかった。「成長が重要と考える人」「成長を実感できている人」の割合も、いずれも18カ国・地域の中で日本が最も少なくなっている。

  • 図表7.仕事に対する現在の状況(Well-being)Q. 仕事に対するあなたの現在の状況として、最もあてはまる項目を一つお選びください。

勤務先以外で自分の成長を目的に行っている『学習・自己啓発活動』について聞くと、18カ国・地域において共通して実施率が高い学習・自己啓発活動は、「読書」(34.5%)、「研修・セミナー、勉強会等への参加」(30.4%)だった。

とくに、「フィリピン」、「インドネシア」、「マレーシア」、「ベトナム」、「インド」では勤務先以外での自己研さんに意欲的だった。一方、「とくに何もおこなっていない」割合は、全体平均が18.0%であるのに対し、「日本」は52.6%で最も高く、自己研さん意欲の低さが際立っている。

  • 図表9.社外の学習・自己啓発の活動状況 Q. あなたが自分の成長を目的として行っている勤務先以外での学習や自己啓発活動についてお知らせください

「組織文化」の特徴(10分類)を用いて、類似度により18カ国・地域をマッピングしたところ、「日本」は「韓国」と並んで、「権威主義・責任回避」に特徴づけられた。「オーストラリア」「アメリカ」「イギリス」「ドイツ」「スウェーデン」は個人を尊重した柔軟なマネジメント、「インドネシア」「フィリピン」「マレーシア」「ベトナム」は組織の調和を重視した自由闊達(かったつ)な風土に特徴づけられる傾向にある。

  • 図表11.組織文化の類似度マッピング

職場における「女性」「若手」「シニア層」「人種的・民族的マイノリティ」「LGBTQ」「移民や外国人労働者」の働きやすさについては、「日本」はいずれも全体平均点を下回った。しかし「シニア層」の働きやすさは、全体平均の3.7に対し、「日本」は3.6に迫っており、「若手」の働きやすさのスコア(3.4)を上回っている。

  • 図表12.職場のダイバーシティ&インクルージョン(全体/日本) Q. あなたが働いている職場は、○○にとって働きやすいですか、それとも働きにくいですか?

働いてみたい国・地域を尋ねたところ、全体では「アメリカ」が最も高く、次いで「日本」、「イギリス」、「カナダ」、「シンガポール」が続いた。しかし、2019年調査と比べると、「タイ」、「ベトナム」、「台湾」では日本を希望する割合が10pt以上低下している。

※調査対象国は、日本(東京、大阪、愛知)、中国(北京、上海、広州)、韓国(ソウル)、台湾(台北)、香港、タイ(グレーターバンコク)、フィリピン(メトロマニラ)、インドネシア(グレータージャカルタ)、マレーシア(クアラルンプール)、シンガポール、ベトナム(ハノイ、ホーチミンシティ)、インド(デリー、ムンバイ)、オーストラリア(シドニー、メルボルン、キャンベラ)、アメリカ(ニューヨーク、ワシントン、ロサンゼルス)、イギリス(ロンドン)、ドイツ(ベルリン、ミュンヘン、ハンブルグ)、フランス(パリ)、スウェーデン(ストックホルム)